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全日本卓球2018 ジュニア男女、混合ダブルス決勝 〜元王者が全日本を語る「渋谷浩の眼」〜

大会4日目を迎えた平成28年度全日本選手権大会(一般・ジュニアの部)。男女ジュニアと混合ダブルスで決勝が行われ、3種目で今大会初の全日本チャンピオンが誕生した。それぞれの種目の戦いについて、平成11年度全日本チャンピオンの渋谷浩が大会を振り返った。

<ジュニア男子>
張本智和(JOCエリートアカデミー) 9,9,9 宇田幸矢(JOCエリートアカデミー/大原学園)


 決勝は宇田幸矢(JOCエリートアカデミー/大原学園)対張本智和(JOCエリートアカデミー)の同士打ちとなりました。宇田は元々ハイリスクハイリターンの卓球ですが、張本に勝つためにはよりリスクの高いプレーをする必要がありましたが、要所で厳しいボールを厳しいところに送らないと行けないという意識が強すぎて、結局3ゲームとも競り合いで負けてしまったという試合でした。競ったときに張本はそれほど厳しいプレーはしていませんでしたが、序盤から中盤で厳しいプレーをして相手の余裕をなくす、そういう勝ち方をしていました。張本はやはり強さが突き抜けています。すべてにおいてレベルが高いです。
 張本は、特にフォアハンドで打ち抜くボールが増えました。フォアクロスに引っ張るボールは以前から威力がありましたが、今はフォアストレートのボールも威力が出てきています。これは体幹の強化による物だと思います。以前は距離を取られて抜けずに焦って打ちミスという失点パターンがありましたが、今はそれがありません。かなりの成長度と言えるでしょう。
 一方の宇田は、競り合いをしのいで、ハイリスクハイリターンながらも安定感を増してきているという印象です。あのスピードは宇田にしか出せないプレーです。彼も体幹が強くなってきて、特にフォアハンドは威力を増してきています。
 準決勝は戸上隼輔(野田学園高)は自分のプレーをさせてもらえませんでした。フォアもバックも詰まって打たされる展開が多く、本人からしてみれば気持ちのよい試合ではなかったと思います。しかし、しっかり準決勝まで勝ち上がってきたので今後も期待できます。金光宏暢(大原学園高)はラリーの安定感はピカイチですね。ブロック力も高く、冷静なラリー展開で金光を崩せる選手はいませんでした。
 この他、田中佑汰(愛工大名電高)に勝って金光にゲームオールで負けましたが、中学生の手塚崚馬(明徳義塾中)は立派でしたね。男子でスマッシュが打てるというのは意外性がありますし、ほとんどの選手は対スマッシュの練習をしないので、相手はやりにくさを感じるでしょう。いろいろなタイプがいた方が観客も楽しめるのでよいですね。
 今のジュニア世代はフォアクロスで引き合っていても、同じ位置で打ち合うということはありません。前に出てきてフォア側のボールでもバックハンドで相手のバックサイドを抜くようなトリッキーなプレーが当たり前になってきています。安全に入れるようなブロックも少なく、ハイリスクハイリターンの卓球がジュニア世代は主流です。

<ジュニア女子>
長﨑美柚(JOCエリートアカデミー) -5,-5,11,5,8 塩見真希(四天王寺高)


 決勝の最初の2ゲームは長﨑の独り相撲といった印象でした。塩見のフォアとバックのボールのギャップについていけませんでした。フォアハンドの表ラバーのボールが伸びてこないので、それに対して長﨑が上体が突っ込んで空振りしたり角に当てたりというプレーが多く、塩見はリスクを負わずに自分のプレーをしていました。また、長﨑がコースを散らしすぎていたので、いいタイミングで両ハンドを気持ちよく振れていました。長﨑は3ゲーム目をしのいでから徐々に塩見のフォアハンドのボールに対して修正ができてきて、塩見の強打が増えてきたので、バックハンドとのギャップが少なくなり、長﨑のタイミングが合いだしました。長﨑は塩見のフォアミドルを突いてから、両サイドの厳しいコースを突く戦術で攻め、さらに塩見がリスクを負ってフォアハンドで攻めてきたのが長﨑にとっては好循環でした。長﨑は本調子ではありませんでしたが、うまく修正できたところに能力の高さを感じました。
 特にフォアハンドは国内の女子の中でもトップクラスの威力がありましたが、それも増してきました。決勝ではミスが多かったのですが、バックハンドの威力も増してきています。バックハンドもただ伸ばすだけではなく、ライジングを捉えて小さいスイングで強いボールが打てるようになってバリエーションが増えてきています。去年2位で悔しさを晴らせたのではないでしょうか。
 塩見は優勝しても不思議ではありませんでしたし、かなりレベルアップしてきていると思います。厳しいボールで攻めても対応力が高く、全部返ってくるという感じですね。
 大藤沙月(ミキハウスJSC)は女子の中ではスケールの大きい男子のようなプレーをする選手ですね。年を重ねるごとにボールの威力が増してきて、これからも両ハンドともどんどん強くなっていくでしょう。木原美悠(JOCエリートアカデミー)は中学1年で準決勝まで来たら立派です。木原はバックハンドで弾くだけではなく、ライジングを捉えて緩急をつけられる良さがあります。フォアハンドもコンパクトでありながら威力が増してきています。課題としてはフォアハンドで相手の予測を外すせるような、スピードやタイミング、コース取りが身に付いてくると、国内外で勝っていけると思います。

<混合ダブルス決勝>
森薗/伊藤(明治大/スターツSC) 8,9,11 軽部/松本(シチズン時計/サンリツ)

 森薗/伊藤は決勝を含め、大会全体を通してコース取りが絶妙でした。森薗が決めることもできるし、森薗が押し込んで伊藤が決めることもできるのでいつでも得点のチャンスをつくれるのが強みだと思います。
それから、タイミングの変化をつけることができるペアということも優勝できた要因だといえるでしょう。流れの中で急に早い打球点を捉えて打つことができるなど意外性がありました。そのようなプレーをされると、相手ペアは台から距離をとりづらく、自分たちの間でプレーがしにくくなります。相手に思うような間でプレーをさせないというのも森薗/伊藤ペアの強みだといえますね。台から離れても森薗は一歩前に踏み込んで打つことができるので、その後のボールを伊藤が決めるというパターンも多く見られました。
 軽部/松本はコンビネーションの良さが光りました。特にパートナーが打ちやすいところに返球するというのがいいペアリングの条件ですが、それがしっかりとできていました。非常に相性の良さを感じるペアでした。
 大島/早田はスケールの大きさで相手をつつみこむタイプのペアでした。ペアを組んで日が浅いと思うので、これからお互いのプレーをよく知り、練習量を増やせば、勝っていけるペアだと思います。
 吉村/石川はいろんなプレッシャーもあったと思います。対戦相手からすると、目標にするペアということもあり、吉村/石川に積極的に攻めるケースが目につきました。特に、3回戦では敗戦の瀬戸際に追い込まれる場面もありましたが、窮地をしのいで勝ち進んだあたりはさすがだと思います。これから先も自信を持ってプレーをしてほしいと思います。
 混合ダブルスは東京五輪の種目になり、今大会は多くの選手が力を入れてきたという印象を受けました。これから先の戦いにも注目ですね。


詳しい情報は日本卓球協会ホームページに掲載されています。
日本卓球協会:http:/www.jtta.or.jp
全日本卓球(特設サイト):http://www.japantabletennis.com/zennihon2018

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全日本選手権大会の特集は卓球レポート3月号(2月20日発売号)に掲載します。

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