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「作戦あれこれ」第139回 しのがれた時はこう攻めろ!

 卓球レポートも、はや新年号。皆さんのお手元に届く頃には、新年まであと数日、となっていることだろう。
 卓球界にとって1988年は輝かしい年である。9月にあるオリンピックに初めて卓球が登場する、その記念すべき年がもうすぐ明けるのである。
 皆さんにとって1988年が飛躍の年になることを念願し今年も少しでもお役にたてるようがんばりたい。

 連打にミスが多い

 さて、最近の試合で気づいたことのひとつに「連打の時のミスの多さ」がある。
 試合で、サービスから3球目の速攻をする。これで決まる時はいいのだが、相手がショート、ロングでしのいだ時に連打にミスがでる。また、ショートで相手をゆさぶり、相手をロビングまで追いつめながらスマッシュミス...。こういったケースが目につく。
 せっかく攻勢をとりながら、相手のしのぎにつまらぬミスをするようでは試合に勝てない。速攻が大事なのと同じように先手をとった後、相手のしのぎを確実に攻めきることが大切である。
 ではどのように攻めたらよいか?
 そのことについて今回は考えてみよう。

 打ったら、もどる

 しのぎ、というと中~後陣からのロングやロビングを連想しがちだが、前陣でのショートもしのぎである。
 サービス+3球目やレシーブ+4球目で先手をとると相手はまずショートでしのいでくる。このボールをしっかり攻め込むことが攻撃の基本である。
 速攻の練習に気をとられ、サービス+3球目、レシーブ+4球目に頭のいっている選手は、5球目、6球目以後の練習を見ると、3球目までは集中しているのに、5球目はいちかばちかの攻撃ですませてしまったりする。これでは確実に得点することができない。
 こういった選手に共通しているのが「もどりの悪さ」である。
 3球目で攻める。4球目で攻める。しかし、その後のニュートラル(ラリーの中の基本位置、姿勢)へのもどりがないと攻められない。一本攻めた後は、次の打球が最も攻めやすいニュートラルにもどる。これが基本中の基本である。
 このもどりの練習をしっかりやり、余裕をもってどのコースにも打ちわけられるようになれば、5球目以降の得点率がグンとアップすることは間違いない。

 フォア連打が基本

 しのぎに対しては(主としてフォアハンドで)しっかり動いて連打することが基本である。
 ストップを上手に使うことも大切だが、まずしっかり連打できるようになってから使うのが望ましい。
 というのは「一本打つとすぐストップ」のプレーがクセになってしまいやすいからである。
 フォア側でスマッシュした後バックへくると、ゆるい返球に対してもすぐショートするという選手は、やはりもどりの悪さに原因がある。前へ飛び込んでスマッシュした後、台の近くで次球を待っている選手もついストップを多用するようになる。
 もどりが悪く連打できない、または、連打するとミスがでるのでついストップ(ショート)する、という選手は改めたほうが良い。レベルの低いうちはよくても、それがクセになると強い相手には逆用され勝てなくなる。

 ロビングを打ち抜く

 さて、それでは相手が中~後陣のロング、ロビングでしのいできた時の打ち抜き方を考えてみよう。
 基本はフットワークよく動き、全力スマッシュを決めること。家庭婦人や中学生クラスの選手なら1~2本のスマッシュで決まることだろう。
 試合中、突然相手があげたロビングをミスしないためには、①.打ちやすい位置に動く ②.リズムをとる ③.力を抜き7~8割の力で打つ こと。ロビングのできない相手に対し、何も一発で抜こうと力んでミスすることはない。練習のつもりで打つことである。
 また、ドライブマンで「ドライブで攻めた後のロビングをスマッシュミスする」きらいのある選手は、ドライブの後、かぶせたラケット角度をもどして(やや上に向けて)スマッシュする練習をする。と同時に試合では、高いボールに対しても1~2本強ドライブで攻め、余裕ができたらスマッシュする、等の工夫も必要である。

 粘り強いロビングには

 ところが、大学生、社会人の男子クラスになると、単に「動いてスマッシュする」だけでは打ちあぐむ。攻めるほうばかり疲れて効果が薄いケースがでてくる。
 <ややバックハンドの弱い選手のしのぎには>
 ペンのドライブマンに多いのがこのタイプ。中~後陣のロビングでしのぎ、回り込んでカウンタースマッシュを狙ってくる。
 こういった相手にはバックへスマッシュする。1~2本でロビングミスする相手なら間違いない。が、しぶとい相手には工夫が必要になる。
 たとえばこちらがドライブマンであれば、1~2本スマッシュした後、ドライブで攻め、またスマッシュする...というように変化をつけてバック攻めする。この方法は安全で得点率が高い。
 ドライブを使わない選手なら、7~8割の力で打つスマッシュと、ミドル、バックサイドへの全力スマッシュ、流しスマッシュで変化をつけ、バック攻めする。
 どちらの場合も、余裕をもち、どのコースにも打てる十分な体勢から打つことが大切である。そして、相手の動きを良く見て、回り込む気配をみせたらフォアへスマッシュ。もし相手が回り込めば簡単に得点できる。
 <ロビングの得意な選手に対して>
 フォアもバックもロビングがうまく、バックハンドからも盛り返してくる選手がいる。こういった相手に対しては、まず自分の気持ちの持ち方が大切になる。
 「打ち抜けないとはずかしい」とか「自分のフォアスマッシュが相手のバックハンドに打ち負けたらみっともない」...といった精神状態では自滅しやすい。「何本かとられるのはしかたないが、自分のほうが絶対有利」と自信を持ち、作戦どおりに攻めることである。
 ロビングのうまい選手に対しては、単調にバックへ打ったり、左右へ打ってはいけない。
 バックへただ全力で打つだけだと、ロビングに回転の変化をつけられ、左右に動かされる。落下地点にいる相手は動かないので疲れず、こちらが先に疲れてミスしやすい。また、バックサイドが抜けないのでフォアへ、またバックへ、と一本ずつ攻めると、相手は一本一本違う球種のロビングを送ってくる。特にフォアへいったスマッシュに対しては思いきったドライブをかけて反撃してくる。これではスマッシュ側が不利になる。
 そこでスマッシュ側としては、7~8割の力のスマッシュで様子をうかがい、相手の集中力が落ちた時や、やや甘くなったロビングを狙ってしかける。しかけ方としては、バックスピンをかけた流しスマッシュで遠くに飛ばす。曲がるドライブで床に落としてしまう。ミドルへスマッシュしてチャンスをつくり、次球早い打点のスマッシュで両サイドを抜く、ストップを使う...等。

 レベルの高い作戦

 最後に、レベルとしてはかなり高くなるが、筆者がロビングのうまい相手に対して使った作戦をいくつか紹介しよう。
 <すぐストップ>
 ロビングのうまい相手にはストップも必要だが、深いロビングや相手が警戒している時は難しい。そこで、ファーストストライクをスマッシュし、相手がロビング体勢に入ろうとしたらすぐストップする。これは、甘いロビングの逆をついてストップすることになりやすい。
 <ジャンプしてストップ>
 高度な技術。ロビングに対してジャンプし、スマッシュするとみせてストップする。打点は頭の高さ。決まる可能性も高いが、難しくミスもでやすい。
 <スマッシュするとみせて軽打>
 相手を崩すために使う。相手はロビング位置から前にでてロビングし、また下がるので疲れる。2~3本続けて軽打し、崩してからスマッシュする。ただし、相手の反撃を予想しておくこと。反撃を逆用して得点する。

 このほかにも作戦としては色々ある。が基本はしっかり動いてスマッシュの連打を決めること。しのぎを打ち抜くため、動いてスマッシュする練習を十分にやろう。



筆者紹介 長谷川信彦
hase.jpg1947年3月5日-2005年11月7日
1965年に史上最年少の18歳9カ月で全日本選手権大会男子シングルス優勝。1967年世界選手権ストックホルム大会では初出場で3冠(男子団体・男子 シングルス・混合ダブルス)に輝いた。男子団体に3回連続優勝。伊藤繁雄、河野満とともに1960〜70年代の日本の黄金時代を支えた。
運動能力が決して優れていたわけではなかった長谷川は、そのコンプレックスをバネに想像を絶する猛練習を行って世界一になった「努力の天才」である。
人差し指がバック面の中央付近にくる「1本差し」と呼ばれる独特のグリップから放つ"ジェットドライブ"や、ロビングからのカウンターバックハンドスマッシュなど、絵に描いたようなスーパープレーで観衆を魅了した。
本稿は卓球レポート1988年1月号に掲載されたものです。

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