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WTTチャンピオンズ横浜 
女子シングルスはベスト8が決定 早田、大藤が8強。橋本、張本美和は敗れる


 WTTチャンピオンズ 横浜が、神奈川県横浜市の横浜BUNTAIで8月7〜11日に開催。WTTにおいて、チャンピオンズはスマッシュ、ファイナルズに次いでグレードの高い大会で、男女それぞれ32名のトップ選手が集い、シングルスの優勝を争う。
 卓球レポートでは現地に取材班を派遣し、熱戦の模様をお伝えする。
 大会3日目の8月9日は女子シングルス2回戦が行われ、早田ひな、大藤沙月がベスト8進出。橋本帆乃香、張本美和は敗れた。

※写真は早田ひな

▼女子シングルス2回戦の結果
陳熠(中国) 3(-9,-8,10,9,10)2 王曼昱(中国)
陳幸同(中国) 3(6,3,7)0 チャン・モー(カナダ)
石洵瑶(中国) 3(-6,3,7,-8,10)2 伊藤美誠(日本)
王芸迪(中国) 3(3,3,13)0 リウ・ヤンズー(オーストラリア)
大藤沙月(日本) 不戦勝 チャン・リリー(アメリカ)
蒯曼(中国)3(5,9,8)0 スッチ(ルーマニア)
孫穎莎(中国) 3(-6,5,5,1)1 橋本帆乃香(日本)
早田ひな(日本) 3(7,-9,5,-11,7)2 張本美和(日本)

力強い両ハンドで伊藤との大接戦を制した石洵瑶

伊藤は果敢な速攻で迫ったが惜敗

圧巻のカット打ちで橋本を下した孫穎莎

第1ゲームを先制した橋本だが、第2ゲームから女王の強さを痛感

早田がゲームオールで張本に勝利

張本は早田と必死に打ち合ったが、わずかに振り切られた
メディカルタイムアウトでは岡コーチが治療にあたった
自分のベンチから治療の様子を眺める張本。様々な思いが去来した
陳熠が世界2位の王曼昱に大逆転勝利


 伊藤美誠は石洵瑶(中国)にゲームオールジュースで惜敗し、ベスト8入りを逃した。アジアカップ2025では完勝している石洵瑶に対し、第1ゲームをあっさり奪った伊藤だったが、第2、第3ゲームは石洵瑶の力強い両ハンドに対してミスが出て取り返される。第4ゲームは再び鮮やかな速攻で奪うが、最終の第5ゲームはジュースまで競り合ったものの、最後に打ちミスが出て石洵瑶にリベンジを許した。
今日の試合は私的にはあまり良くない試合だったので、フルゲームまで我慢できたところは自分の中で成長した点だと思う。けれど、勝ちきれなかった反省点もあるし、そこまで(ゲームオールまで)行っちゃったことも反省点。1ゲーム目はどちらかというと相手のミスで取ったので、2ゲーム目以降は相手が入るようになって、自分のボールの確率が低くなって相手が余裕を持ってしまいました」と伊藤は敗戦後、悔しさをにじませた。

 橋本帆乃香は孫穎莎に敗れた。第1ゲームはバックハンドサービスからのツッツキとカットで先制した橋本だったが、「1ゲーム目で効いたことがまるで通用しなくなり、手詰まりを起こしてしまった」と舌を巻いたように、第2ゲーム以降は孫穎莎にミスが全く出なくなり、一気に3ゲームを奪われて勝利ならず。
 女王の貫禄を見せつけられた形になった橋本だが、「(孫穎莎との)試合を経験できたことは本当に良かったです。勝ち切るのは難しいし大変ですけど、そこで勝ち切れるように課題に取り組んで、一つでも多く勝って世界ランキングを上げていきたいです」と、孫穎莎戦を糧にすることを誓った。

 女子シングルス2回戦の最終試合に行われた早田ひなと張本美和の同士打ちは、早田が勝利し、準々決勝進出。試合は、互いがミドルを攻めながら隙をうかがい合うハイレベルな打ち合いでゲームオールまでもつれたが、最終ゲームで張本が4-2とリードしたところで、早田がメディカルタイムアウトを要求。この要求が認められ、試合は数分間中断となった。
「ゲームが長引くとしびれて握力がなくなってしまう。USスマッシュでも陳熠選手に3対0とリードしたところからしびれがひどくなって逆転負けしたので、同じ後悔は絶対にしたくないと思い、今まで一度も取ったことはないのですが、勇気を出してメディカルタイムアウトを取りました/早田」
 パリオリンピックで負ったけがとは別に左腕の尺骨神経をわずらっていたという早田は、このメディカルタイムアウトを機に流れを引き戻し、張本を下して8強の座をつかんだ。
 一方、流れを明け渡してしまった張本は敗戦後、「負けたのは実力」ときっぱりと前置きした上で、「メディカルタイムアウトを取ることは選手に与えられた権利なので、そこに疑問はないです。ただ、なぜコーチが治療にあたっていいのか。そして、なぜ、そのことに対して審判長に尋ねてもきちんとした回答が返ってこなかったのかはとても疑問です」と涙ながらに訴えた。
 問題は、早田の治療に当たったのが、それまでの試合でベンチに入っていた岡雄介氏であったことだ。国際大会の同士打ちでは、両選手がベンチコーチを入れないのが通例になっている中で、一方の選手にだけ、コーチから何らかのアドバイスが可能な状況がつくられてしまったことは公平感を欠くと考えられても仕方がない。
 試合内容はチャンピオンズの舞台にふさわしい素晴らしいものだっただけに、WTT/ITTFには一刻も早いルール整備を期待したい。そして、勝った早田には地元開催でさらなる勝利を目指してほしい。

 また、大藤沙月は2回戦で対戦する予定だったチャン・リリー(アメリカ)が体調不良により棄権したため、不戦勝で準々決勝に勝ち上がった。

 世界ランキング2位の王曼昱(中国)とUSスマッシュ2位の陳熠(中国)の同士打ちは、陳熠がゲームオールの大接戦を制して8強に入った。試合は、陳熠が王曼昱に0対2とリードされて追い込まれたが、第3ゲームのジュースを物にすると、第4ゲームも連取して追い付く展開。最終ゲームは王曼昱の意地の両ハンドに7-10とマッチポイントを握られたが、そこからリーチの長さを生かして粘り強く両ハンドを振り、5本連取で大逆転勝利を収めた。

 そのほか、陳幸同(中国)、王芸迪(中国)、蒯曼(中国)がベスト8に勝ち残っている。

 この結果により、女子シングルス準々決勝の組み合わせは以下の通りとなった。

▼女子シングルス準々決勝の組み合わせ
孫穎莎(中国) - 大藤沙月(日本)
蒯曼(中国) - 石洵瑶(中国)
早田ひな(日本) - 陳幸同(中国)
王芸迪(中国) - 陳熠(中国)

詳しい記録はこちらから
WTT大会関連ページ:https://www.worldtabletennis.com/eventInfo?selectedTab=Matches&eventId=3094&innerselectedTab=Completed

(取材=卓球レポート編集部)
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