わたしの練習132田原直昌 パワーアップを計り、世界をめざす

 ~ラッキーな初出場で全中準優勝~

 初めてラケットを握ったのは、小学校5年生の頃でした。兄(現同志社大)が卓球をやっていたので、自分もやってみようと思ったのがキッカケです。
 本格的に取り組み始めたのは、彦根東中学に入学してからです。松下ジュニアクラブに入り、山本徹先生(東山高出身)の指導を受けました。山本先生は、基本にたいへん厳しい先生でした。一年生の時は、兄に負けてばかりで、県ではいつも準優勝どまりでしたが、二年生になって初めて優勝することができました。その時の嬉しさはいまでも忘れられません。
 全国中学校大会に出場するためには、近畿ブロックで10位までにまでに入らなければならないのですが、ぼくは11位でした。ところが、京都の渡辺さん(現東山高3年)が推薦のため、11位のぼくが繰り上がって出場できるようになったのです。本当にラッキーな出場でした。
 初出場の全国中学校大会では、無我夢中で戦いました。結果は、準優勝という予想もしない満足のいく成果を残せました。しかし、その年の全日本カデットでは、第一シードになりながら、すっかり緊張し、ブルってしまって2回戦で敗退しました。非常に悔しい思い出です。
 三年生になってからの目標は、全国中学校大会で優勝することでした。彦根城の周囲をランニングすることが日課となり、自分なりに精一杯がんばったのですが、試合では集中力が続かず、団体、個人とも3位に終わりました。

 ~自分もやればきっとできる~

 高校進学については、正直いってずいぶん迷いました。が、熟慮の末、全国優勝をしたい一念から東山高校に決めました。
 東山高校には、兄がいたということもありますが、先輩たちを見ても、いかにも高校球界のトップに立っている人たちだ、という風格を感じていたからです。そして、指導しておられる今井良春先生は、包容力があり、最も信頼できる先生だと信じたからです。
 高校に入学して1カ月ほど過ぎて、すぐにインターハイ予選が行われました。その予選で、それまで一度も負けたことがなかった先輩にベスト32で敗れ、非常に悔しい思いをしました。
 この時、先生に「同士討ちで勝てない選手は、外に出ても勝てない」と言われました。それからは、一緒に練習しながら徹底的に先輩たちの長所や弱点を必死に研究しました。
 フットワークの練習相手をしながらのコントロール練習、そしてスピードで先輩に負けていないか、ということで必死でした。同級生や後輩を相手に自分の練習をやる時は、どうしても雑になりがちで、少々ミスしてもそのうちに入るだろうという気持ちになりがちです。その点、先輩との練習は、一本でも多くコースをついて入れなければならないし、凡ミスをしてはいけないというプレッシャーを感じながら練習しますから、精神的には試合に近い状態で練習できます。このことは、以後の自分にとって、大きな宝物を得たと言えるでしょう。
 高校一年生の時の全日本ジュニアは、3回戦で負けてしまいましたが、中学時代、松下ジュニアで一緒に練習をしていた西川さん(現東山高3年)が優勝されました。西川さんは、高校に入って、人一倍努力されたのだと思いました。同時に、自分にだってきっとできる、と、大きな刺激を受け、必ず西川さんを追い越せるようにがんばろうと心に誓ったものです。
 その後、春の高校選抜大会では、目標の金メダルを手にすることができました。そして、アジアジュニアに出場できたことから、自信らしきものをつかみかけたように感じました。

 ~インターハイ前の技術目標~

 二年生となり、インターハイ予選のシングルス、リーグ戦で7戦全勝し、団体、ダブルスとともに1位で通過することができました。
 インターハイ予選の直後に行われた国体予選の時、先生に「2回続けて優勝しないと意味がない」と言われていのですが、美木さん(現東山高3年)に敗れ、結局3位でした。それで先生に「おまえはまだ一つもタイトルを取っていないが、三年になってから取っても勝ちが価値うすれる。先輩がいる間にねらえ」と激励され、いままで以上の努力をしなければいけない、と自分に言い聞かせました。
 そこで、インターハイに向けての技術目標として、
1.台上処理+フォアハンド
2.バックハンド+フォアハンドの切り替え
3.回り込みドライブ+とびつき
4.とびつき+バックハンドドライブ
5.フォアハンドサービス+3球目、5球目攻撃
...に重点をおきました。特に、台上処理とバック系が弱いために、レシーブとバックハンドには力を入れて取り組みました。
 また、先生から「練習前のランニングやフットワークの時に、脈拍が180/分 以上になる練習を1日5回以上やるように」アドバイスを受けました。
 同時に、技術目標として、
1.フットワーク 脈拍180~200(持久力、耐久力)
2.スマッシュ とびついてのスマッシュ、回り込んでのスマッシュ(パワー)
3.とびつき、回り込み(瞬発力、意外性)
4.システム化したバックハンド
5.サービス+スマッシュ(ノータッチ30本)
6.サービス+3球目
7.レシーブ+4球目
8.ツッツキ+ドライブ(またはループ)
9.フリック(スナップを使った払い)+とびつき
10.カット打ち+ロビング打ち
...以上、10項目をあげていただきました。スピード、スピン、コントロール、バラエティ、タイミングに留意し、ショートのねらい打ち、ストレート攻撃などにも取り組むように、とのことでした。
 その結果、インターハイ直前に行われた近畿大会では、団体、シングルス、ダブルスに優勝することができました。先輩二人に勝ち、それがまたもう一つ、大きな自信につながったように思います。
 そのほかの練習内容は、
㋑一本打ち
㋺システム練習
㋩多球練習
㋥切り替え
㋭レシーブの構え
...などです。
 「一本打ち」と「多球練習」は、今井先生に相手をしていただきました。フットワーク以上に苦しい練習です。
 「レシーブの構え」とは、コートについて、レシーブの構えを体を動かさずに、10分間ほどジッと持続させることです。しかし、フォアへのロングサービス、フォア前のカットサービスというように、サービスを連想して、素早くスタートを切る気持ちは持っていなければなりません。いわば、体を動かさないで行う"イメージトレーニング"のようなものです。この練習をしたことによって、以前より集中力や忍耐力がついたような気がします。

 ~恵まれた環境に感謝~

 インターハイ前のミーティングでは、「技だけではなく、心と体のコンディションにしっかり気をつかえ」ということでした。
 大会2~3日前には、「興奮して試合ができる」「伝統とはプレッシャー」「和して同せず」「兜の緒は締められる時に締めろ」「自分のシステムは崩さない」「型を崩した練習はするな」などの言葉をよく受けました。
 インターハイでは、心・技・体・和・知をモットーに一戦一勝主義で臨んだことが優勝に結びついたのだと思います。
 熱心な指導者のもとで、良き先輩、良き同僚、後輩を持ち、恵まれた環境の中で練習できることは素晴らしいことであり、非常に感謝しています。
 先生に「これからが大事だぞ」と言われていますが、これからは、いままで以上の努力を積み重ねていく所存です。そして、台上処理、バックハンドドライブのパワーアップなどの課題を一つ一つ克服していき、日本を代表する選手をめざしてがんばっていきたいと思います。

たはらなおまさ
彦根東中→東山高2年
右、シェーク、ドライブ主戦型(両面高弾性高摩擦裏ソフト使用)。フットワークを生かした攻撃卓球でインターハイチャンピオンに輝いた。今後の活躍が楽しみ。
'86年アジアジュニア日本代表


(1986年11月号掲載)
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