2026年(令和7年度)全日本卓球選手権大会(一般・ジュニアの部)が1月20日から25日まで東京体育館で開催される。
今年も昨年同様、シングルスとダブルスが分離開催され、シングルスは東京体育館(東京都)で1月20日から25日まで、ダブルスはスカイホール豊田(愛知県)で1月29日から2月1日にかけて開催される。
日本の頂点を決める戦いで、どんな攻防が繰り広げられてきたのか。卓球レポートでは、鋭い観察眼で知られる元全日本王者の渋谷浩に、選手たちの戦いぶりを聞いた。
ここでは、渋谷が男子シングルス準決勝の決勝の松島輝空(木下グループ)対張本智和(トヨタ自動車)、松島輝空(木下グループ)対篠塚大登(愛知工業大)を取り上げる。
▼男子シングルス準決勝
松島輝空(木下グループ) 4(11,-8,-8,8,12,-9,9)3 張本智和(トヨタ自動車)
非常にハイレベルな試合でした。この2人の対戦は「点を取るのが早い松島」と「コツコツとラリーを重ねて点を取る張本」という構図になっていたのは誰が見ても明らかだったと思いますが、松島の決定力もさることながら、ラリー中に相手のツボをうまく外した張本のうまさが目を引きました。
張本は元々守備力が高い選手ですが、松島のツボを外しながらも、待つ姿勢を素早く作っていました。その準備が非常に早かったと思います。ただ止めているだけでは松島にはやられてしまうので、少しでも準備を早くして、松島のバックミドルを突くなどしてチャンスをつくり、コツコツと点を取っていました。
張本は対策も十分立ててきたと思いますが、集中力もすごい高いレベルで最初から最後までよく維持していたと思います。松島はその点では少しムラがあったと思いますが、私の目には、松島のエンジンがかかりだしたのが4ゲーム目で、それまでは中途半端なミスが多かったと思います。4ゲーム目以降は派手なプレーも多く、相手にすごい威圧感を与えられるようなプレーでした。4ゲーム目からはすごい高い集中力でプレーしていましたね。
▼男子シングルス決勝
松島輝空(木下グループ) 4(8,4,4,10)0 篠塚大登(愛知工業大)
篠塚はバックハンド主戦の戦術で戦いました。序盤は松島のミスも多く、篠塚の戦術がはまったかに見えましたが、その1ゲーム目を松島がひっくり返してからは完全にゾーンに入ってしまいましたね。止められませんでした。
篠塚のバックハンド主戦で、フォアサイドをなるべく空けないようにしている工夫が見られて、ノータッチでフォア側を抜かれる回数は少なかったと思います。ただ、あそこまで強烈な両ハンドで連打されるとさすがに防戦一方になってしまいますね。篠塚も工夫はしましたが、残念ながら松島のいいところばかりが目立つ試合になってしまいました。
松島の上から叩きつけるような両ハンドは見事でした。フォアハンドもどちらに打つか分からないモーションだし、バックハンドもほぼリスト(手首)だけでラケットの先端を回すような本当に小さなスイングなので、どういうボールがどこに来るか読みにくいです。特にスピード感が読みにくい。ほとんどトップスピードのボールが来ていましたが、来るまではトップスピードかミドルスピードかが判断しにくい。だから、たまにチャンスボールが来ても篠塚はミスが出てしまいました。
あとは、相手がかなりいいボールを打っても松島が倍返しで打ち返すというシーンもありました。これは、もちろん予測能力の高さもあるとは思いますが、考えて間に合うスピードではプレーしていないので、もはや身体に覚え込ませて染みついた状態で、勝手に反応しているというレベルなのではないでしょうか。
ほかの選手が打倒松島を考えた時にどのような対策が可能なのかと私も考えましたが、松島とは異なる軸で崩すという方向性が今は見えません。松島は「何が来てもドンと来い」ですよね。そうすると、松島以上のプレーをするしかない。あの強烈な両ハンドを受け止めて、松島以上のボールを出せるようになるしかない。それは相当ハードルが高いことだと思います。ただ、タイミングが早いだけじゃない。ボールも速い、逆モーションもある、カーブもシュートもできる。そういう卓球で松島を超えることを目指すしかないと思います。
ここ数年でプレーの潮流はずいぶん変わりました。「バックハンドは伸ばす」が今までの主流でしたが、台上でもロングボールでも、「バックハンドは前陣で振る」ことができないと松島には対抗できない。それでさらに松島以上の決定力を誇らないといけない。
本当にほかの選手は大変だと思いますが、そう思わされるくらい「松島無双」の全日本でした。
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詳しい試合の結果は日本卓球協会大会公式サイトでご確認ください。
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