わたしの練習97五藤ひで男 次回の世界選手権をめざして

 私の現在の練習について書く前に、まず、中・高校時代の練習について触れてみたいと思います。

 ~初めからカットマンとして~

 私が、卓球部に入部したのは、中学1年の終わりの2月頃でした。それまでは、野球部で、投手としてやっていましたが、ヒジを痛めてしまい卓球部に入部しました。その頃の練習は、2台の勝ち抜き戦で、とにかく、毎日、授業が終わって練習場に行くのが楽しみでした。その当時からカットマンとしてやっていたわけですが、全くの我流で「カットの基本がどうの」とかいうことは、ほとんどわからないという状態でした。ですが、トレーニングとか打球練習の時間等は、わりあいと多いほうで、とにかく、球を打つのが楽しくて仕方がないという感じでした。幸運にも中学3年の全国中学生大会で3位に入賞することができ、近大福山高校に入学するキッカケとなりました。
 近大福山高校に入学してからは、内田先生の厳しい指導の下に、平均3~4時間の練習と、朝、授業が始まる前に45分間のトレーニングを毎日続けました。その頃は「とにかくカットマンは動けないとダメだ」ということでカットの変化や攻撃力ということはそっちのけで、ガムシャラに動きまわる卓球というものであったように思います。また朝のトレーニングには、毎日必ず内田先生がこられて、ランニング(4km)、ダッシュ(40m×10回)腹筋、腕立て、ウエイト・トレーニング等をやりました。とにかく、「人より少しでも多くやる」という気持ちで3年間練習に取り組んできました。今振り返ってみて近大福山高校での3年間は、自分の心の中に厳しさを植え付けるという点で、非常に役立ったと思っています。
 さて、近畿大学入学当初は高校とのボールの威力の違いや、また、試合運びのうまさ等に全く歯が立たず、自分の弱さに何度か情けなくなってきましたが、そのような時ほど、よしやってやるぞ、という気持ちが心の底から湧いてきたように思います。

 ~ガッツな精神の上での技術練習をモットーに~

 現在の私の練習でありますが、練習時間は平均7時間を確保するように努力しております。やはり、現代卓球では、体力の重要性をよく認識しておかないといけないと思います。ですから、体力養成を目標に食事、休けい、睡眠には万全の注意をしています。私の場合、食事の面では、食べる量も多く好ききらいもありませんし、また、どこででも眠れるほうですので、体調を崩して練習を休むということはほとんどありません。
 次にトレーニングの面ですが、毎日の生活をする上で、肉体、および精神衛生を維持した上で基本体力の増強に心がけています。内容としては、ランニング(10㎞)、腹筋、腕立て(100~150回)、ダッシュ(40m×10回)を行っております。ランニングは、1日の中に何回かわけて合計10kmになるように走ったり、朝10kmを一度に走ったりというふうにしています。それと、もう一つ、ウエイト・トレーニングにかわり、それ以上に大切な"卓球体操"を、恩師である樋口先生に教わり、毎日やっております。これは、卓球選手としての筋骨養成、体力増強に役立ち、非常にハードで、また重要なものであります。こういった基礎をもとにして技術練習を行っています。また、精神的な面で気をつけていることは、世界選手権の体験からして自分の性格は、燃えれば燃えるほどいい練習ないし、いい試合ができると思います。ですから、日頃の打球練習の時から世界選手権の1本1本だと思って台に向かっています。これを自分の精神鍛錬方法としてガッツな精神の上で技術練習ということをモットーとしています。

 ~魂のこもった練習~

 技術的な面においては、特に4つの点に注意してやっています。
 第1点ですが、自分の目の前にはコーチであり、また尊敬する高島さんというカットマンの生きた見本があります。その高島さんから、カットマンとして何よりも大切な、守備範囲の広さ、カンの良さ、身のこなし、フットワーク、また、2枚腰であるという点等を学ばせてもらっています。現在の私ですと、どれ一つをとってみても高島さんの足元にも及びませんが、スマッシュを拾う練習を中心として守備範囲の広さ、フットワーク等の点を磨き、高島さんの後を追うための努力を怠らないようにという気持ちでやっております。
 第2点としては、自分は高島さんと違い異質ラバーを使っているという点から、おのずとそのカットの内容も違うと思います。両面裏ソフトの場合に比べて、異質ラバーですと回転の変化という点では断然有利だと思います。ですから、異質ラバーをいかに生かして回転の変化をつけ、また、相手にとって意外性のある球を送るかということに努力をしています。内容としては、①積極的にカットに変化をつける ②相手が「切れた」と思うボールが全く切れていなくて、とんでもない方向に飛んでいく ③イボ高ラバーでの性質のカットとは、逆の性質のカット(例えば、ドライブボールに対してのナックル性カットや、裏ソフトラバーでの横回転等の思っている以上に変化しているボール)等です。この練習の際には、スイングと手首の"鋭さ"ということに特に注意しています。
 第3点として、攻撃力の変化ということを目指しています。その内容は①サービスからの3球目のアタック ②レシーブからの4球目のアタック ③カットのラリーからのアタックというふうに、3つに分けて考えています。
 サービスからのアタックでは①相手に易々とサービスを出す位置を悟られないように工夫して出す ②回転に思い切って変化をつけてみる ③フォアサービスとバックサービスを混ぜたりして、レシーブで相手に先手を取られないように気を付けています。そして、サービスを持って攻める時は、「カットマンではなく、攻撃型の選手であるんだ」と思ってアタックしています。
 レシーブからのアタックの際でも、初めからツッツいてレシーブするというように考えるのでなく、「チャンスであれば、ガンガン攻める」という考えで、構えにはいります。甘いサービスがきて、ドライブで攻めていけたなら、後は前にも書いたようにロングマンとしてプレーしていくことだと思います。
 カットからのアタックにおいては、①カットで変化をつけておいて、次球を予測して狙う ②状況によっては、プレーする位置を前にして、弱気になってつないでくる所をアタックする ③ストップボールに対しては、スマッシュとドライブで打てるように、特に前に出る時のリズムに注意しています。 カットからのアタックの時でも、やはり、ロングマンとしての打ち方を忘れないことですが、特に「待っておいてアタック」にいくというのが大切だと思います。
 またアタックミスの場合には、オーバーミスが多いので、踏み込みやラケット角度においても、オーバーなぐらいの感覚が必要だと思います。現在の卓球ルールや、ラバーの関係上今のカットマンの自分に課せられた課題であると思うので、サービス、レシーブの工夫に伴って、アタック力の強化を十分にやっていかないといけないと強く思っております。
 そして、最後に第4点ですが、試合の中で相手にペースをうばわれた時にどのようにして、その試合の流れをかえていくかという点に力を注いでいます。それには、今まで書いてきました第3点までのことの、どれを、どこで、どう使って自分のペースに持ち込むかという研究であります。これは、技術というより、インサイドワークの面ですので受け身の卓球であるカットマンの場合には、特に研究するものであると自分に言い聞かせてやっています。以上が、私の練習の内容です。
 やろうと思えば一日中でも練習ができます。自分に甘えることなく、強固な意志を持って、"魂"のこもった練習をすることだと痛感しています。そして今回の世界選手権以上に次回の世界選手権では、「日本の名誉のためにがんばろう」という固い決意でいます。

ごとうひでお 大阪・近畿大学3年
第35回平壌世界選手権ベスト16


(1979年9月号掲載)
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