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渋谷浩が見たパリ大会<1>混合ダブルス1回戦

shibu.jpg岸川・福原の第1ゲームは、硬くなって台上を置きに行っていたのを相手に狙われました。しかし、1ゲームを落としたことはまったく気にする必要はありません。
福原のドロップショット(前に落とすボール)は、相手ペアの1人だけでなく2人のポジションを崩すことができるので、とても効果的だと思います。特に男子はそういうボールを受ける機会が少ないので、効果が高い。そうして相手が持ち上げてきたところを岸川が上から狙い打つことができるので、非常によいペアリングだと思います。
2回戦の対戦相手もイタリアのペアですが、ヨーロッパ選手と試合するときは、前後に揺さぶるということも頭に置いた方がよいでしょう。こちらが力で攻めるよりも、前に1本落とすなどアクセントをつけることによって、次のボールが有利になることがあります。一方、左右に揺さぶろうとしても、ヨーロッパ選手は手足が長い。左右に揺さぶるよりも前後に揺さぶる方が有利な展開になりやすいですね。特にヨーロッパ選手は両ハンドを振るのでスタンスが平行足で、前に出にくいといえます。

吉村・石川の初戦は、吉村が7割くらいの力で打てば1発で決まってしまうので、本当にラリー回数が少ない試合でした。ラリー回数が少なかったので、自分たちの調子もつかみにくかったのではないでしょうか。
格下の相手と試合するときは、1撃で決まったとしても、「もしも返ってきていたら」ということを考える必要があります。「どこに返ってきていたら、どういうラリー展開になるか」を、ラリーが終わったら瞬時に考えるくせをつけなければいけません。そういうくせをつけることによって、次のラウンドに向けての調子を上げなければいけません。いろいろ想定しながら1ラリー1ラリーを戦っていくことによって、格下との試合にも大きな意味が出てくると思います。

松平賢二、若宮もよいペアです。松平賢二は初めから動き全開、豪打全開でした。若宮はコース取りが巧みで、タイミングをずらしたりなど、うまく試合を運んでいました。特に若宮のバッククロスのボールは非常に厳しいボールで、今日の相手はほとんど届いていませんでした。しかし、ラウンドを重ねると、あの厳しいバッククロスのボールを止められたり、カウンターを食らうことも出てきます。やはり、その後の展開も想定し、頭に入れながらやっていった方がよいですね。
2回戦の対戦相手は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)ペアですが、北朝鮮は昔からラリー志向なので、ラリーを怖がらないことが重要です。ラリーで引き返されることを怖がって打ち急ぐと、相手の術中にはまってしまうので、つなぐべきボールはつないで、その中で若宮の異質プレーを生かしてチャンスをつくっていきながら、有利なラリー展開に持って行くのがよいと思います。ラリー戦で粘り負けない気持ちを持って戦うことが大事だと思います。

混合ダブルスの日本代表の3ペアを見て、どのペアも調子がよいと思いました。一方、ほかの試合を見ていたら、多くのコートでラリーが長く続いていました。日本のところだけラリーが続かず、1人ひとりの打球の絶対回数が少なかった。それが今後のラウンドにどう影響するかはわかりませんが、興味深いように思います。


渋谷浩
平成11年度全日本チャンピオン
1997年世界選手権大会男子ダブルス銅メダリスト



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試合の詳細な記録は下記サイトをご覧ください。
国際卓球連盟 公式HP:http://www.ittf.com
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