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世界卓球2015蘇州大会7日目⑥ 丁寧が2度目の優勝を飾る

世界卓球2015蘇州大会7日目、女子シングルスの決勝は史上まれに見る混乱した試合となった。最終ゲームでプレー中に痛めた足を引きずりながらコートに再び立った丁寧が渾身のプレーで、調子を上げつつあった劉詩雯を破り、ロッテルダム大会に次ぐ2度目の優勝を飾った。
 

丁寧は執念のプレーで2度目の優勝カップを手にした
 
劉詩雯は集中したプレーで1対3から追いつき、流れを引き寄せたが
 
丁寧はフィジカルを生かしたプレーで中陣から盛り返した
 
ラリー中に右足首を負傷した丁寧。試合続行は不可能かと思われたが……
 
丁寧のために流れた義勇軍進行曲に無念の涙をこらえることができなかった
 

<女子シングルス決勝>
丁寧(中国) -7,13,7,9,-9,-4,8 劉詩雯(中国)


丁寧と劉詩雯はともに準々決勝、準決勝と中国勢を破っての決勝進出。丁寧は勝てば2度目の優勝、劉詩雯は初優勝になる。
早い打球点の両ハンドドライブ連続攻撃で攻める小柄な劉詩雯に対して、丁寧は恵まれたフィジカルを生かして中陣から威力のあるボールを放つ。第1ゲームは劉詩雯がバックハンドドライブで先手を取り、11-7と先行する。
丁寧はコースを突いて劉詩雯を台から離したいが、少しでもコースが甘いと劉詩雯は素早い反応とフットワークでコースをつかれたボールにも的確に反応する。丁寧は威力よりもコースの厳しさを優先したプレーで劉詩雯の連続攻撃に対抗。5-5と並んだところから、大きなラリーになるが、小柄な劉詩雯が懸命に飛びついてストレートに決めて6-5。丁寧はアグレッシブなチキータを劉詩雯のフォア側に決めて8-7と逆転。8-8から劉詩雯は丁寧のしゃがみ込みサービスを2本連続でレシーブエースで10-8。ラリーになり、丁寧の深いボールを劉詩雯が取り損ねたところで劉詩雯がタイムアウト。固くなったか劉詩雯が3球目のバックハンドを凡ミスして10-10。2ゲーム目とは思えない緊迫した雰囲気の中、お互いに一歩も譲らない展開で13-13に。丁寧のループドライブを止め損ねた劉詩雯が、次のポイントでもバックハンドカウンターをミスして15-13で丁寧。
タイムアウトを使ったゲームでジュースを落としたことをひきずったのか劉詩雯が2-5とリードを許す。しかし、集中力を再び取り戻した劉詩雯が連続攻撃で7-7と追いつく。劉詩雯はチャンスボールをミスするなどして、丁寧が10-7とゲームポイント。丁寧のフォアハンドから劉詩雯のバックハンドがオーバーして、丁寧が2対1と逆転。
第4ゲームは、再び劉詩雯の表情から不安が消えて、集中している様子が見て取れる。そのメンタルがプレーにも現れて好ラリーで4-0とリード。しかし、抜けたかと思うようなボールに対しても粘り強くくらいつくプレーで丁寧が5-5に追いつく。劉詩雯は攻めがやや単調になったか、丁寧がラリーの主導権を握り始め8-5と逆転。流れを変えたい劉詩雯は回り込んでフォアハンドを決め7-8と迫ったところで丁寧がタイムアウト。その後、劉詩雯のミドルをうまく攻めた丁寧が10-7とゲームポイント。劉詩雯も足を動かして強打で攻めて9-10と食らいつくがフォアハンドの連打でオーバーミス。丁寧が3ゲーム連取。
後がなくなった劉詩雯はリスクを負って回り込む。それが裏目に出てフォア側に大きく動かされて失点もするが、劉詩雯は小さくうなずきながらプレー。7-3から7-5と点差を縮められるが、ここでも劉詩雯は回り込んで3球目攻撃。9-8まで迫られるが、今度は劉詩雯がゲームポイント。丁寧はしゃがみ込みサービスで1本レシーブミスを誘うが、ラリーから丁寧のバック側を攻めた劉詩雯が11-9で取り返す。
お互いに手を尽くした感のある第5ゲームは、地力とメンタルの勝負。再び強気の攻めを取り戻した劉詩雯がフォア側に振られたボールをストレートにエースを決めて6-2とリード。劉詩雯は怒涛の連続攻撃で10-4と突き放しゲームポイント。ラリーから甘いボールをフォアクロスに踏み込んで決めて劉詩雯が3対3に持ち込んだ。
最終ゲーム、大きなラリーで体勢を崩した丁寧が脚を押さえてコートに倒れ込んだ。スコアは劉詩雯リードの2-0。およそ10分のメディカルケアの後、再び立ち上がった丁寧に会場から拍手が送られる。丁寧は歩くのがやっとといった様子だが、ラリーが始まると得点を奪うために全力を振り絞ってボールに向かっていく。5-4でチェンジコート。丁寧のやむを得ない前陣プレーだが、劉詩雯はやりにくさを感じている様子。丁寧は前陣で劉詩雯の攻撃を受け止め振り回す展開で8-5とリード。劉詩雯が1本取り返して6-8となったところで促進ルールが適用。攻撃型同士の対戦では異例中の異例だろう。劉詩雯はバックハンドをミスして9-6と丁寧がリード。劉詩雯の連続攻撃で追い上げ8-9。高速ラリーから劉詩雯がバックハンドをミスして丁寧がチャンピオンシップポイント。劉詩雯がフォアハンドをネットにかけて丁寧の信じがたい優勝が決まった。
完全に流れをつかんでいた劉詩雯にしてみれば、決勝の最終ゲームという場面で立っているのがやっとの対戦相手に冷静な心理状態ではいられなかったろう。試合中の負傷はしかたのないことだし、丁寧の勝利への執念には敬意を払うが、このアクシデントまでは最高の試合だっただけに選手が実力を発揮できる環境で試合が行われなかったことに関しては、劉詩雯でなくとも釈然としない思いが残るのも無理はないだろう。

 

今大会の模様は卓球レポート6月号(5月20日発売)に掲載

公益財団法人日本卓球協会:http://www.jtta.or.jp
世界卓球2015蘇州/公式サイト(中国語/英語):http://www.suzhou2015.org/
国際卓球連盟(ITTF)世界卓球2015蘇州(英語):
http://www.ittf.com/competitions/competitions2.asp?Competition_ID=2503&category=WTTC

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