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高速サウスポー林高遠のテクニック
速攻を引き出すスピードチキータ

 安定性が極めて高い前陣カウンタープレーで世界ランキングを駆け上がっている中国期待のサウスポー・林高遠(リン ガオイェン)。
 この特別企画では、林高遠の技術を、中国ナショナルチームの合宿所で撮影した連続写真で紹介する。
 第4回は、チキータを取り上げよう。

 台上のボールをバックハンドドライブする技術、チキータ。今や多くのトップ選手が基本装備としてチキータを身に付けているが、林高遠もその例外ではない。林高遠の切れ味鋭いチキータは、彼の速攻を引き出すための導火線だ。
 今回は、林高遠のチキータの中でも、スピードが速いチキータを取り上げる。フォア前に来たサービス(右横下回転サービス)をクロス(左利きの林高遠にとって右利きの相手のバック側)にスピードチキータするパターンで、林高遠のスイングのポイントを見ていこう。

ポイント①
フォア側に大きく動き、体をクロスに向ける


 フォア前に来たサービスをチキータするときは、写真A-1~3のように、体の正面でボールを捉えられるようフォア側に大きく動くことが先決になる。
 このときに林高遠から学びたいポイントは、「体をクロスに向ける」ことだ(写真A-3)。
 このように体をクロスに向け、やや半身の構えを取ることにより、ボールをしっかり呼び込むことができるため、「打球に威力が出しやすい」「相手がコースを予測しにくい」などのメリットが生まれる。
 フリーハンド(左利きの林高遠にとって右腕)をラケットと同じくらいの高さに上げ、体のバランスを保っている点も参考にしよう。

ポイント②
ボールから適度に距離を取ってバックスイングする


 このケースでチキータするときは、体の正面で打球できるようフォア側に素早く大きく動き、ひじを高く上げ、手首を大きくひねってバックスイングを取るが、このとき「ボールとの距離」にも注目だ。
 林高遠はボールから適度に距離を取ってバックスイングしているが(写真B)、このようにボールから距離を取っておくと、体勢が詰まることなくラケットをしっかり振り抜くことができる。
 チキータの威力が思うように出ない選手は、準備でボールに近づきすぎてスイングが詰まってしまうことが原因の一つだ。フォア前のボールをチキータするときは、横へ動くことだけにとらわれるのではなく、「前後の位置取り」にも気を配ろう。そうして、しっかりスイングできるように、ボールから適度に距離を取って準備することがポイントだ。
 林高遠のバックスイングでは、左足(右利きの選手は右足)のひざを深く曲げて左足に重心をかけ、体をフォア側に寄せつつバランスを保っているところも、ぜひまねしてほしいポイントだ。

ポイント③
下方向へのフィニッシュを意識して水平気味にスイング


 フォア前に来たサービスをチキータできるようフォア側に動き、ボールから適度に距離を取ってバックスイングした林高遠は、準備で大きくひねった手首を返しながらラケットを横方向へ水平気味にスイングしている(写真C-1~3)。
 このように、上方向ではなく横方向へスイングすることにより、打球のスピードが増す。ひじの高さをあまり変えないようにスイングしている点も参考にしたい。
 フォロースルー(打球後のラケットの動き)にも注目してほしい(写真C-3)。
 林高遠はこれまで紹介した前陣バックハンドカウンターや中陣バックハンドドライブと同じように、ラケットを下に動かすようにフォロースルーを取っているが、こうすると「力強くスイングしても打球の飛距離が抑えられるのでオーバーミスが防げる」「ラケットが体から遠く離れないので次のボールに素早く対応できる」などのメリットが生まれる。
 ラケットを下に押さえつけるようなフィニッシュは林高遠のバックハンドテクニックに共通して見られる特徴だが、このオーバーミス予防と戻り優先のフィニッシュが、彼の前陣高速プレーを支える柱の一つといえよう。



(解説=猪瀬健治 取材/写真=岡本啓史 取材/動画=小松賢)

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