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卓レポ名勝負セレクション 
The Little Hercules カリニコス・クレアンガ Select.2

 卓球レポートは国内外のさまざまな大会へ足を運び、およそ半世紀にわたり、あまたの熱戦を映像に収め続けてきた。その膨大な映像ストックの中から、語り継がれるべき名勝負を厳選して紹介する「卓レポ名勝負セレクション」。
 今シリーズは、豪快なプレースタイルで「小さなヘラクレス」と称されたクレアンガ(ギリシャ)の名勝負をお届けする。
 今回は、ケーン(オランダ)との2003年世界卓球選手権(以下、世界卓球)パリ大会男子シングルス3回戦を紹介しよう。

■ 観戦ガイド
オランダの実力者・ケーンに対し
クレアンガの剛腕がうなりを上げる

 男子シングルス2回戦で、何志文(スペイン)にマッチポイントを握られながらも逆転勝利を収めたクレアンガ。何志文との一戦は、後がない状況でもフルスイングを貫くクレアンガの勇猛果敢さがよく表れていた試合だった。

 クレアンガは、続く男子シングルス3回戦でケーン(オランダ)と対戦する。
 ケーンは、サウスポー(左利き)のシェーク攻撃型で、両ハンドを振るというより、台からあまり下がらずに足を使ってフォアハンドで攻めるタイプのプレーヤーだ。プレースタイルは、どちらかというとアジア系の選手に近い。また、サービスのうまさにも定評があり、独特なモーションから繰り出すYGサービス(逆横回転系サービス)は威力がある。
 1989年世界卓球ドルトムント大会で世界卓球に初出場して以降、ケーンは長きにわたってオランダの顔として活躍している実力者だ。

 試合が始まると、第1ゲームは、ケーンのサービスに手を焼いたクレアンガが先制を許す。サービスが巧みな上に前陣でコースを突いて揺さぶってくるケーンに対し、クレアンガは分が悪いのではないか。そう思わせる立ち上がりだったが、第2ゲームからケーンの球筋に慣れたクレアンガが猛攻を開始する。

 第2ゲーム以降のクレアンガは、「これぞ、小さなヘラクレス」という圧巻の攻撃を見せるが、中でも目を引くのがバックハンドだ。一撃で決めるバックハンドドライブはもちろんのこと、はじく、止める、つなぐなどのバリエーションが豊富で、この多彩なバックハンドテクニックがクレアンガの荒々しいプレーの土台であることを実感することができる。
 ちなみに、クレアンガは2003年に行った卓球レポートの取材で、バックハンドのコツを次のように語っている。

「いろいろな人から『どうしたら豪快なバックハンドドライブが打てるのか?』と聞かれることが多いのですが、僕も初めから打てたわけではありません。練習と経験によってバックハンドの威力や使い方が身に付いてきたのです。
 バックハンドで威力のあるボールを打てるようになったのは、あるコツを身に付けたからです。ボールの上部をはじくような打ち方の感覚を覚えたことによって、だんだんと速いボールが打てるようになりました。ハーフボレーとドライブではスイングは違いますが、威力のあるボールにするためにはこの感覚が必要だと思います(卓球レポート2003年12月号)」

 クレアンガが身に付けたというコツは、もっとバックハンドに威力を出したい、バックハンドがうまくなりたいという選手にとって金言ではないだろうか。
(文中敬称略)

(文/動画=卓球レポート)

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