まさに圧倒的な強さで、張本智和はジャパントップ12初優勝を飾った。「今日のようなフォアが入れば、自分の理想に近づく」。そんな自信を感じさせるコメントとは裏腹に、昨年末のTリーグでは調子を落とし、年明けの全日本選手権では準決勝敗退という苦杯を喫していた。

まだ15歳の張本にとって、周囲の期待は過大なプレッシャーとなってのしかかっていたのだろう。しばし彼が「死にものぐるいで練習して……」といった言葉を発するのは、そのプレッシャーに打ち勝つべく、自らを追い込むためなのか。必死の鍛錬の中でしかつかめない何かを足掛かりに、己の心技体を磨き、時として用具を変え、勝利というかたちで期待に応えてきた。



ラケットを『張本智和 インナーフォース ALC』に変えて2ヶ月ほどの頃、ワールドツアー・グランドファイナル最年少優勝という快挙を達成。そして、回転重視のより高いレベルのプレーへと導く『ディグニクス05』を手にした今回、約1ヶ月半前の全日本の時よりも明らかに上回る威力のフォアハンドを披露し、相手を圧倒した。

ところで、彼がメジャーな大会での優勝時に着ていたシャツのカラーはその時々で異なっている。今回の決勝では、張本の好きなカラーであるブルーの『エリスター6』(市販モデルは『エルクレスト・シャツ』)を選択した。その都度「勝負カラー」を選びぬくのが、彼なりの験担ぎなのだろう。張本の若くて強い感性は、あらゆるものをすぐに吸収し、勝利のためのエネルギーへと昇華させてしまうように思える。


真の頂点を極めるために、日々の進化を求められる張本。彼にとって、妥協なき鍛錬と用具選択は、決して欠かせないものなのだ。



ジャパントップ12初優勝時に
張本智和が使用した用具