1. 卓球レポート Top
  2. 大会
  3. 国内大会
  4. 全日本卓球(一般・ジュニア)
  5. 平成27年度
  6. 全日本卓球2016 男子シングルス準決勝・決勝 ~元王者が全日本を語る「渋谷浩の眼」~

全日本卓球2016 男子シングルス準決勝・決勝 ~元王者が全日本を語る「渋谷浩の眼」~

大会最終日を迎えた平成27年度全日本選手権大会(一般・ジュニアの部)。平成11年度全日本チャンピオンの渋谷浩が男女シングルス準決勝と決勝を振り返る。

<男子シングルス決勝>
水谷隼(beacon.LAB) -9、4、4、7、6 張一博(東京アート)


 序盤は水谷が張の鉄壁ブロックを警戒して、バック側のボールは回り込まずに極力バックハンドで対応していました。回り込んでしまうとフォア側にオープニングができてしまうので、それを避けていたのだと思います。水谷としては様子見といった感じの立ち上がりだったのでしょう。3球目攻撃以外では、厳しいバック側のボールはバックハンドでラリーをしましたが、少し積極性に欠けたか結局第1ゲームを落としてしまいます。
 第2ゲームからは水谷が攻撃的になって、フォアハンドの割合を増やし、張のフォアミドルを攻め出しました。第1ゲームの感触から、今の自分のフットワーク力なら、フォア側を空けても飛びつきで対応できると判断できたのだと思います。張がカウンターで水谷のフォア側を鮮やかに抜くようなポイントもありましたが、水谷にとっては、想定内だったのではないでしょうか。
 水谷はこのほかにも色々な技術を駆使していました。中陣からのラリーでいきなり前に飛び込んできて、ラリーを持ち直したり、インタビューでも言っていた通り、持っているものすべてを出し切ったという感じでした。
 張一博もこの大会はすごい調子がよく、厳しいコースに打たれたボールをさらに厳しいコースにカウンターするなどレベルの高いプレーが光っていました。2対1で水谷がリードした第4ゲーム、7-6ですごいラリーがありましたが、このラリーを水谷が制して、張は少し自信を失いかけたんじゃないかと思いました。逆に水谷はこれで行けるという手応えをつかんだと思います。
 10年連続決勝に行くということ自体、想像がつかないほどの偉業です。たゆまぬ努力のたまもの以外の何ものでもないですね。そうした努力があるからこそ、強い気持ちでプレーできるのだと思います。年々ボールのスピードは増していますが、今大会では特に、チキータのバリエーションが増えていると感じました。回転の変化が多く、使う頻度も増えて進化していましたね。もともとストップやナックル性のフリックなどが多い選手ですが、それに加えて多様なチキータが増えたことは大きな武器になっていました。

<男子シングルス準決勝>
水谷隼(beacon.LAB) 8、4、12、8 笠原弘光(協和発酵キリン)


 バック側に集められた水谷のチキータに、笠原が対応できない展開が続き、チキータで逆をとられる場面も見られました。笠原は攻めが速くない選手ですが、水谷はそのプレーに付き合って打ち合いにせずに、速い攻めを徹底していました。笠原は好調だったと思いますが、この試合はお手上げという感じでした。

張一博 9、6、-9、8、4 吉村真晴(愛知工業大学)

 吉村がワイドに打ったボールに対して、それを上回る厳しいボールが返ってきて、吉村は苦しめられました。吉村のボールは直線的なので、その分早く返ってきて、連続攻撃ができなかったというのも敗因の1つでしょう。吉村はもう少し山なりのボールを入れてもよかったですね。そうすれば、時間ができて連続攻撃が可能だったのではないかと思います。コースの打ち分けはできていましたが、ボールのスピードが単調になってしまったため、張のブロックに合わせられてしまいました。それにしても、張はボールの威力も増していましたし、精密機械のようなブロックも健在でしたし、素晴らしい出来だったと思います。

記録・タイムテーブル等の情報は日本卓球協会ホームページに掲載されています。
日本卓球協会:http:/www.jtta.or.jp
各種目の組み合わせ(PDFが開きます)
男子シングルス
  女子シングルス
男子ダブルス  女子ダブルス
混合ダブルス
ジュニア男子    ジュニア女子

卓レポ.comでは、連日の熱戦の模様を卓レポ.comとツイッター(http://twitter.com/takurepo)で配信します。
全日本選手権大会の特集は卓球レポート3月号(2月20日発売号)に掲載します。

\この記事をシェアする/

Rankingランキング

■大会の人気記事

NEW ARTICLE新着記事

■大会の新着記事