令和4年7月28～31日までグリーンアリーナ神戸（神戸総合運動公園内体育館／兵庫）で、全農杯全日本卓球選手権大会（ホープス・カブ・バンビの部）が開催中。3つのカテゴリーでそれぞれチャンピオンが決まるこの大会は、将来有望な選手たちがしのぎを削るハイレベルな大会となっている。トップ選手への登竜門とも言えるこの大会には年々注目が集まりつつある。
今年度は、後半の30〜31日に女子と別日程で試合が行われた。
ここでは3人のチャンピオンが生まれた女子の3カテゴリーの模様をお伝えしよう。
ホープス女子は花沢夏琳が初優勝
＜ホープス女子決勝＞
花沢夏琳（よ〜じ卓球） 2,9,-6,8 伊藤友杏（羽佳卓球倶楽部）
ホープス女子は昨年5年生でベスト4に入った伊藤友杏（羽佳卓球俱楽部）が、決勝まで1ゲームも落とさずに勝ち上がる好調ぶりを見せたが、決勝ではダークホースともいえる花沢夏琳（よ〜じ卓球）との対戦で、緊張からか立ち上がりが悪く、1ゲーム目をあっさり落とした。2ゲーム目は伊藤リードで進んだが、9-9に追いつかれたところで花沢にラッキーなエッジが入り、花沢が初優勝に王手。後がなくなった伊藤は思い切ってプレーし、1ゲームを返したが、4ゲーム目は強気で攻めた花沢が伊藤を勢いに乗らせることなく押し切って初優勝を手にした。
3位には園部葵彩（卓桜会）と渡邉ひかり（La. VIES）が入った。園部は中陣からのカウンターを武器に準々決勝の熱戦を制してベスト4入り。渡邉はピッチの速いラリー戦に強さを見せた。
ベスト8は高橋青葉（TIT）、中川実美（美唄Star Jr.）、岩本詩菜（石田卓球N⁺）、岩見香蓮（徳増卓球クラブ）。
●花沢夏琳選手のコメント
「自分でもびっくりしてるし、みんなにも感謝しています。
最初はベスト8くらいに入れたらとてもうれしいと思っていましたが、1位になってとてもびっくりしています。
一番大変だったのはベスト8決定戦の岩本さんとの試合で、フルゲームまでいった時にすごく緊張しました。
練習通りの自分のプレーができたし、3球目の回り込み攻撃や、ラリー戦がうまくできたと思います」
カブ女子は松島美空がバンビに続いて優勝
＜カブ女子決勝＞
松島美空（京都カグヤライズ） 3,-4,5,7 新谷真奈（フェニックス卓球クラブ）
カブ女子は、昨年のバンビ王者松島美空（京都カグヤライズ）が4年生の実力者を連破し、2年連続優勝で2階級制覇を達成。パワーでは年長者に劣るものの、相手のボールの勢いを利用したカウンターやラリーになっても読みの良さ、粘り強さを発揮して、危なげなく優勝を決めた。
2位の新谷は高い攻撃力の両ハンドで快進撃を見せた。
3位には村松心菜（羽佳卓球倶楽部）と小西紅偉（Global Athlete）が入った。
ベスト8は 渡辺柚月（新発田ジュニア）、五十畑寿音（卓桜会）、祢屋楓（ねや卓球クラブ）、姚梓彤（姚JTC）。
●松島美空選手のコメント
「2年生で（バンビの部で）優勝できて、3年生でも優勝できてうれしかったです。
年上の選手にも勝てて、毎日頑張ってきたんだなということが分かりました。
3本くらい相手に取られてちょっと顔に出てしまいましたが、我慢してあきらめずにできました。
（1番大変だったのは）準決勝とかあともうちょっとで1位になれるくらいの選手たちと対戦したことです。
緊張もありましたが、パパに頑張るぞとかアドバイスをいっぱいもらって、昨日の1試合目は緊張したけど、今日からは緊張はあんまりありませんでした。
この全日本ホープス・カブ・バンビは1年間で1番大事な試合なので、絶対に勝たければと思って練習を頑張ってきました」
バンビ女子は木方菜々美が初優勝
＜バンビ女子決勝＞
木方菜々美（T.T彩たま） 7,10,7 小松佳楠（Quest 新潟クラブ）
バンビの部は準決勝で1年生の加藤このみ（マエタク）との激戦を制した木方菜々美が、完成度の高いプレーをする小松佳楠（Quest 新潟クラブ）との決勝で、やや堅さが見られた小松に対し、巧みなサービスからの展開を武器にストレート勝ちを決めた。
2位の小松も決勝までは好プレーを見せていただけに、決勝で実力が発揮しきれなかったのは悔やまれるが、将来が楽しみな選手の1人だ。
3位には加藤このみ（マエタク）と原澤有里佳（薄根卓球）が入った。加藤は1年生ながら、巧みなロングサービスとバックハンドを生かしてベスト4入り。原澤は落ち着いたプレーで勝負強さを発揮し、準決勝進出を果たした。
ベスト8は末瀬心結（卓栄kid's）、西内美咲（可部町スポ少）、新井想来（丸子橋卓球スタジオ）、本間あやめ（新発田ジュニア）。
●木方菜々美選手のコメント
「準決勝で対戦した加藤さんは1年生なのに勝ち上がってきてびっくりしました。自分のサービスからの展開がうまくいきました。
決勝は、負けたことがある小松さんでしたが、ドライブやナックルのボールに気をつけてうまくいきました。（大会を通して）サービスからの3球目がよかったです」
詳しい大会の記録はこちら
公益財団法人日本卓球協会：https://jtta.or.jp/tournament/result?cd=10007&convention_event_id=38
（取材＝佐藤孝弘）
