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2009横浜大会最終日:5月5日

 大会最終日の5月5日。横浜アリーナではセンターコートで男女シングルスの決勝が行われた。
 男子シングルスは王皓、女子シングルスは張怡寧が優勝を飾り、中国が3大会連続で全種目制覇を成し遂げた。


男子シングルス 王皓が王励勤を圧倒して初の世界タイトル

王皓、念願の世界王者の座に

 世界卓球で初めての決勝の舞台に勝ち上がった王皓は、3大会連続、4度目の優勝を狙う王励勤と対戦。王皓は既に男子ダブルスでも優勝しているため、単複2冠もかかっている。
 会場は照明を落とした状態から選手入場のアナウンスが流れると、音楽とライティングの凝った演出で一人ずつ入場。選手紹介、審判員の紹介、2分間の練習が終わり、世界卓球2009横浜の最後の1戦が幕を開けた。
 表情にも気迫がにじみ出る王皓に対して、王励勤はどちらかといえば穏やかな様子。その意気込みがそのままスコアにあらわれたかのように、王皓は序盤から6-1と大量リード、積極的に両ハンド攻撃を仕掛ける王皓に対して、王励勤はまずはバックのブロックで王皓の攻撃をしのいでからチャンスをつくるという消極的な作戦。しかし、初タイトルに向けて肩に力の入った王皓もミスを連発して8-8と並ぶ。王励勤は9-8と逆転したところで、バック対バックのラリーから先にミス。続く2点も王皓が取り、第1ゲームは11-9で王皓。第2ゲームも王皓がスタートダッシュをかけ5-0に。王励勤はフォアに振られると自信のあるフォアクロスの引き合いに持っていくが、ここでも球威の勝る王皓がラリーを制する。しかし、王皓リードの8-2から、王励勤はこのゲームでもリスクを取らない戦術ながらも猛追をかける。バック対バックのラリーから王励勤がサイドを切るコースにエースを決め10-10とし、王皓のフリックでポイント、フォアドライブの引き合いから、王励勤がストレートに放ったドライブに王皓が裏面ドライブをミス。11-11からレシーブを浮かした王励勤は王皓の強打を浴び、11-12。次のポイントでも先に回り込んでフォアドライブを打つ王皓に対して王励勤はブロックをミス。追い上げもむなしく、0−2と王励勤にとっては苦しい流れ。
 第3ゲームも王皓リードで進める展開。王励勤はこのゲームでも3-7と離されるが、なかなか自分からはしかけない。王皓の猛烈に回転のかかった両ハンドドライブを連打されると、ブロックにもミスが出る。王皓の9-5、ここからでも流れを変えたい王励勤は王皓のストップを先にバックドライブで攻めるがこれがアウト。ゲームポイントを握られ、3球目を回り込んでバックストレートに放ったドライブはジャストミートせずに、ボールは上空に弾き飛ばされた。
 第4ゲーム、王皓がレシーブミスをすると王励勤はこの試合で初めて先行する。5-5からフォアクロスの引き合いで打ち負け、凡ミスが続き5-8となると王励勤はタイムアウト。しかし、流れを変えられない王励勤はまたミスを重ね、5-10と絶体絶命に。このあと王皓のバック側を先に攻めた王励勤がポイント、裏面ドライブvsブロックで気負った王皓にミスが出て7-10、今度は王皓がタイムアウト。王励勤は鋭く王皓のバックをついたあと、裏面ドライブを回り込んでストレートにカウンター。8-10とする。固くなった王皓は裏面ドライブをミス。 次のポイントでも先に回り込んでフォアドライブで攻めた王励勤だがこのボールがアウト。王皓はひざまづいて雄たけびをあげ、念願の初タイトルの喜びをかみしめた。

王皓(中国)(11-9,13-11,11-5,11-9)王励勤(中国)


先に攻める王皓に対して、王励勤は防戦からの構え

攻めの姿勢を崩さなかった王皓

王励勤、3連覇はならず


女子シングルス 張怡寧が郭躍にリベンジして女王の座を奪回

張怡寧、女王の座を奪い返す

 張怡寧は5回目の決勝戦進出、アイントホーヘン、大阪、パリでは王楠に3大会連続の苦杯をなめた。そしてようやく上海大会で初優勝。しかし、ザグレブ大会では準決勝で優勝した郭躍に敗れ、決勝進出を逃している。2連覇を狙う郭躍から女王の座を取り返したい。
 お互いに準決勝で中国勢を倒し、好調の中迎えた決勝戦。鋭いバックのカウンターで張怡寧のフォアサイドを攻めてチャンスをつくる郭躍と両ハンドでワイドに攻めてチャンスをつくりたい張怡寧の戦い。第1ゲーム、序盤バック対バックのストレートのラリーから張怡寧が連続ポイント。しかし、郭躍はバックハンドで張怡寧のフォア側にカウンター。5-5とポイントが拮抗する流れでお互いに全力で点の取り合い。10-10から郭躍が回り込んでフォア強打で張怡寧のミドルを急襲、次もラリーから張怡寧のフォアミドルを狙い、ブロックがアウト。12-10で郭躍。
 第2ゲーム、男子のような台から距離を取ったドライブの引き合いを郭躍がフォアクロスへ決めると、郭躍は張怡寧のミドルとフォア側を先に攻めてポイントを重ねる。張怡寧はラリーの主導権を握れずにこのゲームも11-3で郭躍。第3ゲームは張怡寧がスタートダッシュをかけ8-0に。このゲームを簡単に11-2と取り返すと、第4ゲーム、張怡寧はまた郭躍に先行される苦しい流れ。しかし、2点差を詰めて7-7とすると回り込んでフォアハンドを決めるなど、張怡寧が積極的に攻めて11-7と取り返し、2−2とならぶ。
 第5ゲームは競り合う展開。4-4、5-5、6-6と点の取り合いが続くが張怡寧の3球目攻撃が決まると、勢いに乗った張怡寧は4点連取で10-6。高速ラリーを張怡寧が制して11-7で3ゲーム連取の逆転。先に優勝に王手をかけた。
 第6ゲーム、ここで仕留めたい張怡寧となんとかしのがなければならない郭躍の攻防。張怡寧は的確なコース取りでラリーの主導権を握ると、郭躍は足を使ってフォアで強打。6-3と郭躍がリードするが、郭躍の連続ミスで点差を1ポイントに縮められるとここで郭躍はタイムアウト。しかし、続く一本、ラリーで郭躍のコースが甘く、フォアの強打を浴び6-6。ラリーで有利にポイントを重ねる張怡寧が9-7とするが、少し弱気になった張怡寧がバックドライブを振りきれずにアウト。9-9から郭躍が張怡寧のフォアミドルに強打したボールがアウト。攻めてこのゲームを取りたい郭躍がフォアクロスに放った強打を3連続ブロック。最後は戻りきれなかった郭躍が空振りして11-9。張怡寧が世界女王のタイトルを郭躍から取り戻し、横浜決戦が幕を閉じた。


張怡寧(中国)(10-12,3-11,11-2,11-7,11-7,11-9)郭躍(中国)

ショーアップされた選手入場

笑顔で言葉を交わす二人
勢いはあったが張怡寧の前に悔しい逆転負けを喫した郭躍
絶対女王張怡寧が高い集中力で逆転優勝をおさめた


本大会の模様は 6月号(5/20発売予定)に掲載予定。


 世界卓球2009横浜も上海、ザグレブに続き、全種目を中国勢が制覇するという結果に終わった。しかし、男子ダブルスで銅メダルを獲得した岸川聖也と水谷隼、華々しいデビュー戦を飾った14歳の丹羽孝希、女王張怡寧と素晴らしい内容のゲームを見せた石川佳純、五輪王者馬琳を瀬戸際まで追いつめた松平健太ら、日本の若手の活躍も印象付けた大会となった。連日横浜アリーナに詰めかけた大勢の観客、テレビ放送を見た世界中の人々が中国に対抗しうる才能の萌芽がここ日本で育ちつつあることを目の当たりにしただろう。そして何よりも選手たちの世界レベルのプレー、勝利の喜び、敗北の悔しさに卓球というスポーツの素晴らしさを感じてくれたに違いない。

閉会式、日本国旗が降ろされ世界卓球2009横浜が幕を閉じた
2010年はモスクワから団体戦をお届けします
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