わたしの練習129渡辺武弘 渡辺式卓球めざして

 ~恵まれた環境の中で~

 私が初めてラケットを握ったのは、小学校5年生の頃です。時々兄や近所の人たちとピンポンをやって遊んだのがキッカケです。"卓球は面白い"という気持ちでしたので、私は中学生になり迷わず卓球部に入りました。
 中学校(福岡・大和中)に入学と同時に森雄三郎先生が転任してこられて、3年間指導していただいたおかげで全国中学校大会で優勝することができました。
 高校は、九州の田舎からはるばる埼玉の熊谷商高にお世話になりました。家族と離れて何かと不安でしたが、吉田安夫先生の温かい指導で卓球に打ち込むことができました。練習は、先生の長年の指導経験を生かして考えられた、フットワークとゲーム練習が主体で、集中して練習できるように休憩が多いのが特徴でした。
 そして大阪インターハイ(昭和54年)では、幸運にも3種目(団体、単、複)に優勝することができました。
 大学は、明治大学に進み、総監督である児玉さんはじめ、四ヶ所さん、渋谷さん、松井さん、前原さんなど、多くのOBの方々に指導していただき、大学4年生の時、東京で行われた世界選手権の日本代表に選ばれ、夢であった世界の舞台でプレーすることができました。

 ~異質反転攻撃型に転向~

 現在は、協和発酵に勤務していますが、会社の方々の理解もあり、卓球に打ち込むことができます。が、社会人ですから仕事を避けてとおるわけにはいきません。仕事を終えてから練習になるわけですから、頭の中を仕事から卓球に素早く切り替えることが大切です。
 練習時間は、学生時代にくらべ短くなりましたが、短い時間で効果の上がる練習ができるよう自分なりにいろいろ工夫しています。また、卓球部には、前原さん、阿部さんという元日本チャンピオンがおられ、技術面や精神面でいろいろアドバイスしていただいたり、いろいろ相談にのっていただいたりして大変恵まれています。
 しかし、昨年春に行われたスウェーデンでの世界選手権では、全くいいところなく敗れ、このままではいけないと自分の卓球を真剣に考えました。そして今後は、もっとサービス、レシーブを強化して、3球目あるいは4球目で決めてしまう速攻プレーと、バック系を強化して、バックハンドを積極的に振って打点の高いところで常に戦っていくようにしようと考えました。そのため、それまで使っていた角型のラケットを丸型に変え、裏面にイボ高を貼って異質反転型にしました。
 そうしてやっているうちに、速攻プレーをかかげたナショナルチームができ、幸運にもメンバーに選ばれ、合宿や遠征に参加させていただいたことで少しずつではありますが、台についてプレーができるようになってきているように思います。

 ~現在の重点練習内容~

 現在、重点をおいている練習は、主に次の三つです。

1.切り替え・不規則に送球してもらい、フォアハンドとバックハンド(ショート)を使って切り替えを行う
 最初は、一定の深さで送ってもらい、だんだん続くようになったら浅いボールも入れてもらい、そしてミドルを中心にとむずかしいコースに送ってもらうようにします。この練習は、非常にむずかしく、なかなかラリーが続きませんが、毎日やっているうちに続くようになってきます。
 この練習をする時にいつも心がけていることは、速いピッチで送ってもらい、絶対に打球点を落とさないことです。そうすることで戻りが速くなり、台からさがらなくなり、足を常に小刻みに動かしていなければならず、自然と動きにリズムが出てきます。また、この練習は、逆をつかれることが多く、それをなんとか返すことによって、ボディーワークもよくなり、反応も速くなります。

2.台上処理と台上処理後の戻り・多球練習で行う
 相手にカット性のボールを、①フォア前 ②バック前 ③ネット際オール前 に連続して出してもらい、それをレシーブする構えから素早くふみ込んで打ち、素早く元の位置に戻る。この繰り返しで1セット30球~50球連続して出してもらい、①②③をそれぞれ3セット行います。
 この練習では、体の力を抜いて素早くボールのところに足を運び、小さいフォームで手首を使って打つことと、打球後素早く元の位置まで戻るように心がけています。連続してボールがくるため元の位置まで戻るのがおろそかになりがちなため、意識して素早く戻るようにします。
 台上処理後の戻りの速さと反応を速くする練習としては、フォア前をふみ込んで打球したあと、打球したと同時ぐらいにもう一球をバック側へノーバウンドでやや強めに打ってもらい、それをなんとか返すようにします。最初のうちは、バックへきたボールを返すのはむずかしいですが、だんだん体が速さに慣れてくると返せるようになります。返せるようになったら、さらにもう一球だしてもらい、それをフォアハンドで強打します。
 フォア前を打球して、次にバックへきたのを素早く処理するというパターンは、日本国内はもちろんのこと、中国選手やヨーロッパ選手と戦ってみて実にこういうケースが多いということに気づきます。このバック側にきたボールをうまく処理できないと相手に先手をとられてしまい、試合に勝つことはむずかしくなってきます。

3.サービス、レシーブ+3球目、4球目攻撃
 サービス+3球目攻撃の練習は、サービスをフォア前、またはバック前に出して相手にネット際オールにストップしてもらい、それをふみ込んで打つ。この練習は、先に述べた多球練習による台上処理を実戦的にしたもので、試合で非常に多いケースです。
 レシーブ+4球目攻撃の練習は、ネット際オールにいろんな回転のサービスを出してもらい、それをすべて払うレシーブからと、すべてストップレシーブからの4球目攻撃をしていくものです。
 レシーブは、イボ高面でも同じように行うようにしています。相手の戦型や弱点によってどちらかのレシーブを主体にした方がよい場合に、どんな回転に対しても確実にレシーブができるようにするためで、相手のサービスの回転をしっかり見極めることが大切です。
 今後は、まだまだたくさんの課題がありますが、自分の卓球というものを作りあげたいと思います。それから今までたくさんの人たちにお世話になり、また指導していただきました。その方々のためにもがんばって、全日本のシングルスのタイトルをとって一緒に喜んでもらうことが、私の目標です。

わたなべたけひろ
熊谷商高→明大→協和発酵。
左、ペン、高弾性高摩擦裏ソフトとイボ高ラバーの異質反転攻撃型。
全中優勝、インターハイ3冠王。以後、順調に伸びて、全日本複4連覇。'85年全日本単3位。'83、'85年世界大会日本代表


(1986年3月号掲載)
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