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ちょっと、それ貸して!! 
第9回 鄭怡静 × A.ディアス

 トップ選手同士がお互いのラケットを交換して試打し、打球感や使いやすさなど、相手のラケットを評価し合う人気企画「ちょっと、それ貸して!」。
 約3年ぶりの「それかし」は、鄭怡静(中華台北)とA.ディアス(プエルトリコ)による初のインターナショナル女子選手回です!
各用具の性能評価については、使用した選手本人の感想となります

鄭怡静(中華台北)
右シェーク攻撃型。中華台北出身。14歳より中華台北代表として、国際大会を舞台に活躍。高い身体能力と磨き抜かれた技術で長年、中華台北をエースとしてけん引している。
※参照 鄭怡静インタビュー(2023年2月公開)
前編「段階的に目標を立て、一歩ずつ進んできた」
後編「今は結果よりも過程。進歩が感じられたらそれでいい」

鄭怡静の使用用具(総重量=192g)
ブレード : 特注(スーパーZLカーボンシェーク/インナーファイバー®仕様)
スーパーZLカーボンを搭載したインナーファイバー®仕様の攻撃用シェークラケット
フォア面・バック面ラバー:ディグニクス09C (トクアツ)
粘着力と弾みを高次元で両立した粘着性ハイテンション ラバー

A.ディアス(プエルトリコ)
右シェーク攻撃型。プエルトリコ出身。卓越した打球センスと多彩なバックハンド技術を武器に、2022年3月には世界ランキング9位を達成(2023年第9週現在は14位)。創造力にあふれたプレーで世界の卓球ファンを魅了している。
※参照 A.ディアス インタビュー(2023年2月公開)
前編「大切なのは過程を楽しむこと」
後編「他の人と違うことが重要」

A.ディアスの使用用具(総重量=184.5g)
ブレード : ビスカリア SUPER ALC
スーパー アリレート カーボンを搭載した攻撃用シェークラケット
フォア面ラバー:ディグニクス05(トクアツ)
回転による打球の威力をハイレベルで実現するラバー
バック面ラバー:ディグニクス64(トクアツ)
スピードによる打球の威力をハイレベルで実現するラバー

ディアスはコントロール重視
鄭怡静は回転量重視のラケットを使用

卓レポ まず、お2人の使用用具について聞かせてください。

ディアス 私のラケットはとてもコントロールがよく、特別なラケットなので大好きです。
 私が用具選びで重視しているのはコントロールと威力ですが、私は比較的パワーがある方なので、用具に最も求めるのはコントロール性能ですね。特に得意なバックハンドで、細かい技術でも安定することは大切な条件のひとつです。
 また、サービスも大切な技術なので、サービスの出しやすさも重視しています。ほかには、スマッシュの打ちやすさ、パワーの伝わりやすさも重要ですね。
 鄭怡静がこのラケットを使ってコメントしてくれるのが楽しみです。


鄭怡静 今、使用しているラケットはスーパーZLカーボンの特注で、ラバーは両面ともディグニクス09Cです。
 これまでのラバーはドライブをした際、安定性があって回転も強かったけど、このラバーに替えてから、回転量が増したので、強い回転をかけると、相手のラケットに当たった瞬間にオーバーミスをしてくれるようになりました。自分でもしっかりとボールをつかむ感覚を感じることができます。
 私の持ち味は、回転量と爆発力だと思います。ディアス選手はボールをたたいたり、速いスピードで返球するタイプの選手なので、軟らかめのラバーが好みのようですが、私は回転を重視しているので、プレースタイルに合った硬めのラバーを使っています。


卓レポ 用具についてのこだわりはありますか?

ディアス 以前はかわいい色のサイドテープが好きで、よく使っていましたが、今はシンプルにそのままの状態で使っています。また、重いラケットが好きではないので、重くなりすぎないようにしています。
 また、他の選手も同じだと思いますが、新しいラケットを使うときは、角を少し削るようにしています。シンプルなラケットですが、私にとっては特別なラケットですね。

鄭怡静 試合中に予想外のボールが来たときや、ネットインされたときなどに、ラケットが台に当たってラバーが剥がれることがあるので、試合に影響がないように、サイドテープでラケットを保護しています。

卓レポ お互いの印象を聞かせてください。

ディアス 知り合う前から彼女は既にトップ選手でした。見た感じは、とても真面目で集中している印象でした。中国スーパーリーグで一緒に過ごすことになってから、彼女の印象は変わって、とても楽しく、親切な人で、いつも一緒にいたいと思えるようになりました。
 彼女は英語も上手ですし、今では良い友だちです。彼女のプレースタイルはとてもユニークで大好きですし、試合を見るのも楽しいですね。

鄭怡静 ディアスと初対戦した時のことは覚えています。世界卓球2015蘇州でした。そのころの彼女はまだ幼かったけど、試合をしながら、とても感覚のいい選手で、将来性のある選手だと思いました。近年は特に、大幅に成長していますね。
 彼女のパンチ力がどこから来ているかを知りたいので、彼女のラケットで打つのが待ちきれません!

ディアス プエルトリコでは私の友だちが、私がどうやってバックハンドの「パンチショット」を打っているのかを知りたがって、私のラケットを使いたがりますが、みんなは私のラケットの特徴をつかめずに、使いこなせません(笑)
 鄭怡静も最初は戸惑うかもしれませんが、彼女もこのラケットを気に入ってくれることを願っています。多くの読者・視聴者の皆さんにも楽しんでもらえたらうれしいです。

【第一印象】
ディアス「鄭怡静のラケットは打球音が大きい」
鄭怡静「ディアスのラケットは軽いけど、球離れが早い」

ディアス 鄭怡静のラケットで打ってみた第一印象は、音の違いです。このラケットで打つと「ピーン」という大きな音がします。この打球音も打球感も好きです。ラバーの表面の粘着は感じますが、ちょっと打ってみた感じはとてもよいです。

鄭怡静 初めてディアスのラケットを使ってみた印象は「軽い」です。軽いけど、想像していたより球離れが早いですね。打球感はいいけど、私にとってはちょっと軟らかいですね。
 球離れが早いけど、あまり力を入れたり回転をかけようとしなくても意外に弧線は出てくれますね。前陣でプレーするのに向いていると思います。

【フォアハンド】
ディアス「下回転のボールはしっかり体を使わないとダメ」
鄭怡静「上回転も下回転も速いボールで返せる」

ディアス フォアハンドドライブは、あまり力を入れなくても、ボールが相手コートで伸びている感じがして、とてもいいです。

鄭怡静 ディアスのラケットは本当に球離れが早いですね。自分から力を加えたり、回転をかけなくても自然に弧線を描いてくれます。

ディアス 下回転のボール(ツッツキ)に対しては少し印象が違いますね。しっかり体を使って打たないとダメです。ラケットも重いので、このラケットで練習していたら腕が疲れてしまいますね。

鄭怡静 ツッツキに対しては、フォームを大きくするとオーバーミスしやすいですね。ディグニクス05の特徴だと思いますが、上回転に対しても、下回転に対しても速いボールが打てます。

ディアス カウンターはさほど力を入れずに打ってもよいボールが出ますね。相手のコートに入ってからも高いバウンドで伸びるので、相手も取りにくいボールになっていると思います。

鄭怡静 カウンターは本当にボールが速い! やっぱり、このラケットは(私よりも)ディアスにとても合っていますね。

【バックハンド】
ディアス「たくさんの部分で使いやすさを感じた」
鄭怡静「パンチショットが本当にやりやすい!」

ディアス ここ(バックハンド)からは、さらに楽しみですね!
 このラケットだと、ボールが上に飛んでいきます。私のラケットだともう少し下に飛んでいくので、そこが違いますね。ボールの軌道も違って、このラケットだと弧線を描きやすいですが、私のラケットの方は直線的なボールです。とても打ちやすいけど、バックハンドは私のラケットとの違いは大きいですね。

鄭怡静 私がバック面に使っているディグニクス09Cは、打球感が硬いため、ドライブ回転をかけるためには、意識して自分から回転をかけないといいボールが打てませんが、ディアスのディグニクス64だと、ラバーが軟らかく、それなりに速くスイングすれば速いドライブが打てますね。
 ディアスの武器でもあるパンチショットは本当にやりやすいです。

ディアス そのためのラケットだからね!(笑)
 鄭怡静のラケットはツッツキ打ちも全然違いますね。このラケットで下回転のボールを打つと、弧線を描きやすい特徴を生かすことができます。回転がかけやすいので、チョップブロック(サイドスピンブロック)もやりやすいですね。
 一方で、パンチショットはこの組み合わせだと回転がかかりすぎて、ボールが上に飛んでしまうので、オーバーミスしてしまいます。
 このラケットに替えることはないかもしれませんが、たくさんの部分で使いやすいさを感じました。

鄭怡静 下回転のボールに対しては、ラバーが軟らかいため、自分で弧線をつくる必要がありますね。私の使っているディグニクス09Cは硬めなので、回転を強くかけたときに、ラバーで長くボールを持てる感覚がありますが、ディグニクス64は軟らかいので、回転量と弧線を意識しなければなりませんね。

【サービス・レシーブ】
鄭怡静ラケットはショートサービス、
ディアスラケットはロングサービスが出しやすい

ディアス レシーブはとてもやりやすいですね。ボールが短く出るのはいい点です。
 チキータは自分のラケットとの差が大きくて難しいですね。私のラケットだとボールが直線的に飛んでいきますが、このラケットだと上に飛んでいく感じが強く、体を使う必要があって難しいと感じました。バックハンドの技術(チキータやストップ、ツッツキ)は、全般的に私のラケットと大きく異なるようです。

鄭怡静 少し重心をかけて、前に押すように打つだけでボールの深さやコースをコントロールすることができます。強い力を加える必要がありません。チキータも同じですね。少しの力でスピードのあるボールが打てます。

ディアス サービスは、球離れが早くないので、コントロールがしやすくてどんなサービスでも出しやすいですね。ボールがラバー上に長くとどまる感覚があるので、回転がとてもかけやすいです。特に、ショートサービスを正確に出しやすい点がよいと思います。

鄭怡静 ロングサービスが出しやすいですね。このラケットの特徴であるスピードが生かせます。タイミングさえ合えば楽に出せます。
 ショートサービスは、球離れが早いので、自分でボールをつかんでコントロールする必要があります。ちょっと力を入れすぎると飛んでいってしまいますね。

【まとめ・こんな選手にお勧め】
鄭怡静ラケットはコントロールと安定性を求める選手に
ディアスラケットは球離れとスピードを求める選手に

ディアス 鄭怡静のラケットは、想像以上に使いやすかったです。とてもよい組み合わせだと思います。
 ただ、私のバック面と鄭怡静のバック面はまったく違いますね。私の方はバックハンドのパンチショットを多用しやすい組み合わせですが、鄭怡静の方は回転がかけやすく、弧線を描き、コントロールと安定性を重視した仕様になっています。2人の特徴がよく出た用具になっていると感じました。
 鄭怡静のラケットが一番向いている選手は......、鄭怡静本人ですね(笑) 彼女のようにボールを正確にコントロールできて、安定性があり、ボールをコートのどこにでも打つことができるスタイルの選手に合っていると思います。これらは彼女の持つとても重要な技術です。また、パワーがあって、ボールをしっかりとつかんで打つことができる選手にも向いていると思います。

鄭怡静 ディアスのラケットは、全体的にはすごく使いやすい用具だと思います。握り心地も打球感もいい感じでした。
 私は用具を選ぶとき、やはり、自分のプレースタイルに一番合うものを選びます。私は回転のかけやすさなどの特性から今の用具を選択していますが、ディアスは特にスピードを重視していると思います。
 この用具の組み合わせは、ディアスのように球離れの速さとスピードを重視する選手にお勧めします。

【出演してみての感想】
ディアス「こんな経験は初めて」
鄭怡静「皆さんのお役に立てたらうれしい」

ディアス この企画とはとてもオリジナリティーが高く、こんな経験はしたことがありません!
 ファンの皆さんにとっても、2人のトッププロ選手が自身の経験を元に、他の選手のラケットについてコメントするのはとても面白いことだと思います。私もこの企画を何度も見ているので、出演できたのはとても名誉なことです。

鄭怡静 この企画に参加できたとことをとてもうれしく思います。ディアスのラケットを使わせてもらったこともとても光栄なことです。
 この企画を視聴した方や、用具に興味を持ってくれた方のお役に立てたらうれしいです。



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(まとめ=卓球レポート 協力=久保真道、馬佳)

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