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平成23年度全日本選手権大会4日目:1月20日

ジュニア男子、丹羽孝希が史上初の3連覇 ~吉田との同級生対決を制す~

丹羽、男子史上初の3連覇達成

 ジュニア男子決勝は、第1シードで3連覇を狙う丹羽孝希(青森山田高)と、前回2位で第2シードの(青森山田高)の同士打ちとなった。

 注目の立ち上がりは探り合いの展開となり5-5。ここから大きなラリーとなって9-9となるが、丹羽の速攻を吉田が中陣でしのいで第1ゲームを先行する。
 続く第2ゲームは丹羽が立ち上がりから攻め込んで4-2とする。ここで吉田がラリー戦に持ち込んで5-6と逆転に成功。ここで奪われると苦しい丹羽はが広角に攻め返して逆転して取り返した。こうなると丹羽のペースとなり、第3ゲームは5-1とリード。丹羽は7-2でファインプレーを交えて吉田を突き放して、3連覇に王手をかけた。
 後がなくなった吉田だが、丹羽のライジングに対して足を使ってフォアハンドで攻め返して2-6とする。このまま吉田がクロスにラリーを展開して5-9とし、なんとかゲームオールに持ち込んだ。
 いよいよジュニア最強を決める最終ゲーム。2-1で丹羽がラケットをぶつけるハプニングとなるが、スペアラケットにも動じることなくサービスエースで切り返して、5-3でチェンジエンド。ここが決め所と見た丹羽は吉田を広角に揺さぶって9-4と一気に引き離す。吉田も懸命の粘りを見せるが、最後は丹羽がシュートで打ち抜いて、3年連続で栄冠を手にした。

 これまで岸川、水谷、松平らですらなし得なかった3連覇を達成した丹羽は、世界ジュニアをも制して世代のトップに立った。そしていよいよシニアのステージに駆け上り、新たなエースとしての変貌を遂げるときが来た。
 ≫この一戦から今日のナイスゲームを選出


丹羽が最後は攻め抜いた

吉田は必死に踏ん張ったが・・・

誰もなし得なかった偉業を手にした


 3位は町飛鳥(青森山田高)と村松雄斗(エリートアカデミー)が入賞した。
 町は中学1年生でベスト4入りし、丹羽とともに次世代エースとの期待がかけられた。そこから5年続けて準決勝に進出するという安定した成績を残したが、今年も3位の壁を破れなかった。吉田との準決勝、最終ゲーム9-9での攻めミスが出るように、課題のメンタルを鍛えることこそが、さらなる飛躍への道だろう。
 中学生ながらベスト4入りした村松は、日本の強化を目的に設立されたエリートアカデミーで鍛え上げられた。ぶつ切りカットと鋭い反撃というプレーは、男子では独特のスタイルだ。攻守のコンビネーションと守備力をレベルアップさせ、新たな主軸への期待がかかる。


町は5年連続で3位に

村松は丹羽に敗れるも、力を付けた


ジュニア女子、谷岡あゆかが新女王に ~平野美宇が準優勝~

谷岡がジュニア女王の座に

 ジュニア女子決勝は、第1シードの谷岡あゆか(エリートアカデミー/帝京)と小学5年生でカデット13歳以下優勝の平野美宇(ミキハウスJSC山梨)が対戦した。
 ここまで大旋風を巻き起こしてきた平野の前に、谷岡が変幻自在のカットで立ちはだかる。谷岡のぶつ切りカットを平野が必死に打ち込むも、変化幅に対応できず8-3となって第1ゲームは谷岡が先行。第2ゲームも谷岡のカットの切れ味の前に、平野のつなぎがネットに引っかかって5-1。このまま谷岡がリードを広げて王手をかけた。
 第3ゲームも谷岡のペースとなり、3-1で平野がタイムアウト。ここで平野は変化が小さいバックサイドにツッツキを集めて7-5とする。しかし、谷岡は動いて変化を付けて引き離すと、最後もしっかりとカットで粘って勝負を決めた。
 谷岡は、苦しんでようやく手にしたジュニアのタイトル。この世代では圧倒的な力量であることは誰もが認めるが、今大会も一般の部では大学生のパワーになすすべもなく敗れ去ったように、一段高いレベルの選手との対戦には大きな課題を残した。それは次への飛躍の良薬となることだろう。
 平野は決勝では完敗したが、ジュニア世代の並みいる強豪を連破した超攻撃的スタイルは将来のエースを予感させる戦い振りを見せた。もはや新・天才卓球少女ではなく、次世代を担う日本の主力選手と呼ぶにふさわしい活躍だった。


谷岡が変化幅で平野を圧倒

美宇ちゃん旋風、決勝でストップ

プレッシャーから開放され、安堵の笑顔


 3位は松平志穂(四天王寺高)と前田美優(ミキハウスJSC)。
 兄譲りのセンス抜群なプレーで期待されてきた松平がようやく結果を残した。これまで苦手だったカットとの対戦でも、力強いボールで打ち込む場面が増えてきた。持ち前のテクニックにパワーが加わった松平の快進撃が続きそうだ。
 中学3年生の前田は準決勝で平野に完敗した。これまで、次は前田の時代と思われてきたが、一気に下の世代に飛び越されてしまった。この悔しさを胸に秘め、さらなる飛躍を誓うことだろう。


松平は技に力が加わった

中学生の前田が3位入賞


混合ダブルスは松平賢二・若宮三紗子が初優勝 ~大矢・森薗を下す~

松平・若宮がミックスを制覇

 混合ダブルス決勝は、松平賢二・若宮三紗子(青森大・日本生命)と大矢英俊・森薗美咲(東京アート・日立化成)いう若手の対戦となった。

 立ち上がりは大矢・森薗が攻め込んで4-8とリードする。松平・若宮が粘ってジュースとなるが、大矢が台上チキータで揺さぶってからのコンビプレーで先行。すると第2ゲームは大矢がドライブで仕掛けて森薗が早い打点でたたき込み、一気に栄冠に王手をかけた。
 あっという間に追い込まれた松平・若宮。第3ゲームは懸命に攻めて5-2とするも、あっさり追い付かれて5-5でたまらずタイム。ここで一息入れた松平・若宮は、必死にラリーに持ち込んで大矢・森薗のミスを誘い、なんとか1ゲームをもぎ取った。すると第4ゲームはジュースの競り合いをきわどく制し、勝負を最終ゲームに持ち込んだ。
 こうなると、松平・若宮に流れが移る。松平が得意のフェイントを入れたレシーブで攻め込んで3-0として、大矢・森薗がタイムアウト。しかし、松平・若宮は緩めず強打をフォアサイドに集めて9-5と引き離すと、最後は広角に攻めて勝利を決めた。


0対2の苦境にめげず攻め抜いた

大矢・森薗は栄冠を前に失速・・・


 3位は吉村・石川(野田学園高・全農)と上田・鈴木(青森大・青森山田高)が入賞した。
 吉村・石川は松平・若宮に2対0とリードした。しかし、第3ゲームを競り負けてリズムを失い、無念の逆転負けを喫した。
上田・鈴木は、準決勝の第1ゲームをジュースで落としたのが響き、大矢・森薗に攻撃の流れを渡してしまった。


吉村・石川は準決勝で散る

上田・鈴木が3位入賞


女子シングルスはベスト8が決定 ~藤井寛子が敗れる波乱~

福原は切れ味鋭い強打で快勝

 女子シングルスは5~6回戦が行われ、ベスト8が決定した。
 初優勝を目指す福原愛(ANA)は、6回戦で前田(ミキハウスJSC)の挑戦を受けた。福原は前田の左利きからの速攻に手を焼いて第2ゲームを失うが、厳しい攻めで前田にプレッシャーを与えて4対1で押し切った。
 2連覇を狙う石川(全農)は、小野(サンリツ)の表ソフトの強打を力ではね返して一蹴した。
 3年振りの女王返り咲きを目指す平野(ミキハウス)は、北京オリンピックをともに戦った福岡(中国電力)の変化プレーに落ち着いて対処して、ストレート勝ちを収めた。
 第4シードの森薗(日立化成)は5回戦で松平(四天王寺高)の両ハンドプレーに2ゲームを落としたが、最後は得意の強打を決めて2年連続ベスト8入り。


石川は2連覇に向けて順当勝ち

平野は福岡の変化を攻略

森薗は強打を決めて快勝


 若宮(日本生命)は5回戦で宋(青森山田高)の思い切りの良い攻撃に苦戦したが、要所でカウンター強打を降り混ぜて振って、4年振りの準々決勝進出を決めた。
 全日本社会人2位の田代(日本生命)は、インターハイ女王の鈴木(青森山田高)を圧倒。続く6回戦で学生女王の松澤(淑徳大)とノーガードの打ち合いを展開した。両者一歩も譲らずゲームオールジュースにもつれるが、最後まで強気を貫いて競り勝った。
 本年度、日本生命に入社した藤井優子は、中島(早稲田大)とバックサイドの高速ラリーを繰り広げた。一進一退の攻防となるも、最後はうまくかわして8強入りを決めた。
 石垣(淑徳大)は、前回2位の藤井寛子(日本生命)と大激戦。石垣は藤井のループドライブをカーブロングと横回転を入れたバックカットで防ぎ、要所で反撃を決めた。これまでトップクラスに善戦するもなかなか勝てなかったが、最後まで気持ちを切らさず大金星を挙げた。


若宮が要所で強打を決めた

田代は松澤との熱戦を制す

藤井が粘って中島を振り切る

石垣、切れ味鋭いカットで金星


 第2シードで初優勝を目指していた藤井寛子が6回戦で姿を消した。
 藤井は5回戦で全日本学生ダブルス優勝の池田(東京富士大)の速攻に苦しめられたものの、なんとか4対2で振り切って6回戦に駒を進めた。
 続く相手は昨年の世界卓球代表選考会で下している石垣。藤井はいつもの通り丁寧なカット打ちで攻め込むが、変化や反撃を混ぜて来る石垣の前に流れをつかめない。勝負所での一撃の威力を欠いて石垣に粘り切られ、まさかのベスト16止まりとなった。


藤井寛子は石垣の粘りに屈した


 小学生ながらベスト32入りした加藤(TKOクラブ)が石川に挑戦した。
 加藤は女王に対して前陣で切れの良いスマッシュを打ち込んで第3ゲームを奪い取る健闘。ここから石川の猛攻に及ばなかったが、キラリと光る素質を存分に披露した。


小学生の加藤が石川から1ゲーム奪う健闘


男子シングルスのスーパーシードが登場 ~いよいよ水谷隼が登場~

水谷、6連覇に挑む

 男子シングルスは4回戦が行われ、スーパーシードが登場した。
 昨年、男子史上初の5連覇を達成して歴史を塗り替えた水谷隼(明治大)は、小山ちれが持つシングルス6連覇の偉業に挑戦する。水谷は、若手成長株の酒井(エリートアカデミー)の高い打点のカウンターをモノともせずにはね返してストレート勝ち。明日の5回戦は町(青森山田高)の挑戦を受ける。
 前回2位の張(東京アート)は、国公立で活躍する荒木(広島大)のクセ球に手を焼いたが、第2ゲーム以降はビシッと締めて完封勝利。
 6年振りの天皇杯を目指す吉田(OVERLIGHT)は、岡田(明治大)の活きのいい動きに第1ゲームを先行されたが、中陣からしっかり打ち返して逆転勝ちを収めた。
 前回3位の高木和(東京アート)は青森山田高の同級生・瀬山(リコー)と対戦。高木和は瀬山のシャープな両ハンドを力強いボールでねじ伏せて同級生対決を制した。
 ロンドンオリンピック代表の岸川(スヴェンソン)は、仙台育英高の先輩・水野(東京アート)と対戦した。岸川は気心が知れた水野のブロックを丁寧に打ち抜いて完封勝利。


前回2位の張は完封勝ち

吉田は持ち前の粘りを見せた

高木和は同級生・瀬山を下す

岸川は先輩・水野を圧倒


 全日本学生で決勝を争った神(明治大)と笠原(早稲田大)が格下相手に敗れる波乱。
 学生タイトルを獲得し、全日本での上位進出が期待された神は、平屋(埼玉工業大)のクセのあるカットに大苦戦。神はフルスイングで斜めに切ってくる平屋のカットを打ちあぐむと、朱世赫ばりのパワードライブで反撃を浴びる。なんとかゲームオールに持ち込んだが、最終ゲームは平屋のガッツに対して弱気の虫が出て、まさかの初戦敗退となった。
 前年度の学生王者で、前回の全日本でベスト8入りした笠原だが、カデット14歳以下優勝の三部(青森山田中)のソツのない両ハンドに足元をすくわれた。笠原は立ち上がりから今ひとつ切れのないプレーで三部に攻撃を許す。最終ゲームは立ち上がりから入れに行くプレーで押し込まれ、無念の敗戦となった。


神は平屋のぶつ切りに沈む

笠原、中学生・三部に屈す


 男子初の小学生勝利を飾った出雲(鳥屋クラブジュニア)は、元全日本学生2位の実績を持つ森下(リコー)に挑戦。出雲は手堅いブロックで森下の攻撃を防ぐと、得意のサービスからの攻撃で互角の展開を見せる。フレッシュなプレーで最後まで頑張ったが、惜しくもゲームオールジュースで競り負けた。


小学生の出雲は森下に一歩及ばず


女子ダブルスに注目のペアが登場 ~藤井・若宮、福原・石川ら~

若宮と藤井が3連覇に挑戦

 女子ダブルスは3・4回戦が行われ、注目ペアが登場した。
 3連覇を目指す藤井・若宮(日本生命)は、河村・平田(アスモ)と対戦。間合いの長い相手に対して、容赦なくコンビネーション攻撃を繰り広げ、キッチリと完封勝ち。
 ロンドンオリンピック代表同士で組んだ福原・石川(ANA・全農)は、中島・中尾(早稲田大)の前陣を死守した攻守に1ゲームを奪われたものの、要所を押さえて3対1で快勝した。
 そのほか、第2シードの小野・阿部(サンリツ)ら上位シードも順調に勝ち進んだ。

 注目の神山・平野(山梨信用金庫・ミキハウスJSC山梨)は、3回戦で轟・松村(中央大)にゲームオールジュースで辛勝し、第4シードの野上・市川(日立化成)に挑戦した。しかし、日本リーグで活躍する強豪の前に及ばず、ストレート負けとなった。


石川と福原のオリンピックコンビが登場

美宇ちゃんペアはシードペアに完敗


男子ダブルスはベスト8が決定 ~松平・丹羽、水谷・岸川らが勝利~

丹羽と松平が準々決勝進出

 男子ダブルスは4・5回戦が行われ、ベスト8が決定した。
 前回優勝の松平健太・丹羽孝希(早稲田大・青森山田高)は、初戦の斎藤・小坂(遊学館高)にいきなりゲームを失った。しかし、第2ゲームを辛くも競り勝つと、ようやく持ち味のシャープな連係攻撃が出始めて逆転勝ち。続く5回戦は柴田・高橋(愛知工業大)を完封して、準々決勝に駒を進めた。
 前回、決勝で敗れて5連覇を阻止された水谷・岸川(明治大・スヴェンソン)は、2試合ともまったく危なげない内容で完封勝ちを収めた。

 一方、第3シードと第4シードが敗れる波乱。
 第3シードの木方・田勢(協和発酵キリン)は井上・藤本(近畿大)に2対1としたが、ここから学生らしさで攻め込まれて無念の逆転負け。これが木方の引退試合となった。
 第4シードの韓・張(東京アート)は、桑原・瀬山(リコー)にあっさりと2ゲームを先行した。しかし、第3ゲームをジュースで失うと、勢いを取り戻せずに逆転負けを喫した。



水谷・岸川はリベンジに向けて順当勝ち


今大会の模様は、卓球レポート3月号に掲載

アリーナ席の目の前に愛ちゃんが登場

 昨年の全日本で設置されたアリーナ席が今年も用意されている。大会4日目までは無料開放され、整理券を手にすれば入場することが可能だ。
 アリーナ席の目の前にある17コートには、女子ダブルス第1シードの藤井・若宮が登場し、女子シングルスでは福原愛が試合を行った。日本を代表する選手たちのプレーを目の当たりにし、観客の視線が釘付けとなった。

 今大会の模様は 3月号(2/20発売予定)に掲載予定。

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