上田仁インタビュー「団体戦に強い岡山リベッツを見せたい」


世界卓球2018ハルムスタッドで見えたこと

世界卓球にはリザーブとして参加しましたが、普段のワールドツアーと比べるとやはり全然別物だと感じました。特に、団体戦は個人戦と異なって、チームの雰囲気や試合の流れが勝敗を大きく左右します。ワールドチームカップでもそうでしたが、団体戦というのは、いい状態の人がいればよくない状態の人もいます。みんながみんないい状態ということはなかなかありません。そこをみんなで補い合いながら勝ちを取っていくというのが団体戦だとあらためて痛感しました。自分の中でもいろいろ思うところがあったので、やはりこの舞台でプレーしたいなという気持ちはより強くなりました。

今回の日本男子チームは、日本史上最強と言われていたけど、メダルに届きませんでした。世界卓球でもリオオリンピックでもメダルを獲って来たのに、1度メダルを逃しただけでいろいろ言われてしまうという現実があります。そういう意味では、これまでの過程や積み重ねてきたことももちろん大事だけど、勝ちという結果にこだわらなければならないと今まで以上に強く感じました。サッカーのワールドカップでもそうですが、大会前はあれだけ不安視されていたのに、勝ったら掌を返すように評価されています。それがいいかどうかは別として、そういうシビアな世界で自分も生きているんだ、その中でどんなパフォーマンスができるかを考えていかないといけないと学べたいい機会でもありました。


激戦のジャパンオープンを振り返る

2回戦で香港オープンで優勝した吉村和弘に泥臭い内容でしたが、ああいう勢いのある選手から勝ちを奪えたことは自分の中ですごく大きかったですね。ジャパンオープンは張本が優勝しましたし、自分もそういうところを目指してやっていかないと、置いていかれるという危機感はあるので、いい刺激を受けたというか、本当のトップを目指していかないといけないという気持ちは出てきていますね。

準々決勝は張継科との対戦でしたが、張継科は香港オープン、中国オープンと吉村真晴、張本智和に敗れていて、次は僕もしっかり勝ってアピールしたいところでした。張継科はもちろん世界チャンピオンでオリンピックチャンピオンではありますが、自分にもチャンスがあるという気持ちで望めたことはとてもよかったですね。

実際にやってみてもチャンスがあっただけに負けたことはすごく悔しかったです。でも、後で振り返って見ると、勝負どころでの勝負勘というか、競った場面で何度か逆をつかれたりしたので、そういうところの差を感じましたね。あとは競った場面でのミスの少なさでもやはり相手の方が上でした。


張継科は本気でカムバックを狙っていると感じた


僕が3対1でリードしたときに、張継科が腰を痛めたような素振りを見せたので、以前の張継科だったら無理せず棄権するような場面だと思ったんです。でもベンチに戻ったら倉嶋監督に「張継科は絶対に頑張ってくるから、最後まで気を抜くな」と言われたんです。2大会連続で日本選手に負けていたというのもあったと思いますし、張継科が本気でカムバックしようとしてるんだなという気迫を彼のプレーからも感じました。それで競り合いを落として少し慌ててしまった部分はありましたね。

結果論になりますが、勝っていれば次はボルが棄権だったので、勝ち切りたい試合でした。でも、決勝の張継科はめちゃくちゃ強かったですし、それに勝った張本もすごかったけど、まだちょっと自分とは差があるなと感じました。

技術的には、今の卓球はバックハンドで得点できる選手が勝っているという流れがあると思います。僕の場合、チキータの得点率は高いと思いますが、バックハンドは安定系なので、もっと得点率をあげていくことが今後の課題だと思います。

メンタル的には経験も積んできて、自分をコントロールするということはできるようになってきたので、これから始まるTリーグや世界卓球のような大舞台でいか
に力を出せるのかということを考えながらやっていきたいと思っています。


Tリーグでは団体戦に強い岡山リベッツを見てほしい

Tリーグは、岡山リベッツから参戦することが決まりました。チームメートは吉田雅己、森薗政崇、吉村和弘、李尚洙らの予定です。他のチームも続々選手が決まってきていて、とても楽しみです。個人の力だけで見たら、他のチームの方が戦力的にそろっているという印象かもしれませんが、森薗、吉田、吉村も李尚洙も熱いものを持った選手ですし、団体戦の醍醐味を見せられるいいチームだと思っているので期待して見ていただきたいですね。

また、水谷さんや張本、丹羽、黄鎮廷や鄭榮植など、世界のトップランカーが対戦相手になるということは、もちろん勝つのは大変ですが、貴重な経験が積めるので個人的にも楽しみにしています。彼らと同じチームになったら、対戦する機会もありませんし、自分の出場機会も減るでしょうから、いい選択ができたんじゃないかと思っています。


インナーファイバーのボールをつかむ感覚がフィットした

大学2年生のときにZLC素材のインナーファイバー仕様のブレードを使い始めてから、ブレードはずっと変えていません。それ以前は『水谷隼』を使っていましたが、自分にとっては弾みすぎるという感覚があり、もう少し球持ちのよさがほしかったので、出始めたばかりのインナーファイバー仕様のラケットを試してみました。そうしたら、僕の望んでいた「ボールをつかむ感覚」「自分で打っているという感覚」があったので、それ以来使い続けています。

ラバーを貼った状態の総重量は193グラムとかなり重い用具になっていますが、球持ちの良さとボールの威力を優先するとこれくらいの重量になります。ラケットが軽いとどうしても威力という部分では出づらいので、それなりに筋力は必要だと思いますが、僕にはちょうどいいですね。


ボールの威力重視で選んだ『テナジー05』

ラバーは両面『テナジー05』を使っています。コントロールのしやすさという点では『テナジー80』や『テナジー64』の方が使いやすいと思いますが、僕は一球の質を求めるので、思い通りにスイングできたときに一番回転がかかって威力の出やすい『テナジー05』を選びました。

ただ、メンタル的に受け身になったときに『テナジー05』は相手のボールの影響を受けやすいので使いづらさを感じることもありますが、そういう難しさを差し引いても『テナジー05』が出せる威力の方を僕は重視しています。世界のトップ選手の多くが『テナジー05』を使っているのも、そうした理由からではないかと思います。逆に、初中級者や、ミスを減らしたい、威力よりも安定性を重視したいという選手は『テナジー80』や『テナジー64』を試してみるのもいいかもしれませんね。


上田仁:https://www.butterfly.co.jp/players/detail/ueda-jin.html
岡山リベッツ:https://okayama-rivets.com/

(インタビュー/文=佐藤孝弘)

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