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2018年世界ジュニア 渡邉ジュニア女子監督個人戦総括「試合で点を取るための練習が必要」

女子シングルスで相馬が3位、長﨑、木原、大藤がベスト8、女子ダブルスで木原/相馬が2位、長﨑/大藤が3位という結果に終わった女子の個人戦。この結果と選手たちの戦いぶりを渡邉隆司ジュニア女子監督に振り返ってもらった。
 

wjc181210-01.jpg「中国の次」のままではいけないと渡邊監督


 選手それぞれの目標が異なりますが、目標を達成した選手もいますし、目標には届かなかった選手もいますが、チームとしては個人戦でも中国を倒して金メダルを取ることを目標としていたので少し残念な結果になってしまったかと思います。団体戦も2位でしたが、実力的にも「中国の次」という感じになっていて、このままではいけないというのが率直な感想です。

 長﨑と相馬がシングルスで中国選手を倒してくれたことは、高く評価しています。長﨑に関してはプレッシャーもあった中、苦しい試合をものにしたのは評価できると思います。相馬は私がベンチに入っていましたが、郭雨涵がカットに弱いということは何となく分かったいました。シード選手のドローが先に決まっていて、郭雨涵か黄凡真のどちらかの中国選手が相馬のブロックに入ってくることは予想できたので、郭雨涵の平壌オープンでリ・ミョンスン(北朝鮮)と対戦したときの映像を見て、予選の最後の試合もニュージーランドのカットの選手と対戦しているのを見て、カットに対して同じような戦い方をしていたので、おおよその試合展開は予想がついていました。

 相馬の郭雨涵戦の後半の精神力には感心しました。郭雨涵もカットを打てないなりに粘ってきて、試合の前半と後半ではカット打ちのミスの量がまったく違っていて、相馬としてはすごく苦しかったと思いますがよく頑張ってくれました。促進ルールにもならなかったのもよかったです。

 石洵瑶とは最後に対戦したのがアジアジュニア選手権大会の個人戦でしたが、そのときよりもうまく対応されました。カット打ち自体のレベルは変わってはいませんが、以前はストップやツッツキが浮いて返ってきたので反撃のチャンスがありましたが、今回はナックルカットをしっかりと切って抑えてきたので反撃のチャンスがありませんでした。

 2ゲーム目が終わったところで「ナックルだけではダメだから、カットを切りにいけ」と指示を出しました。それを実行できたのが4ゲーム目に入ってからでした。4ゲーム目の出足で相手が相馬が切ったカットに対してネットミスをしてからは、ナックルカットが少し浮いて返ってくるようになってきて、反撃のチャンスも出てきて展開は悪くありませんでしたが、僕がそれを2ゲーム目くらいで言えたら、あるいは、試合が始まる前にアドバイスできていたら違った展開になっていたと思います。そこは僕の作戦の立て方のミスだったと反省しています。

 長﨑は準々決勝で対戦した蘇珮綾(中華台北)には今年の頭のジュニアサーキットファイナルの決勝で敗れていたので、嫌なイメージがあったんだと思います。蘇珮綾はフォアハンドが多彩な選手で、クロスにもストレートにもドライブもスマッシュも打てますし、そつなくなんでもできるタイプですね。プレーもですが、メンタル的に負けたことがあるというイメージがついた状態で試合に入ったと思います。また、エースとしてのプレッシャーも感じながらプレーしていたと思います。本人としては自分がエースとして引っ張っていくんだという気持ちでやっていたと思うので、そうなると去年とはまったく違ったプレーになりますし、そういう意味ではいい経験は積めたと思うので、次の世界ジュニアや今後に絶対に生かしてほしいと思います。

 大藤は全種目で石洵瑶に負けました。団体と混合ダブルス、女子ダブルス、シングルスで4回負けています。今の時点では石洵瑶と比べるとまだ大きな実力差があります。サービスは大藤の大きな武器ですが、試合中に段々効かなくなってくることもあるし、ツアーなど連戦の中でみんなが研究してくるものなので、新しいサービスも覚えていかなくてはならないし、サービスが効かなくなってからの戦い方をもっと伸ばしてほしいと思います。また、ダブルスで目立ちましたが、ツッツキ打ちのミスがまだ少し多くて改善の余地があると感じました。中国選手がツッツキ打ちをミスするところはあまり見ませんよね。ですから、まだ同じ土俵に立てていない状態で試合をしていたということだと思います。まずは、そうした基礎力をつけてほしいと思います。両ハンドののびのあるプレーは大藤の特長で、非常にいいものを持っていると思うので、そこはどんどん伸ばしてほしいですね。

 木原は、相馬とペアを組んだ女子ダブルスで決勝まで勝ち進みましたが、昼過ぎから雨が降ってきたために湿気がひどくて、練習でも全然コントロールができませんでした。相手も湿気のためにミスはしていましたが、表ラバーの木原の方が影響は大きかったと思います。しかし、環境は相手もおなじですから、そういうときもそれなりのプレーができるようになっていかないといけないと思います。それを抜きにして考えると、木原は秋くらいからすごく力をつけてきていると感じていて、今大会では現時点での実力を発揮してくれたと思っています。コンディションは決してよくありませんでしたが、よく頑張ってくれました。

 各選手伸ばすべきところはそれぞれだと思いますが、全体に言えるのは試合で点を取るための戦い方、戦術を考えた練習をしていくこと、そして、試合の中で柔軟に戦術を変えたり、相手が戦術を変えてきたときにも柔軟に対応する力、それを磨いていくことが大事だと実感しました。ジュニアNTとしては去年の夏くらいから、サービス・3球目・5球目、レシーブ・4球目・6球目までを強化していこうということでやってきましたが、そこが1番戦術が出るところだと思います。実際にトップ選手のラリーの統計を取っても、やはり、4球目くらいまでに50~60%のラリーが終わって、6球目までに80~90%のラリーが終わっているという結果がでています。つまり、そこまでが卓球の試合のほとんどなので、その強化にたくさんの時間を費やしていきたいですね。10球、20球続く練習というのは基礎力はつくかもしれませんが、実際の試合で点を取る練習にはなっていないと思うので、その意識を、選手も指導者もみんなが理解して、練習のやり方を変えていかないといけないんじゃないかと思います。



 

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