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わたしの練習104林直樹 日本式シェーク攻撃型を目指して

 最初に、どのような練習を繰り返してきたのかを述べてみたいと思います。

 ~中学・高校・大学時代~

 私の中学・高校時代の卓球スタイルは、現在同様にフォアハンドドライブ主戦型でしたが、バックハンドはまったくできませんでした。卓球に取り組む姿勢が「強くなろう」というよりも、「練習を毎日やっているんだ」という、一種の自己満足のほうが強かったように感じます。だから、練習内容も自分自身で考えず、ただ上級生の人達のまねばかりをしていたように思います。練習内容は、フットワーク、サービス+3球目+5球目攻撃、飛びつきの練習ばかりやっていました。
 高校3年の時、インターハイに出場し、全国から集まった強い選手の卓球を実際に見て、あこがれ、強くなりたいと思いました。だから、大学進学を決意し、関東の強い大学に進学を決めました。
 大学時代、同僚に松井君(熊谷商高・インターハイ3冠王)がいて、とても刺激になりましたし、松井君から学ぶべき点がたくさんありました。私は弱いながらも、負けたくないというライバル意識がありましたが、とうてい勝てるような相手ではありませんでした。そこで、まず第1に、彼よりすぐれた技術を身につけようと思い、私なりに考え、それはパワーとフットワークだと思い、フットワークとトレーニングに力を注ぎました。トレーニングはただがむしゃらにランニング、うさぎとび、ウエイトトレーニングなどをやりました。
 第2に、大学の監督、コーチ、先輩の方々からバックハンドの重要性、強化を強く言われましたし、実際に、練習や試合をやり、バックハンドの重要性、必要性を感じました。だから、大学2年の半ば頃までフットワークと同様に、バックハンドの練習も重点的にやりました。ハーフボレーでのフットワーク、ドライブ処理、ツッツキ打ち、バックハンドループドライブ、バックハンドでのレシーブ、ストップ処理などです。しかし、バックハンドを重点的に練習をすることによって不安を生じました。それは、今までがフォアハンドのみの卓球でしたから、バックハンドを使うことによって動くリズムが狂ってしまったり、バックハンドを使いすぎてしまったり、またある時には、バックハンドを使うことばかりを意識しすぎてフォアハンドで攻撃できなくなったことです。やはり、フォアハンドとバックハンドではスタンスも、台からの距離も違うということを頭に入れて、フォア・バックの切り替えの練習をやらなかったからだと思います。そのたびに、練習内容をフォアハンド主体に切り替えたり、逆に、バックができないためにまた元の練習に切り替えたり、同じようなことを何度も繰り返していました。
 しかし、何度も同じことを繰り返しているうちに、私なりに、自分が追求していかなければならない卓球のスタイルの考え方がわかってきたような気がしました。それは、ヨーロッパ選手のように、フォア、バック同じような威力を出すということでなく、バックハンドは、フォアハンド攻撃に結びつけるための補助技術だという考え方です。
 上記に述べた考え方が、現在の私の卓球の基本的な考え方になっています。

 ~現在の練習内容~

 学生時代とは違い練習時間が限られてくるということを社会人になって強く感じました。だから、会社のある時には練習時間を有効的に使うことと、高い集中力を維持することに心がけ、会社の休みの日などは母校に練習に行くようにしています。
 私は、練習時間を有効的に使うために、数多くある課題をいくつかの課題にしぼり、時期によって練習内容を替えていくようにしています。試合に照準を合わせ、試合までに期間がある時には、自分の苦手な技術を重点的に行い、試合が近づくにつれて自分の主戦武器を練習するようにしています。しかし、大学時代に毎日30分間はかかさずにやっていたフットワーク練習は、まったくやらなかったという時期がありました。現在は、私にとって必要な練習だと思い、時期にかかわらず、たとえ10分でも15分でもよいから毎日かかさず練習するようにしています。ただフットワークの内容は変わりました。大学時代は、前後、左右、1本ずつ、オールにまわしてもらっていましたが、現在では、試合のつもりで、レシーブからのオールのフットワークやサービス+3球目からのフットワークが主体で、チャンスボールがきたら積極的にスマッシュを打っていくようにしています。
 次に、私の課題練習ですが、先ほども述べましたが、試合まで期間がある場合の具体的な内容は、レシーブ、バックハンド、フォアとバックの連係プレイなどです。
 レシーブは、特に払うレシーブです。私の場合、レシーブができないために自分の卓球がくずれてしまうということがよくあります。また、レシーブだけではなく、レシーブからの4球目攻撃も練習しています。
 バックハンド練習は、特にドライブ処理に力を注いでいます。相手のドライブに対してナックルで止めるドライブ処理と、相手のドライブの威力を利用して速く返すドライブ処理の2つです。相手のいる位置によって使い分けられるように練習しています。その時に、バックハンドはフォアハンド攻撃に結びつけるための補助技術だということを常に頭に入れ、ドライブ処理のあとは必ずフォアで強打していくように心がけています。
 フォアとバックの連係プレイですが、私の場合、打球点を落とした攻撃ばかりになりがちなので、何か1つでも多く速攻ができるように今はシステムを作って練習をしています。
 その他に、バックハンドからも攻撃できるようにツッツキ打ちを練習していきたいと思っています。
 試合がまぢかになってくると、私は自分の主戦武器であるフォアハンドを主体に練習をします。それと、サービス、レシーブにも重点をおきますが、今はサービスからの3球目攻撃、ミドル攻撃、スマッシュ、そしてゲーム練習を多くやります。それはこれらの課題の必要性を、9月に日本で行われた3A大会で、外国選手と対戦した時に痛感したからです。外国選手は、ドライブ処理がうまく、ドライブ主戦である私はショートで左右にゆさぶられるというケースが多くありました。それは、ドライブのコースが甘かったこと、私が下回転サービスが主体であるのにツッツキに対してループドライブからしか攻撃していけないこと、ドライブしかできないということで相手に心理的余裕をもたれていたこと、などのためです。だから、ツッツキに対して1発で決められるようなフォアハンドドライブと、ミドル攻撃、そしてスマッシュの必要性を感じました。
 以上がだいたい私の現在の練習内容ですが、学生時代のようにこれらの練習がいつもいつもできるとは限りません。シチズンの卓球部は現役が4人しかいないために、仕事などの都合で1人が練習に参加できない時には3人になってしまいます。このような時には、ゲーム練習が主体になります。だから、ゲーム練習の中で、「自分はこれを練習するんだ」と決めてゲームをやるようにしています。また、4人しかいないので、慣れ合いの練習にならないように心がけています。
 次に、トレーニングの面ですが、大学時代と比べて量は減りました。しかし、トレーニングの重要性は私自身よくわかっているつもりです。だから、課題練習と同様にある程度強化する点を決めて、毎日やるようにしています。現在では、振りを速くするトレーニングとランニングです。
 上記に述べてきたことが私の現在の練習内容です。

 ~最後に~

 会社に入社して2年目を迎え、会社の雰囲気にも慣れ、職場の方々のご理解によって思い切って卓球に取り組むことができます。シチズン時計卓球部は伝統ある卓球部で、数々の輝かしい栄光を残された先輩方も数多くおられます。ですから、そのような先輩方に早く追いつき、追い越せるように今後ともがんばっていきたいと思っています。

はやしなおき シチズン時計
1979年全日本ランク5位


(1980年12月号掲載)
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