1. 卓球レポート Top
  2. 大会
  3. 国内大会
  4. 全日本卓球(一般・ジュニア)
  5. 2024年
  6. 2024年全日本卓球 女子シングルス優勝 早田ひな「決勝の舞台を精いっぱい楽しんでチャレンジャーの気持ちで」

2024年全日本卓球 女子シングルス優勝 早田ひな
「決勝の舞台を精いっぱい楽しんでチャレンジャーの気持ちで」

 
 6試合で落としたゲームはわずか1。強敵ぞろいのトーナメントを圧倒的な強さで駆け上がり、日本のエースとしての地位を絶対的なものにした早田ひな(日本生命)。
 優勝の要因と過酷なパリオリンピック選考レースを戦い終えた心境、パリオリンピックへの抱負についても語った早田の記者会見のコメントを紹介する。


--優勝の感想をお聞かせください。

早田 決勝はフルゲームになってもおかしくないという気持ちで臨んでいきましたし、11月の選考会では2対4で負けていたので、この決勝の舞台を精いっぱい楽しんでチャレンジャーの気持ちで頑張りました。

--前回敗れた張本選手に勝てた要因はご自身でどのように分析されますか?

早田 前回対策された部分をさらに自分が対策した部分はありますし、今日はラリーになったときにお互いがタイミングをずらすことをやっていて、なかなか強打につなげることができなかったんですけど、そこを我慢して我慢して、その中で相手の難しいところだったり相手の動きの逆を突いたり、そういった1球1球の選択が良かったかなと思います。

--今大会はシングルスのみの出場で見事連覇されました。今大会を振り返っていかがですか?

早田 昨日、ダブルスで優勝している選手たちを見て、「あーやっぱり優勝っていいな」と思いましたし、自分自身はできたら3種目出たい気持ちはあるんですけど、今大会は1種目だったので、今日絶対優勝して、ダブルスで優勝した選手のようにキラキラ輝いている笑顔をつかみとりたいなと思っていたので、それをしっかりかなえることができて良かったと思います。

--今大会で2年間に及ぶ選考レースが終わりました、選考レースを振り返っていかがですか?

早田 先ほど会場の優勝インタビューでも言いましたが、自分が4歳から卓球を始めて、単純に岸川選手(岸川聖也/ファースト)がオリンピックに出ているのを見たり、伊藤選手(伊藤美誠/スターツ)が15歳のときにオリンピックに出ているのを見たときに、オリンピックに出たいなって思ってはいたんですけど、こんなにも過酷な中でオリンピックの代表3人が選ばれているんだなと、すごく今回思い知らされた。でも、そこを最初から最後まで1位で駆け抜けることができたというのは、本当に周りの方々に支えられて、常に目標を持って頑張ってこられたので、2年間、こけることなく進んで来られたかなと思います。

--選考レースを独走できた要因は何でしょうか?

早田 私は東京オリンピックの時に出場できなくて、リザーブで帯同している時に、「選手の気持ちを考えて行動するのはこんなにも難しいんだな」というのを感じました。自分が選手である以上、たくさんの方に支えていただいて、たくさんの方が私に気を使って接してくれて、やっぱりその方々のためにもパリオリンピックに出たかったですし、出るだけじゃなくてオリンピックで金メダルを取るためにどうしていくかっていうことを考えて、全てのことに気を付けて毎日生活していました。そういった部分で、自分自身、卓球もそうですけど、人としてすごく成長した2年間だったなと思います。

−−パリオリンピックのシングルスの出場権を事実上獲得されましたが、その実感やパリオリンピックでの目標についてお聞かせください。

早田 今大会に出る前から(パリオリンピック女子シングルスの)出場は決まっていたんですけど、優勝した時に、この全日本でさらに120点取ってぶっちぎり1位で行きたかったんだなっていうのを感じて、実行できて良かったと思います。
 この全日本はすごく緊張する舞台であるのは間違いなくて、パリオリンピックがどのくらい緊張して、どのくらいいつも通りができないのか逆に楽しみなので、困った時にはその現実を受け入れて、今持っている自分の力で頑張りたい。そこで、いつも通りできるように、この半年間でもっともっと自分に厳しく1日1日をすごしていきたいなと思います。

--東京の苦しい思いから、早田選手はどんどん進化していると思います。その中で、「ひな語」は出てきました?

早田 出てきました。言っていいんですか?恥ずかしいんですけど「ぱらぱらチャーハン」。この中にヒントがあるので、それを分かりやすく面白くしただけなので、本当はもっと短いんですけど、どうせなら長くしてしまおうということで、この言葉を勝手につくりました。

--具体的にはどのようなことですか?

早田 自分は手足が長くて両サイドが取れるので、相手からすると体の真ん中を目がけて打ってきたりとか、自分の足を止めて動かそうとしてきます。そのときに体の真ん中ら辺にボールが来た時に処理するときに使う言葉です。・・・・・・誰も理解できない、申し訳ないです、本当に(笑)

--なぜ、ぱらぱらなんですか?

早田 それは秘密です(笑)

--パリも見据えての全日本だったと思いますけど、今大会でパリへの収穫は何か得られましたか?

早田 どの試合も、技術もそうですし、体力、そしてメンタルという部分が大事になってくるんですけど、今回は自分のテーマの一つとして、技術で抑えられるものは全て技術だけで戦っていこうと。体力は、6試合しかなかったので基本元気だったんですけど、卓球の試合って基本メンタル勝負に最後なってくる。その駆け引きの中で勝手にメンタルを使っている部分はあるんですけど、そこで技術でどうにかできるように技術だけで勝負していくというのが今回テーマだったので、そこは結構な確率でできたんじゃないかな、というのは思いますし、それが1ゲームだけ落として決勝も4対0という結果につながっているかなと思っています。

--第1ゲームの逆転を振り返っていただけますか?

早田 はい。いつもは結構展開を覚えているんですけど、そこはお互いが探り合いをしているような状況だったので珍しくあまり1ゲーム目を覚えていないんです。でも本当に1本1本を考えて、サービスだけで点数を取ったところもあるし、5-9で負けてはいるんですけど、自分の中で11点で終わるという感覚をあまり持っていなかったというか、0-0から勝負して4ゲームあったら44対何かになって終わるという感覚。11点で終わるという感覚じゃなかったので、あと2本取られたら負けるという感覚がなく、ただ淡々と44本になるまでやっていたような感覚ですね。戦術どうこうはちょっと覚えていないので言えないんですけど、メンタルとしてはそういう感じで、張本選手の動きを見て攻撃しにいっていたという感じです。

−−前だけでなく、中陣や後陣など幅広い位置でプレーして、また、強打も控えていた印象ですが、あらためて試合を振り返っていかがでしたか?

早田 張本選手も私に2回連続で勝つためにいろんな対策をしてきていたと思うんですけど、今日は自分のタイミングを外される展開、お互いに外し合う展開というのが多かったので、お互い100で打つことがあまりなかった試合だったかなと。
 その中で粘る時にただ粘るだけじゃなくて、どういうボールを使って粘るのか、それが後陣に下げられてもやっぱり前にいて圧をかけることで相手がミスするのか、後ろにいるまま自分のリズムでやった方がいいのかというのを試合をしながら1球1球見極めながらやっていたので、下げられてはいたんですけど、そこからしっかり盛り返すことができたのは成長したところかなと思います。

--パリ五輪で中国選手に勝って金メダルを取るために、ここから半年間、どういうふうに成長していきたいですか?

早田 大会が始まる前にも記者の方の前では言っていると思うんですけど、やっぱり中国人選手というのはどんなところからでも攻め込んできますし、自分が攻めたときにはしっかり守備からの反撃、そして最後攻撃につなげてくる、というのがどの選手とやってもすごく感じます。自分が押していたのになぜか最後点数を取られたり、なぜか最後に盛り返されたり、そういった勝負のうまさというのがすごくあるなと思うので、そこと戦うには自分自身の守備からの攻撃にもっていく連係というのがすごく大事になってくると思います。
 今日も結構打たれはしたんですけど、その守備からの反撃、そして攻撃につながる点数が今日の決勝は1番多かったかなと思います。そこがすごく大事になるのと、パリオリンピックのときに、よりフェデラー(男子テニスの元世界1位)を目指して頑張れているかどうかというところにあると思います。

--東京五輪のシングルスで出場できなかった2人が、今回パリ五輪に出場されるということについてはどう思われていますか?

早田 そうですね。リオオリンピックのときは平野選手がリザーブで、東京五輪のときは私がリザーブで平野選手が3番手。今回は、それが直結しているわけではないかもしれないんですけど、やっぱり悔しい思いだったり、オリンピックという舞台でリザーブという経験をしているからこそオリンピックに出たい気持ちや、次こそは自分が出るんだという意志を持った、本当に強い意志を持った2人が最後はつかみ取った切符なのかなと思います。
 つかみ取ったからには、パリ選考を戦い抜いた3位以下の選手たちの分も、やっぱり私と平野選手は責任と覚悟を持って頑張っていかないといけないですし、日本代表として恥じないようにしっかり成績を出さないといけないなという思いです。

--前回の大阪大会のときは張本選手のチキータに負けたような印象がありました。今回はあまりチキータをさせませんでしたが、サービスなどで何か意識したことがあれば教えてください。

早田 サービスの組み立てというのはすごく考えてはいたんですけど、でも11月の選考会のときは、選考会のとき、今日は今日という感じだったので、今日は出足からそんなにチキータが怖くないなという感じだったので、チキータをさせて狙うパターンも持っていきつつ、時にはチキータをさせない戦術で持っていたりしました。
 大阪の体育館の雰囲気だったり、会場の飛び方、ボールも違いますし、今回の全日本の張本選手の気持ちも違ったと思いますし、そういった部分で今日、相手が何をしてくるか、何が嫌だったかというのを見抜いた結果、4対0で勝つことができたかなと思います。

--昨年秋の長い遠征から帰ってきて、新たなチャレンジや変化に取り組んでいるとおっしゃいました。途中経過での自己評価を教えてください。

早田 レベルに限界はないと思っているので、それが自分自身の何パーセントなのかというのは、卓球人生、卓球を引退するときに分かるかな、という感じなんですけど、3ヶ月の遠征が終わってから自分の上半身の強化だったり、スイングスピードだったり、ボールの球質だったり、あとはバックハンド自体も強化していっているので、本当に全てのことがさらにパワーアップしているかなと思います。細かいところで言うと、バックハンドは前よりもいろんな球質とかコースを自由自在に打てるようになってきているかなというのは思います。


卓レポX(旧ツイッター)では大会の速報をお届けしています。

詳しい試合の結果は日本卓球協会大会公式サイトでご確認ください。
全日本卓球:
https://www.japantabletennis.com/AJ/result2023/

\この記事をシェアする/

Rankingランキング

■大会の人気記事

NEW ARTICLE新着記事

■大会の新着記事