わたしの練習64古川敏明 切るカットを主体に

 日大の先輩方の流れを引きつぎ“カットも攻撃なり”という考え方で、切るカットを主体に練習しています。打たれてもよいから、相手のラケットの角度をかえさせてミスをさそうカットです。強い選手に勝つためには、普通のカットでは勝てないので、人のやらないカットをしていこうと思ったのです。でも、切るカットばかりでは変化にとぼしいので、切らないカットの練習も同時に行っています。
 また実戦において、相手がカットを打ちづらいと思うとツッツいてきます。そのときのために、ツッツキ打ちの練習をやったり、あるときは安心してカットを打たせないためにドライブ打ちの練習もやります。日ごろは1週間ごとにくぎって技術練習をしています。たとえば、ある1週間はカットでねばりぬき、相手の打球が浮いても反撃せずカットをつづけます。それが相手にわかると不愉快な感じを持たれますので、初めに申し合わせてやるようにしています。
 試合前と試合のあまりないときの練習方法はちがいます。

 ◇素振りを毎日3,000回

 試合のないときは、カット選手は足と腰が大切なのでランニングを多くするようにしています。ランニングを始めて1年後には、とれないボールがとれるようになってきました。体操をするときは、伸ばすところは伸ばし曲げるところはしっかり曲げるようにしなければいけないと思います。私が伸びなかったのも、体操を限界までやらなかったからだと思っています。現在は、合同練習で柔軟体操、腹筋、ひざの屈伸などを5分間くらいやっています。フットワークは、フォア・バック1本ずつ回してもらい、私はフォアカットだけで相手のフォアに集める練習を10分間。バックカットも同じようにやっています。
 自由練習のときは素振りを重点的に練習しています。1年のときは毎日3000回、カットの素振りをやりました。そのなかに、ループをとるための素振り、台の下での素ぶり、ショートカット(ツッツキ)の素振りを入れてやり、最後にはいろいろな素振りをまぜて(シャドープレー)やりました。はじめは肩がいたくてどうしようもなかったのですが、続けているうちになんともなくなりました。あるときは台を片方の側にたてて、切るカットの練習をしたことがあります。切るとドライブがかかって返ってくるので、タイミングをつかむのには良い練習になりました。この練習を徹夜でやった思い出があります。

 ◇スマッシュを拾えるように

 現在は自分のあまり得意でない技術の練習をやっています。たとえば、相手のサービスを全部バックハンドで打つというようなオール攻撃練習です。私はカットマンですが、試合によっては打って勝てるようになることを目標としています。また、カットをスマッシュされた場合などロビングで返すことはよくないので、カットで拾えるような選手になりたいと思っています。
 試合が近くなると、切るカットを主体にして練習します。それと、台からさがらず前陣で、トップで(高い打球点で)カットを100本くらいつづくまでやります。これはカットするときに引き(もどり)を早くするばかりでなく、相手より速く打球することにより先手がとれるようになるからです。そしてサービス練習、変化サービスからの3球目、レシーブ練習などです。サービスの練習は、相手コートを6つに区切り、いろいろなサービスがねらったところへ入るようにやります。新しいサービスを研究したら必ずその場所へいくまで練習をしています。3球目攻撃の練習は、いろいろなレシーブをしてもらって(ツッツいたり、はらったり、コースをかえたり)打つ練習です。私の戦法は相手に安心させないように試合をすることです。レシーブをするときも、打てるボールは打つようにしています。たとえば、相手にスピードサービスをバックに出してもらい、それをストレートにバックハンドで打つ練習をしたりします。試合で対戦する選手の得意なサービスを自分が弱いと思うところへ出してもらい、打っても切ってもレシーブできるように練習します。ときどきですが、レシーブのときは全部カット、サービスのときは、オール攻撃の試合もやっています。

 ◇階段を2段抜かして登る

 日常生活も卓球に結びつけて生活しています。プロレスの選手が階段を2段抜かして登ったりしているのを3年のとき読んだことから、毎日、足をつよくするために駅の階段を2段抜かしで登っています。また、昔の人はボールの中心を早く見るために物の中心をはやく当てるくせをつけたという話も聞いたので、学校へ行くときや試合に行くときなど注意して練習をしています。こんな小さなことでも、毎日やっているとプラスになってくるものです。
 私のこれからの課題は①相手がカットの変化をよくみてねばってきたときにカットでねばり勝つ精神力 ②ツッツキ打ちの確実性をつけること ③台からあまりさがらずカットできること ④台からさがってカットできること ⑤オール攻撃で勝てること、です。
 私は、カット選手になってほんとうによかったと思います。大学へ入学したとき、カットはこれから勝てるのかなと思っていましたが、大橋先輩、反畑先輩、安代先輩や監督さんの教えを授かっていると、カットのすばらしさをほんとうに感じました。日大のカットの流れを生かして、私の卓球のスタイルを完成させていこうと思っています。カット選手はやることが多いのですが、それだけにやりがいを持っています。

ふるかわ としあき 日本大学4年。山口・多々良学園高出。
右きき、シェーク、裏ソフトのカットマン。身長165㎝、体重59kg。
1968年全日本学生・全日本ベスト16。


(1969年3月号掲載)
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