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渋谷浩が見た東京大会<12>会場全体が1つになってつかんだメダル

■女子団体決勝トーナメント準々決勝 日本対オランダ
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 1番の平野は強烈な両ハンドドライブを打つエアランドに対して強引に攻めず、1本でも多く返球し、ミスを誘う粘りの卓球を見せました。特に相手のミドルへの打球を軸にすることで、強打を防げたことが勝利の大きな要因だったと思います。トップという重責のかかるポジションではありましたが、チームに勢いをつけてくれました。


 2番の石川は試合内容では相手を上回っていたと思います。左ペンドライブ型のリ・ジャオの特長である固いブロックを打ち抜くのではなく、打球のタイミングをずらすことでブロックを破りました。

 しかし、リ・ジャオの切れたツッツキを3球目攻撃で持ち上げるうちに、ラケットのスイング方向が上に向き、オーバーミスをする形が増えました。またドライブ攻撃での力みがブロックにも影響を及ぼし、さまざまな技術においてオーバーミスする形が増えました。

 経験豊富な相手に対して押し気味に試合を進めましたが、最後はリードしたところから、上手くかわされ、惜しくも敗れました。


 3番の石垣は第1ゲームの途中から促進ルールが適用されたことで、自分のペースで試合を進めることができました。

 促進ルールにおいてはレシーブ側が守りに比重を置いているため、サービス側は1球で決めきる攻撃力がものを言います。その点において、石垣は強烈なスマッシュを持っていたので、通常よりも守りを固める相手を打ち抜くことができました。またレシーブに回ったときにも、鋭い攻撃的なツッツキを見せたことで相手にプレッシャーを与えました。大一番での勝利は、チームの準決勝進出に大きく貢献した結果になりました。


 4番の平野は作戦として、バックへの深いツッツキと要所でフォア側を突くツッツキで、相手の得意な形である回り込んでからのフォアハンドドライブを防ぎました。また、相手のバック側へのサービスから3球目攻撃を仕掛ける展開もよかったと思います。しかし、相手が体勢を崩した後に畳み掛ける攻撃を徹底することができず、上手くしのがれてしまい、失点するケースが多くありました。

 相手のリ・ジャオは、試合途中からあえて長いサービスを出し、平野にレシーブでドライブ攻撃をさせたところを、コースを突いたショートで左右に揺さぶるパターンを見せ、得点を重ねました。また平野のフォア側を2度、3度続けて突くブロックなど固い守備力も見せ、石川戦に続き、老かいな技術や戦術を見せました。


 メダルをかけた5番の戦いでは石川が強い精神力を見せ、エアランドを上回りました。試合中盤からは石川選手の打球にタイミングが合ってきた相手の猛攻を受けましたが、最終ゲームは多くのお客さんが最後まで声援を送り続けたことが石川に大きな力を与え、メダル獲得という結果につながったと思います。

 技術的な部分に話を向けると、2ゲームを連取して、守りに入ってしまいましたが、最後はミドルにブロックして、相手がフォアハンドドライブを打ってきたところをオープンになったフォア側へブロックするなど、左右に揺さぶることで得点を重ね、見事に準決勝進出をたぐりよせました。


 準々決勝の勝利でメダル獲得という最低限の目標を達成したので、準決勝ではのびのびとプレーをしてほしいと思います。対戦相手の香港に対しても、十分に研究はしていると思いますが、接戦になることを想定して試合に臨み、各選手がスケールの大きいプレーをすることに期待したいです。

 


渋谷浩
平成11年度全日本チャンピオン
1997年世界選手権大会男子ダブルス銅メダリスト


今大会の模様は卓球レポート6月号(5月20日発売)・7月号(6月20日)に掲載

公益財団法人日本卓球協会:http://www.jtta.or.jp
JA全農2014年世界卓球団体選手権東京大会/公式サイト:http://www.2014wtttc.com
国際卓球連盟(ITTF)世界卓球2014東京:
http://www.ittf.com/competitions/competitions2.asp?Competition_ID=2278&category=WTTC

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