卓球レポートでは、この秋、ラインアップに『ディグニクス64』『ディグニクス80』を加えたディグニクスシリーズを大特集。開発者、トップ選手、指導者らの声を通して、このラバーの真髄に迫りたい。 ここでは、ディグニクスを使用している吉村真晴(名古屋ダイハツ)、大矢英俊(ファースト)、岸川聖也(ファースト)の3人のトップ選手が、3種類のディグニクスを打った感想を紹介していく。
初めに、なぜ彼らがディグニクスを使い始めたのか、その理由について尋ねた。
吉村真晴がディグニクスを選んだ理由
「自分が追い求める弾道を出すために最も適したラバー」

【使用用具】
ラケット:特注(ZLカーボンシェーク/インナーファイバー仕様)
フォア面ラバー:ディグニクス05
バック面ラバー:テナジー05
(2019年10月29日現在)
「今年(2019年1月)の全日本を終え、2月からフォア面をテナジー05からディグニクス05に変えました。きっかけは、(岸川)聖也さんが使っていたディグニクス05を打たせてもらったことです。
僕はもともと直線的なボールを打つことが多いので、もう少し打球をコントロールしたいと思っていました。その一環として、ラケットの特殊素材をアウターからインナーのものに変えました。さらに、プラスアルファで、自分が求めている山なりの弾道や回転量のあるボールを打つためには、テナジーを超えたディグニクスが1番適したラバーだと思い、挑戦してみようと変えました。
最初はフォア面とバック面の両面にディグニクス05を試しましたが、自分のバック系技術がディグニクス05の性能に追い付かなかったので(笑)、今はフォア面にディグニクス05、バック面にはテナジー05を使っています。バック面にディグニクス05が難しかった理由は、僕のバックハンドは自分から強く打つことが多いため、ディグニクス05だと強く引っ掛かりすぎて思うようにコントロールできなかったからです。
ただし、下回転に対するボールや相手のチキータへの処理という面では、テナジー05よりも安定するので、ディグニクス05の性能は本当に良いと感じています。
そのため、大きな大会が終わったタイミングで、ラケットを再考すると同時に、バック面のラバーもディグニクスシリーズに挑戦しようと考えています。
フォア面のディグニクス05に関しては、かなり使い込んで慣れてきています。相手のドライブが不意に来た場合でも、ラケットをちょっと上に振るだけでカウンターになったり、相手の球威に押されずに返球できたりするので、全体的に非常に安定したボールを打つことができています」
大矢英俊がディグニクスを選んだ理由
「コンパクトなスイングで、ものすごい球威が出る」

【使用用具】
ラケット:特注(ZLカーボンシェーク)
フォア面ラバー:ディグニクス80
バック面ラバー:ディグニクス80
(2019年10月29日現在)
「今年の6月に岸川さんと練習する時期があり、その時に岸川さんがディグニクス05を使っていました。試しに使わせていただいたところ、コンパクトなスイングでものすごく球威のあるボールを打つことができたので、ディグニクスシリーズに変えようと決めました。
僕は自分の打球にもっと回転がほしかったのですが、ディグニクス80は(それまで使っていた)テナジー80に比べると間違いなく回転がかかります。ディグニクス80でループドライブをすると相手のカウンタードライブのミスを誘えるし、コントロールがしやすく、球持ちも良かったことが、ディグニクス80に変えた理由です。
変えた時は、フォア面もバック面も一気にディグニクス80に変えました。初めの頃は、打球が上に上がるので違和感がありましたが、打球面を少しかぶせる感じで2週間ほど練習したら慣れました。
最初は、打球の軌道が高くなることに戸惑うかもしれませんが、使いこなすことができれば、ディグニクス80の性能は、テナジー80を上回っていると思います」
岸川聖也がディグニクスを選んだ理由
「ボールの質や回転量など、打球の精度は間違いなく上がる」

【使用用具】
ラケット:特注(ZLファイバーシェーク/インナーファイバー仕様)
フォア面ラバー:ディグニクス05
バック面ラバー:ディグニクス05
(2019年10月29日現在)
「僕がテナジー05からディグニクス05に変えたのは、昨年(2018年)の12月頃です。何度か試打をさせていただき、間違いなく自分のプレーに合うと思い、全日本の直前でしたが思い切って変えました。
実際に変えてみて、ディグニクス05はとても自分に合っていると思いましたし、違和感なくスムーズに変えることができたという印象です。
ボールの質や回転量など、打球の精度は間違いなく上がったと思います」
<まとめ>
切れ味の鋭さが魅力の吉村、前陣速攻の大矢、安定感抜群の岸川。3人のプレースタイルは三者三様だが、ディグニクスシリーズの秘めたポテンシャルに惹かれて、このラバーを選んだ点では共通している。
続いては、3人が実際に3種類のディグニクスを試打した上で、忌憚のない意見を交わし合った座談会の様子をレポートしよう。
(取材=卓球レポート編集部)