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強化のフロントライン9 全日本ホープス・カブ・バンビの評価

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〜宮﨑強化本部長に聞く日本の強化策〜
日本の最前線ではどのような強化が行われているのか。そのさまざまな方策について、日本卓球界の強化の長である宮﨑義仁強化本部長に聞く本企画。今回は、全日本卓球選手権大会ホープス・カブ・バンビの部を視察した宮﨑強化本部長の評価を掲載する。


●過剰なガッツポーズが減り、選手がより試合に集中できるようになった

frontine09-01.jpgカブ優勝の渡部民人(偉関TTL)。テクニックもさることながら落ち着いた試合運びが光っていた


 前回は、全国ホープス卓球大会を視察した上での評価をお話ししました。今回は、7月27〜28日に行われた全日本卓球選手権大会ホープス・カブ・バンビの部を視察して感じたことを述べましょう。

 全日本卓球選手権大会ホープス・カブ・バンビとは、小学6年生以下の「ホープス」、小学4年生以下の「カブ」、小学2年生以下の「バンビ」の3つのカテゴリーで日本一を決める大会です。各カテゴリーの技術的な評価を述べる前に、今回は全体的な感想からお話しします。
 今大会の会場を見渡して、まず感じたのが「過剰なガッツポーズが減った」ことです。この大会では数年前まで、多くの選手が得点した後、「ヨーヨーヨーッ!」と必要以上に声を張り上げている姿が目立ちました。得点後の過剰な声が会場中に満ちており、それはまるで、卓球の技を競うのではなく、どちらが声を大きく出すかを競うガッツポーズ合戦のようでした。しかし、今大会では、不必要なガッツポーズが減り、選手たちが相手との勝負により集中できている様子を見ることができました。

 強化本部として小学生を強化するための指針はいくつかありますが、「相手との真剣勝負を意識させる」ことも重要なテーマの一つです。
 対人競技である卓球は、相手との駆け引きが勝敗の決め手になります。レベルが高くなればなるほど技術の差はなくなってくるため、相手の心理を読み、その上を行ったり逆手に取ったりすることが勝つためには欠かせなくなってきます。こうした、相手との駆け引きに強くなるためには、小学生の頃から相手ときちんと対峙し、プレーに集中する習慣を身に付けていくことが必要になるのです。息が詰まるような相手との真剣勝負を繰り返すことによって、その選手はもう一つ上のステージに行くことができるでしょう。
 
 真剣勝負を意識させるという点において、過剰なガッツポーズはその妨げになります。ガッツポーズが勝敗に大きく関わるのならば、誰もが技術を練習せずに声出しの練習をするでしょう。しかし、当然ながら実際はそうではありません。ガッツポーズが長ければ、その分、相手との勝負に集中することはできないでしょう。また、勝敗にかかわらず、必要以上のガッツポーズは相手に対する礼を失する行為だといえます。
 ここで私が述べたいのは、「声を出さずに静かに試合をしなさい」ということではありません。要所でのガッツポーズは、自分を鼓舞し、勢いに乗るために欠かせないものです。私が述べたいのは、過剰なガッツポーズは「相手との勝負に集中し、勝つための戦術を立てる」という強くなるためにとても大切な時間を削ぎ、それが将来的に大きく成長するための妨げになってしまうということです。

 不必要なガッツポーズを控え、勝負に集中することが大切とはいえ、小学生ですから悪意があって過剰に声を出しているわけではありませんし、真剣勝負の意味や必要性についてもピンとこないでしょう。だからこそ、私たちが、彼らが相手と真剣勝負できるような雰囲気をつくり、彼らにそれとなくその重要性を気付かせ、導いていく必要があるのです。

 強化本部ではホープスナショナルチームの合宿を定期的に行い、そこで全国各地の指導者の方々とこうした指導方針をシェアしています。過剰なガッツポーズが減り、選手たちが相手との勝負に集中できていた今回の全日本卓球選手権大会ホープス・カブ・バンビを見て、指導者の方々の尽力に敬意を表すると同時に、ホープスの強化がよい方向に進んでいることを実感することができました。

(取材/文=猪瀬健治 写真=佐藤孝弘)

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