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世界卓球2023ダーバン 高樹ミナのダーバン便り(6日目) 
張本/早田が金メダルに王手! 木原/長﨑は個人初メダルで「最高に幸せ」

 スポーツライターの高樹ミナ氏がダーバンから選手の声と現地の様子をお届けする本企画「高樹ミナのダーバン便り」。国内外で選手たちを間近で見続けてきた高樹氏の目に、大舞台でプレーする選手の姿はどのように映るのか。デイリーで配信中!
 今回は大会6日目は、女子ダブルスで準決勝進出を決めた木原美悠/長﨑美柚(木下グループ)と、2大会連続で決勝進出を決めた張本智和(智和企画)/早田ひな(日本生命)の言葉から選手たちの心中に迫る。

 世界卓球2023ダーバン(2023年世界選手権ダーバン大会ファイナル〔個人戦〕)6日目は日本勢がまた1つメダルを追加した。
 5月25日、前日の張本智和/早田ひなの混合ダブルスに続き女子ダブルスの木原美悠/長﨑美柚が準々決勝を突破。
 "W(ダブル)みゆう"の愛称で知られる2人はこれが世界卓球個人戦の初メダルとあって、「最高に幸せです」と弾ける笑顔を見せた。

 長﨑は木原のひと言に助けられた。それはマテロバ/バラゾバ(チェコ/スロバキア)の国際ペアにゲームカウント2対1でリードされた場面。
 ベンチからコートに戻りながら長﨑が、自身のミスが続いた第3ゲームの反省を踏まえ「(第4ゲームは)丁寧にやった方がいいよね」と言うと、木原が「いや、違う。思い切ってやった方がいい」と助言したという。

「相手も緊張しとる。だから思い切ってやろうって。丁寧に行き過ぎてもあかんから、丁寧でなおかつ思い切ってと言いました」と木原。

 実際、そこからは長﨑に本来のプレーが戻り、第4ゲームは相手ペアに2点しか与えず奪取。第5ゲームもラスト3本は長﨑の豪快なレシーブで連続得点し、マッチポイントは木原自慢のバックプッシュが決まりフルゲームを勝ち切った。

 以前の2人は、すぐ上の世代にあたる伊藤美誠(スターツ)、早田ひな(日本生命)、平野美宇(木下グループ)ら綺羅星たちに比べ、自分たちは「陰の存在」と一歩引いていたところがあった。特に長﨑はその思いが強かった。
 だが、待望の世界卓球のメダルを手にした今、「そういうのはあんまり気にせずに自分たちは自分たちらしく」と長﨑。木原も「他のペアに無いものを自分たちは持っているので、そこを思い切って自信を持って出すペア」と胸を張った。

 26日の準決勝では伊藤/早田を準々決勝で破った強敵、陳夢/王芸迪(中国)と戦う。

「思い切って」という木原の言葉が2人の逆転勝利を導いた



 張本/早田は混合ダブルス準決勝で中国の若手ペア、林詩棟/蒯曼をゲームカウント3対1で下し決勝に駒を進めた。銀メダルに輝いた2021ヒューストン大会に次ぐ2大会連続の決勝進出だ。
 第1ゲームは取られて先行を許したものの、第2ゲームからは張本/早田のペース。競り合いになった第3ゲームも8-6リードで林詩棟が変えてきたサービスを早田がネットにかけ8-7になったところでタイムアウトを取り、その後は3ポイント連取で競り勝った。

 この場面を張本はこう振り返る。
「チキータで行くのかツッツキで行くのか、ギリギリまで早田選手に任せていたんですが、(タイムアウト明けに)本当にいいツッツキをしてくれて、そこからラリーになったので、あの8-7の1本が勝負を決めたのかなと思います」

 "はりひな"ペアの精神的支柱は早田だ。張本の3歳上ということもあるが、早田はダブルスのパートナーを引き立て力を引き出すのが上手い。
 ミスが続いたり劣勢になったりすると焦りやすい、まだ19歳の張本にも頻繁に声をかけて安心させ、自身は繋ぎ役として絶対にミスをしない覚悟で張本に思い切りのいいプレーをさせている。
 張本も「精神的な面でずっと引っ張ってくれてますし、戦術を考えるところから、練習で話しかけてくれるところからすごく引っ張ってくれている」と話す。

 そんな姉御肌の早田は技術やメンタル以外の要素にもアンテナを張り、最近はなんと湿度の変化も戦略に取り入れているという。
 今大会にも湿度計を持ち込んでいる彼女いわく、会場の湿度が上がると「ボールに水の粒子が付着するためボールが重くなる」「ボールの飛びが悪くなる」などの観点から、パートナーの張本が練習や試合でミスをして焦り始めたときに、湿度の影響もあると伝えているそうだ。

 例えば、中国ペアとの準決勝はこんな具合だった。
「ボールが飛ばないときに強く打つと自分たちが崩れてしまう。林詩棟選手に強く打たれなければスムーズに試合ができていくと思うので、例えば私がツッツキを早いタイミングでやって、林詩棟選手がバックドライブでキュッてかけたボールが湿気で滑るので、そこをストップかチキータに持っていくとか」

 確かに湿度はプレーに影響を及ぼす。だが、湿度計まで使って対策を図るとは。努力家で研究熱心な早田らしいエピソードである。

 張本/早田は26日、2021ヒューストン大会決勝で敗れた孫穎莎/王楚欽(中国)とのリベンジマッチに挑む。日本勢6年ぶりの混合ダブルス金メダルまであと一歩だ。

2人が決勝後に首にかけているメダルは何色か? 答えはもうすぐ出る

(文=高樹ミナ)

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