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2024年全日本卓球 男子シングルスは張本が激闘を制し2度目の優勝

 
 2024年(令和5年度)全日本卓球選手権大会(一般・ジュニアの部)が1月22日から28日まで東京体育館で開催される。
 大会最終日は男子シングルス決勝が行われ、張本智和(智和企画)が戸上隼輔(明治大)との激闘を制し、6年ぶり2度目の優勝を決めた。

張本は14歳の初優勝以来、6年ぶり2回目の優勝を果たした

決勝には攻撃的な姿勢で臨んだ張本。最後まであきらめないプレーが実を結んだ

あと1本が遠かった戸上。だが、その強さは日本中が目撃したはずだ


▼男子シングルス決勝の結果
張本智和(智和企画) -8,10,-9,-8,9,12,14 戸上隼輔(明治大)

 死闘という言葉がふさわしい、魂のぶつかり合いのような激戦だった。
 昨年と同カードとなった決勝だが、どちらかと言えば、攻守、明暗がはっきり分かれた昨年とは段違いの内容の濃い一戦となった。
 昨年と異なっていたのは、戸上が攻撃一辺倒ではなくラリーの緩急を使い、攻守のメリハリがついたこと。張本は、特にフォア側への攻撃に対して、ブロックではなくカウンターで応戦できるようになり、両者とも戦術の幅が広がったことで、試合もそれに2人のレベルアップに比例して大きくレベルアップを遂げていた。

 第1ゲームは、戸上がスタートダッシュで6点連取。苦手意識があった吉村戦とは打って変わって、プレーにも表情にも勢いのある戸上が、チキータ、フォアハンド強打、カウンターを決めて第1ゲームを先制。
 張本も昨年の決勝とは別人のような攻撃的なプレーで、チキータレシーブから4球目をフォアクロス強打を決め、戸上の強打も極力ブロックを使わずにカウンターで応じ、戸上に流れをつかませない。第2ゲームはジュースで逃げ切った張本が取り返す。
 第3ゲームは戸上がラリーで落ち着いて緩急をつけて8-4とリードするが、戸上のミスが続いて8-8に。ここから戸上がややリスクを負った攻めで10-8に。10-9から張本のフォア前へのサービスを戸上がフォアクロスにチキータして2対1とリード。
 第4ゲームは戸上が足を動かしてのフォアハンドが決まり、リードする展開。9-7から9-8と張本に追い上げられたところで戸上がタイムアウト。このゲームをしっかり取りきって戸上が3対1で王手。
 後がない張本は、ラリーでいままでより攻撃的に攻めて、10-5と大きくリード。しかし、ここからあきらめない戸上が9-10と迫ると、たまらずにタイムアウト。次の1本で戸上がフォアハンドをミスし、張本が1ゲームを返して第6ゲームへ。
 今度こそ決めたい戸上だが、序盤は張本がリード。しかし、戸上がフォアハンドで得点を重ね9-8と逆転。今度は9-9からバック対バックで打ち勝って戸上がチャンピオンシップポイント。張本は、13-12から戸上に分があるフォアクロスの打ち合いを制して、3本のチャンピオンシップをしのいでこのゲームをものにした。
 運命の最終ゲームはどちらも譲らない1ポイントを全力で奪い合うような至高のラリーの連続。戸上のフォアハンド強打にも対応しカウンターを決めるも、戸上がバックハンドの強打で連続得点を決め、10-8で再びチャンピオンシップポイントを握る。あと1点が喉から手が出るほどほしい戸上に、あきらめない張本がくらいつく。

 あと1点で3度目の優勝が手に入れることができるチャンスを8回手にした戸上と、あと1点落としたら少なくとも1年は優勝がおあずけとなる張本の意地のぶつかり合いは、戸上の8回のチャンピオンシップポイントを経て、14-14に。ここで戸上がバックハンドをミスし、張本が王手。張本の5球目フォアハンドに手を伸ばした戸上のラケットがはじかれボールがアウトすると、張本は信じられないといった様子で呆然と立ち尽くしたあと、赤いマットの上に突っ伏した。

■張本智和優勝インタビュー
--この会場の雰囲気、どう捉えてますか?
張本 本当にもう言葉が出ないですね。いつも自分、インタビューは完璧なんですけど、今日は本当に言葉が出ないです。誰に感謝していいか、会場にいる全ての人に相手含めて全員に感謝したいです。

--優勝した今のお気持ちというのも、なかなか言葉に表しづらいですか?
張本 そうですね。初優勝なんじゃないかっていうくらい全日本の優勝の仕方を忘れて、今日も戸上選手は完璧で、何をやってもダメで、先週は勝ったんですけど、それも僅差で本当に強いです。
 本当に決勝終わって握手の時も言ったんですけど「1位も2位も僕らの中では変わらない」。時の運で1点2点ラッキーもあったり、思い切れたり、その差で結果は絶対出ちゃうんですけど、僕と彼は本当に同等で、ライバルで、明日やったら彼が勝つかもしれないし、明後日やればまた僕が勝つかもしれないし、本当にそれくらい良きライバルです。
 もうこれでオリンピックまで戦うことあるかもしれないですけど、正真正銘残り半年間、仲間としてオリンピックに突き進んでいきたいと思ってます。

--勝負のポイントはどこだったんでしょうか?
張本 ポイントは多すぎて、全てのボールがポイントって言いたいくらいなんですけど、やっぱり1番は5ゲーム目1対3の10対9でタイムアウトで取り切ったところ。2つ目がやっぱり最終ゲームでマッチポイント何回も取られて、そこでも取り返して、最後もマッチポイント何回も取られて取り返して。正直、最後は足もつってたんですけど、最後の2点でピタッて足のつってるのが止まったんですよ。もうその時に神様に勝てって言われてるのかなって、本当に心の底から思いました。

--今日は相手に8回チャンピオンシップポイントで王手をかけられている状態でした。どんなことを考えていたのですか?
張本 8回ですか。自分では3、4回は耐えたかなと思ったんですけど、本当にそれだけ耐えたっていうことは信じられないですし、8回耐えるなんてこの先あるかないか、それくらいのことだと思うので、本当に全日本の神様が6年ぶりに優勝をくれたのかな、と。自分の力ではないです。本当に神様のおかげです。

--前回の優勝が6年前のあの時は14歳でした当時と比べると、今回の優勝というのはどんな優勝ですか?
張本 当時よりも10倍も20倍も100倍も「優勝したな」という実感があって嬉しいです。本当に1試合目から最後まで無駄なボールは1球もなかったし、こんなに欲しくて取れたタイトルっていうのもここ数年で初めてだと思います。
 大会前は全日本を取れなくてもオリンピックを取れればいいや、という気持ちでしたけど、改めてこの全日本の素晴らしさ、価値を再認識させられたので、来年以降、次は僕が連覇するチャンスがある選手になるので、これから先何度も連覇できるように、本当に戸上選手とこの先、全日本を含めて何回もやると思うので、また彼とこの決勝で何度も何度も戦って勝って負けて、もちろん全部勝ちたいですけど、本当に実力同じくらいなので、勝つ回数を増やしてお互いで世界に高め合っていけたらいいのかなと思います。

--最後に今年はパリオリンピックイヤーです。オリンピックに向けての思いをぜひ聞かせてください。
張本 そうですね。いよいよこの全日本が終わって、来月から世界に向けての大会が始まります。オリンピックまでもう半年もないですし、この半年間が一番大事だと思います。オリンピックその日はもう準備してきたものを発揮するだけなので、この半年間、いかにいい準備をするか、そこでメダル取れるか取れないか決まってくると思うので、試合はただの答え合わせであって、そのまでの練習、勉強が一番大事だと思います。
 本当に明日からオリンピックに向けて、この瞬間ですね。今日もあの表彰台を降りたら、オリンピックが始まると思って頑張りたいと思います。


 2位の戸上は3連覇に手がかかりながらも、あと一歩のところで栄冠を逃してしまった。「マッチポイントで狙いが定まらず、そのままプレーしてしまったのが敗因」と振り返ったが、張本を追い詰めた素早いフットワークと両ハンドドライブの一撃の威力は、誰もまねのできない戸上隼輔のプレーそのものであった。
 張本智和と戸上隼輔、この2人の切磋琢磨(せっさたくま)がさらに卓球を熱く、おもしろくしていってくれるであろうことを確認できた今回の全日本卓球にはとてつもなく大きな意味があったと言えるのではないだろうか。

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詳しい試合の結果は日本卓球協会大会公式サイトでご確認ください。
全日本卓球:https://www.japantabletennis.com/AJ/result2023/

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