1. 卓球レポート Top
  2. 大会
  3. 国内大会
  4. 全日本卓球(一般・ジュニア)
  5. 2020年
  6. 水谷隼、全日本決勝を語る②【第2ゲーム】

水谷隼、全日本決勝を語る②【第2ゲーム】

 史上稀に見る激戦になった男子シングルス決勝宇田幸矢(JOCエリートアカデミー/大原学園)対張本智和(木下グループ)の攻防を、水谷隼(木下グループ)が圧倒的な分析力と説得力で読み解くスペシャル企画。
 第1ゲームは、宇田が見事な対応力に加え、運も味方につけて先制した。第2ゲームはどのような攻防のもと、試合が進められたのか。水谷の解説を紹介しよう。

得点が欲しい場面で
しっかり攻めた宇田が2ゲームを連取

張本のコース変更に対応した宇田がペースを握る

宇田 2-0 張本 宇田がフォア側に来たチキータを3球目で狙い打って得点
 張本は1ゲーム目まで、宇田のバック側にチキータすることがほとんどでしたが、このラリーではフォア側にコースを変えました。しかし、そこを宇田は狙い打ちました。ここが、すごく強かったと思います。
 宇田は、1ゲーム目で急に来たロングサービスを狙い打ったように、張本が変えてきたことに対してしっかり強打できています。張本としてはプレーの選択肢の幅がかなり狭くなってしまいますね。

宇田 3-1 張本 宇田がチキータレシーブをミス。張本が得点
 張本が得点しましたが、自分から攻めることができていないので、全体的に押されている印象です。

宇田 6-4 張本 宇田が回り込み3球目攻撃で得点
 張本のフォア側にハーフロングサービスを出して、クロス(左利きの宇田のバック側)に来たのを回り込んで強打。これが、宇田にとって一番いい展開です。
 張本は、1ゲーム目10-9リードの場面でストレートを狙ってミスしているので、この場面でも点数に余裕がなく、ストレートを狙って(宇田のサービスをストレートに狙う感覚が)どんな感覚なのかをつかむ余裕がない状況です。

宇田 6-5 張本 張本が浮いたレシーブを3球目攻撃して得点
 ここは張本がうまかったですね。2-5の場面で下回転サービスを切って宇田にネットミスさせていたので、ここではサービスをナックル(無回転)性に変えて宇田のレシーブを浮かせました。3球目でミドル(左利きの宇田の左腰あたり)を狙ったコース取りもよかったと思います。

宇田 6-6 張本 張本がバック前へのサービスで得点
 張本は0-3の場面でも宇田のバック前にサービスを出してミスを誘っているので、今のところ、バック前への横回転系サービスが少し効いている印象です。

張本らしい厳しい攻めがようやく出て連続得点

宇田 6-7 張本 張本がバックハンドでコースを突いて得点
宇田 6-8 張本 張本がバックハンドでコースを突いて得点
 この2本はすごくよかったですね。フォア側とバック側に厳しく揺さぶっていく張本らしいプレーでした。
 左利きの選手はこれだけ両サイドに揺さぶられると苦しいので、張本は、このようにボールを散らしていきたいところです。

宇田 7-8 張本 宇田がバック前に来たサービスをチキータレシーブで得点
 ここは宇田がうまかったですね。このゲームでは、張本に2本バック前にサービスを出されて失点していたので、宇田は待っていました。

宇田 8-8 張本 宇田がツッツキで張本のバックハンドドライブのミスを誘い、得点
 この場面で張本はツッツキに対するバックハンドドライブをミスしましたが、最終ゲームも競り合ったところで同じようなミスをします。この決勝を通して、張本は大事な局面で宇田のツッツキに対してバックハンドドライブのミスが多かった印象です。
 やはり、チキータを主体にしながらフォア前へのストップも時折入れてくる宇田のレシーブに対し、何をしてくるのか分からない脅威があったからだと思います。

宇田 8-9 張本 張本がフォア前ストップレシーブで得点
 宇田のサービスに対しては、このフォア前ストップが効いています。張本からすると、レシーブはできる限りフォア前のストップを使いたいと思っていたでしょう。

宇田 9-9 張本 宇田がサービスから3球目フリックで得点
 宇田は、上回転系のサービスを出して張本のストップを浮かせました。張本としては宇田のサービスに対し、フォア前へのストップとバック側へのチキータの二つを徹底したい。それをさせないように、宇田はサービスを工夫していますね。

宇田がレシーブから2本攻めて第2ゲームを奪う

宇田 10-9 張本 宇田がフォア前に来たサービスをチキータで得点
宇田 11-9 張本 宇田がフォア側に少し出てきたサービスをフォアハンドドライブで得点
 2ゲーム目の出足は宇田がいいプレーをしました。一方、張本もサービスから崩して徐々に追い上げていきましたが、最後の勝負どころの、この2本が痛かった。
 サービスを持っていて2本とも相手にレシーブから攻められてゲームを落とすというのは精神的につらいですね。張本のサービスの選択も少しよくなかったと思います。

●男子シングルス決勝
第1ゲーム 宇田幸矢 13-11 張本智和
第2ゲーム 宇田幸矢 11−9  張本智和


(まとめ=猪瀬健治 動画=小松賢)

\この記事をシェアする/

Rankingランキング

■大会の人気記事

NEW ARTICLE新着記事

■大会の新着記事