2019年10月11日から13日まで、ニューヨークのプレザントビルにあるウェストチェスター卓球センターで「第1回パーキンソン世界卓球選手権大会」が開催されることが決定した。この大会はパーキンソン病患者を対象としたもので、軽度、中度、重度の3カテゴリーで競技を行う。
この「第1回パーキンソン世界卓球選手権大会」は、ITTF基金の新しいプロジェクトとして行われる。パーキンソン病患者であるネナド・バック(Nenad Bach)氏から、今年の世界選手権ハルムスタッド大会の際に、ITTF(国際卓球連盟)にプレゼンテーションが行われたことが、きっかけとなったと見ていいだろう。
ネナド・バック氏
ネナド・バック氏はミュージシャンだが、パーキンソン病になったことで音楽活動ができなくなっていった。指先に障害があらわれてギターが弾けなくなり、まっすぐ立つことも、声を出すことすら困難になってしまったのだ。
だが、時々卓球をするようになってから、症状に改善の兆しが見えた。そして、卓球をする頻度を増やしていったところ、症状は明らかに改善し、なんとギターが弾けるまでに回復。まっすぐ立てるようにも、声も出せるようになったという。
ネナド・バック氏は自身の経験をもとに「ピンポン・パーキンソン」という活動を始めた。「ピンポン・パーキンソン」の目的は、パーキンソン病への理解を促し、卓球を通じてパーキンソン病患者の健康状態を改善することだ。そして、ITTFにギターの弾き語りによるプレゼンテーションを行って協力を願い、このたび、ITTF基金による「第1回パーキンソン世界卓球選手権大会」の開催が決定したのである。
ITTF基金は、卓球を通じて主に開発途上国や社会的弱者、少数派、難民などを支援するための基金だ。そのITTF基金が、新たに「健康」の側面に注目。「第1回パーキンソン世界卓球選手権大会」の開催が決まった。
文=川合綾子
Photographs by Butterfly Croatia
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