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「卓球は血と魂だ」 第三章 六 強くなる練習法

第三章 卓球の炎をかかげて

六 強くなる練習法

 男子は前原正浩君(協和発酵)、女子は嶋内よし子さん(三井銀行)が新チャンピオンとなった。昨年から新種目ホープス(小学生)が加わり、全日本選手権大会が多彩となり、将来展望の意義がプラスされた。卓球日本の新春の話題の第一は、あと一年に迫った世界選手権東京大会であるが、その短期決戦と共に一九八八年のソウルオリンピック卓球初参加をめざす長期計画がなければならない。このような時に日本卓球協会の努力で今夏全国小学生大会の開催が期待されていることはうれしい。

 さて全国の少年少女選手諸君、今年こそ強くなろう。試合に勝てる選手になろう。目先の試合だけでなく将来の大選手を目指そうではないか。本当に強くなるためには、人より多く練習をやること。その練習の内容がよくなければならぬ。だが、実際問題として、練習相手が弱いと自分は強くなれない。第一、自分が強打したら相手がミスしたり、切ったカットをすれば相手がミスしたのでは、自分の訓練にならない。相手も上手になってくれなければ困る。もし自分より強い練習相手がいれば自分はきたえられる。強い選手と練習すれば一日一日上手になっていけるのだ。

 自分のチームのレベルが低ければ、誰かががんばって一段と強くならなければならぬ。ある一人が強くなれば、まわりの人達を引っ張っていける。今年こそ君のチームや、あなたの街の水準を引き上げる努力をやろうではないか。

 昨年一一月中旬、バタフライ・ラブで開催された第八回指導者合宿で、渋谷五郎さん(元全日本チャンピオン)はこう話した。「カット選手の場合でも安易な気持ちで練習してはならない。私は攻撃的なカットマンになろうとした。相手の球を後ろに下がって受けるのではダメで、一歩でも前で受け鋭い送球をやった。常に自分をきびしい状態において練習した。たとえば相手は両サイドに自由に打ち、自分は相手のバック側だけに深く返すとか…」「ちょっとでもチャンスがきたら攻撃しなければならぬ。そのためには、何時でも反撃できるよう、フットワークをきびしくやり、常にベストの体勢に努力しなければならぬ」。

 卓球レポート一一月号で、元世界チャンピオンの松崎キミ代選手が大学時代の苦しい練習を述べている。一年上の星野展弥選手(全日本No.1)に七本ハンデで連続二〇ゲームも練習試合した時のことだ。これについて星野氏に聞いてみると、「あれは松崎のためにもなったが、僕のためにもなったんですよ。松崎は他に例を見ないガンバリ屋だった。はじめは僕が強打したら球を横に飛ばしたが、だんだんついて来た。彼女が必死に打球すると、女子の球はピッチが速いし鋭角にくる。僕は先手をとられてから必死にこらえ、しのいで反撃に転じていく。七本ハンデを与えているから精神的にも苦しい状態でがんばるくせがつく。七本やると六〇%は負けた。あの頃の僕は他の女子なら一〇本やっても負けなかった。今の女子選手は体力も弱いが、精神力も松崎とは格段に落ちる。強く鍛えるとくずれてしまいそうだ」と、全日本大会を見ながら語った。

 試合は練習の気持ちで、練習は試合の気持ちでやることだ。練習は自分を苦しい状態においてがんばろう。サービスとフットワークは自分ひとりでも日本一を目指す練習がやれる。試合や本から学ぼう。そして最後には自分の卓球をつくり上げよう。
(卓球レポート一九八二年三月号)

 

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