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全日本卓球2018 男子シングルス準々決勝 ~元王者が全日本を語る「渋谷浩の眼」~

大会6日目を迎えた平成29年度全日本選手権大会(一般・ジュニアの部)では男女シングルス準々決勝が行われた。ベスト4が決まった男子シングルスについて平成11年度全日本チャンピオンの渋谷浩が大会を振り返った。

<男子シングルス準々決勝>
水谷隼(木下グループ)5,7,3,8 神巧也(シチズン時計)


 神という選手は、回り込んでフォアハンドを打って、フォアサイドがオープンになりやすい選手です。相手はそのオープンになったスペースを突き、それに対して神が飛びついて得点し、勢いに乗っていくというのが神のパターンですが、この試合では水谷が神のオープンスペースを狙わずに神がフォアサイドへ飛びつこうとする習性を利用して同じコースを2度突くというプレーが多かったです。水谷は神がフォアサイドに飛びつくというパターンを予測した上でプレーをしていたのではないでしょうか。そのため神はなんとなく動きが少ないように感じましたし、調子も出にくかったと思います。水谷のうまさが光った試合でした。



松平健太(木下グループ) 5,9,-7,6,8 松平賢二(協和発酵キリン)

 この試合は松平健太が細心の注意をはらって台上プレーをしていました。打つと見せかけてストップしたり、台上のうまさが光りました。また、台に近い位置で早い打球点を捉える速攻が得点につながるケースが多かったですね。一方の松平賢二は台上では分が悪いと感じて、ラリーに持ち込みたいという思惑があったと思いますが、松平健太の台上の緻密さが想像以上のものだったといえるでしょう。またバックサイドを強引に回り込んでミスをするというパターンが多く、そうした点は松平健太の術中にはまったという感じでした。

森薗政崇(明治大)-10,8,7,13,-11,5 渡辺裕介(明治大)

 昨日「ダブルスのペア同士がシングルスで試合をすると、お互いに遠慮しがちになる」という話をしましたが、この試合では闘志を出していたと思います。昨日のダブルスの敗戦からお互いに気持ちを切り替えてプレーしていたのが印象的でした。試合内容を見ると、要所で森薗が攻めの速さを見せて、攻め切るというケースが多かったです。渡辺の場合はラリーで得点を取るタイプでしたが、森薗が隙なく速攻を仕掛けて勝利をつかみました。敗れはしましたが、渡辺は木造勇人(愛工大名電高)、吉田雅己(協和発酵キリン)を破るなど、大健闘といえる結果でしょう。

張本智和(JOCエリートアカデミー) 12,4,4,-8,10 大島祐哉(木下グループ)

 試合の序盤から中盤にかけては張本が完璧とも言える台上プレーを見せました。ストップをするにしてもボールのバウンド直後を捉えたり、ボールがバウンドした後、打球点を落としてストップしたりしていたプレーが光りました。相手からすると、打球点を落とすということは攻撃をしてくると思って下がってしまうのですが。そこでストップをすることで相手の意表をついていました。またフォアハンドのフリックをするときはナックル性のフリックを打ったりして、変化を付けていましたし、得意のチキータも完璧でした。一方の大島はその展開を嫌がって終盤は長いサービスを出して、両ハンドを振っていくというラリー志向のプレーに変更しました。これによって流れが大島に行きかけたのですが、最後はエッジインなど運も味方して、逃げ切ったような感じでした。昨年12月の世界卓球の選考会ではラリー戦になりましたが、今日の試合では、大きなラリーになる場面が少なかったことも印象的でした。それだけ張本が厳しいコース取りをしていたということでしょう。大島としては張本の打球点の早い攻撃に対して、得意のフォアハンドではなく、ある程度バックハンドで対応しなければいけないという心構えだったと思います。バック対バックの展開の中でいかに得意のフォアハンドに結びつけられるかというところでヤマを張っていましたが、大島のそうした動きを察知して、張本がオープンになったフォアサイドに振ったりしていました。この試合はそうした駆け引きも面白く、非常にレベルの高い試合でした。


詳しい情報は日本卓球協会ホームページに掲載されています。
日本卓球協会:http:/www.jtta.or.jp
全日本卓球(特設サイト):http://www.japantabletennis.com/zennihon2018

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全日本選手権大会の特集は卓球レポート3月号(2月20日発売号)に掲載します。

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