女子シングルス、丁寧(中国)が初優勝 ~20歳の新女王が誕生~
丁寧が世界女王に
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世界卓球2011ロッテルダムの大会7日目(5月14日)は男女シングルスと男女ダブルスが行われた。
女子シングルスは決勝が行われ、李暁霞(中国)と丁寧(中国)が初優勝をかけて対戦した。
李暁霞は2007年2位、2009年3位という成績を収め、世界ランキング1位で今大会を迎えた。一方の丁寧は2010年モスクワ大会の決勝で敗れた汚名を返上するには最高の舞台となった。
試合は世界一を決めるにふさわしい凄まじい速さの攻防で幕を開けた。李暁霞が両ハンドドライブで攻め込めば、丁寧が前陣を死守してカウンターブロックで押し返す。このまま主導権争いが続いて6-6、7-7、8-8、9-9、10-10と両者一歩も譲らない。ここで李暁霞がフォアハンドをミスすると、丁寧がフォアハンドドライブを決めて第1ゲームを先行した。第2ゲームは李暁霞が鋭い両ハンドドライブで4-7とリードする。丁寧は流れを変えるべく得意のしゃがみ込みサービスを繰り出すも、流れを変えられず5-9と引き離されると、6-10とゲームポイントを握られた。ここで諦めない丁寧はライジングで押さえ込んでプレッシャーをかけ、李暁霞のドライブにミスを誘って10-10に追い付いた。丁寧は立て続けにバックハンドで押し込んで2−0とリードを広げた。
こうなると完全に丁寧がペースを握る。李暁霞のリズムが単調になるのを見逃さず、カウンター気味のバックハンドを連発して8-4、10-5と点差を広げた。ここで李暁霞が粘って10-8となったところで丁寧が早めのタイムアウトを入れる。すると10-9から足を使って打ち勝って、丁寧が一気に新女王に王手をかけた。
あっという間に追い詰められた李暁霞。第4ゲームは必死の反抗を見せて1-7とリードを奪う。ここから丁寧が猛然と仕掛けて左右に強打を放って5-7と点差を縮めたところで、李暁霞がたまらずタイムを取る。しかし、丁寧がサービスエースと飛びつきドライブを決めて7-7に追い付いた。李暁霞はこのピンチの局面で腰を据えて回転をかけて粘り、8-11でなんとか1ゲームを取り返した。しかし、第5ゲームは再び丁寧の両ハンドブロックが冴えを見せ、4-8と勝負を決めにかかる。ここで栄光がチラついて勝利を意識し始めた丁寧。急にプレーに硬さが見えて李暁霞に押し込まれて8-8に追い付かれた。李暁霞に一気に7ポイント連取されて、ゲームカウント3−2と差が縮まった。
なんとか命拾いした李暁霞。冷静に流れを振り返って作戦を切り替える。第6ゲームは無理に力攻めせず、時折ハーフスピードのつなぎを混ぜてリズムに変化を加えると、丁寧の連打にずれが生じて0-5と引き離す。しかし、丁寧は流れを呼び戻そうとフォアハンドで動いて4-6とする。4-7から18往復続いた長い攻防を制すと、続くラリーでフォアを突かれたボールを必死に飛び突いて6-7とする。続け様に3球目ドライブをストレートに決めて7-7に追い付いた。これで完全に勢いを取り戻した丁寧が李暁霞を圧倒して6本連取してついにチャンピオンシップポイントを手にすると、最後もフォアハンドで動いて粘り切って見事に栄冠を手にした。
新チャンピオンの丁寧は中国史上13人目の女王となった。1995年から続く中国女子9連覇のストーリーには、?亜萍、王楠、張怡寧というオリンピックで金メダルを獲得した偉大な先輩が名を連ねている。そして、自力で引き寄せたロンドンへの道が彼女の次の晴れ舞台となることだろう。
丁寧が最高のプレーを見せた |
李暁霞はまたも栄光つかめず・・・ |
歴史に名を連ねる新女王が誕生
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男子シングルスはベスト4が決定 ~水谷隼は王皓に完敗~
水谷隼はベスト8に終わる
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男子シングルスは準々決勝4試合が行われ、ベスト4が決定した。明日の準決勝の組み合わせは以下のように決定した。
王皓(中国) − 馬龍(中国)
ボル(ドイツ)− 張継科(中国)
注目の男子シングルス決勝は最終日となる明日15日の最終試合、午後3時(日本時間午後10時)から行われる予定だ。
準々決勝第1試合:王皓vs水谷隼 ~水谷、世界王者に屈す~
日本勢として1979年以来のメダルを目指す水谷隼は、世界チャンピオンの王皓(中国)と対戦した。過去に王皓に勝利した経験を持つ水谷の戦いに注目が集まった。
試合は立ち上がりから王皓が水谷にプレッシャーをかけて攻め込む。水谷はバックサイドを突かれてコートから下げられて防戦となり、4-9とされて先行を許す。第2ゲームも王皓に鋭いドライブをバックに集められて3-7と離されると、余裕を持った王皓にドカンと打ち込まれて0−2と引き離された。第3ゲームはなんとか打ち合いに持ち込もうとするが、じっくりと広角に打ち込まれて2-5とされて、高山コーチがタイムを要求する。ここで水谷はなんとか動いて5-7とするが、再び王皓が引き締めにかかる。水谷は猛烈に回転がかかったドライブを抑えきれず、一気に0−3と追い詰められた。
いよいよ追い込まれた第4ゲーム。反撃の流れがつかめない水谷は懸命のフィッシュで粘り倒して3-3とする。しかし、先手を取られたくない気持ちから、小さいプレーにミスが続いて4-8と一気に引き離されて万事休す。
結局、水谷は0−4で王皓に無念に完敗を喫し、32年振りの日本勢メダル獲得はならなかった。
残念ながら世界王者に手も足も出なかった水谷は「中国に勝つためには実力をあげなければ行けない。緊張感の中で準々決勝まで来たことは意味がある」と語った。今月末には中国スーパーリーグに参戦し、次の目標であるロンドンオリンピックへの道をスタートさせる。
現在の世界ランキングはオリンピック出場圏内の選手では4番目。このポジションを維持すればオリンピックでベスト4シードが与えられる。グッとメダルに近づく可能性を秘め、水谷の新たな挑戦が始まる。
水谷は力及ばず完敗・・・ |
王皓が王者の実力を発揮 |
準々決勝第2試合:馬龍vs馬琳 ~馬龍が五輪王者を圧倒~
準々決勝第2試合は馬龍と馬琳の中国対決となった。両者は前回横浜大会でともに3位となっていて、どちらかがベスト4落ちすることになった。
試合は若武者・馬龍が切れ味鋭い台上強打と威力満点のパワードライブでオリンピック金メダリストの馬琳を圧倒する。馬琳もなんとか反撃を試みるが、クロスの打ち合いに持ち込まれて馬龍に打ち返された。
中国卓球界を代表する名馬対決は、4−1で馬龍が馬琳を圧倒して、2大会連続で準決勝進出を決めた。
馬龍が豪打で馬琳を圧倒
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準々決勝第3試合:張継科vs王励勤 ~張継科が王励勤の夢を砕く~
準々決勝第3試合は張継科と王励勤の中国同士打ち。中国勢のオリンピック争いで2番目に付ける張継科に対し、王励勤は4度目の世界王者となって逆転でのオリンピック出場をもくろむ。
試合は立ち上がりからバッククロスで鋭いラリーが展開される。巧みな揺さぶりで王励勤が2−1とリードを奪うが、バックハンドの威力で上回る張継科が徐々に王励勤を追い詰める。
ここから一気に3ゲームを連取した張継科が王励勤に逆転勝利。中国の世代交代を印象づける会心の勝利を手にした。
張継科がバックハンド勝負で王励勤を下す
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準々決勝第4試合:ティモ・ボルvs陳杞 ~ボルが中国の牙城を崩した~
準決勝第4試合はボルと陳杞のサウスポー対決。
会場は試合前からヨーロッパの期待を一身に背負うボルの登場を待ちわびる。観客総立ちの大声援でボルを迎え、陳杞にプレッシャーをかける。
立ち上がりからボルの両ハンドがヒートアップして第1ゲームを先行するが、陳杞も負けじと動いて1−1とする。互角に打ち合うと陳杞に押し込まれてしまうボルは、台上で先手を取ってループドライブでチャンスを広げ、上からワイドに打ち抜いて3−1と引き離す。第5ゲームに入ると勝利を願う観客から一本ごとに歓声が沸き起こり、ボルが一気に波に乗った。
このままボルが陳杞を押し切って4−1で快勝。世界卓球のシングルス7度目の挑戦で自身初の準決勝進出を決め、中国の2大会連続ベスト4独占を阻んだ。
ボルが気迫の強打で快勝 |
陳杞はプレッシャーに押され・・・ |
男子ダブルス、馬龍・許シン(中国)が初優勝 ~陳杞・馬琳を圧倒~
馬龍・許シンが男子ダブルスを制す
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男子ダブルスは決勝が行われ、第1シードで前回横浜大会2位の馬龍・許シンと、2007年ザグレブ大会優勝の陳杞・馬琳が
対決した。陳杞は前回は王皓と組んで優勝しており、ここで勝つと史上4人目の快挙となる。
試合はラブオールで陳杞がいきなりサービスミス。いやな流れで暗雲立ち込める陳杞・馬琳に対して、馬龍・許シンが抜群の動きでラリーを支配して第1ゲームを先行する。第2ゲームは終盤まで打ち合いが続いて8-8となるが、ここで馬琳がフォアハンドを凡ミスし、馬龍・許シンが2−0とリードを広げた。
第3ゲーム、台に近いと展開がよくない陳杞・馬琳が大きいラリーで馬龍・許シンを揺さぶって4-8として、なんとか1ゲームを取り返した。しかし、第4ゲームは馬龍・許シンが再び台上で先手を取って上からパワーでかぶせて圧倒して3−1と王手をかけた。
すると第5ゲームは馬龍・許シンが陳杞・馬琳の攻撃を弾き返して7-4と引き離して、そのまま勝負を決めた。
前回決勝で完敗した悔しさを晴らした馬龍・許シンがうれしい初優勝を飾った。これで中国勢は男子ダブルスで10連覇の偉業を達成した。
馬龍・許シンが圧倒的なパワーで栄冠
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陳杞・馬琳は王座返り咲きならず・・・
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準決勝第1試合:馬龍・許シンvs鄭栄植・金?鉐
準決勝第1試合は中国と韓国の若手ペアが対戦した。
序盤は台上で先手を取れる馬龍・許シンが圧倒して3−1とするが、中盤から鄭栄植・金?鉐が落ち着いてラリーに持ち込んで3−2と追いすがる。しかし、馬龍・許シンが先に仕掛けて展開をコントロールして鄭栄植・金?鉐を振り切った。
激しい打ち合いは中国ペアに軍配
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準決勝第2試合:王皓・張継科vs陳杞・馬琳
準決勝第2試合は中国勢の同士打ちとなった。
立ち上がりは王皓の裏面と張継科のパワーフリックでチャンスを作って先行する。しかし、第2ゲームからは陳杞・馬琳が先にやらせてラリーで応戦する展開に持ち込んで、試合を有利に進めていく。
焦って攻める王皓・張継科に対して、終始落ち着いて試合を進めた陳杞・馬琳が4−2で勝利を収めた。
陳杞・馬琳がラリーで同士打ちを制す
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女子ダブルス、決勝は前回の再現に ~郭躍・李暁霞vs丁寧・郭炎~
郭躍・李暁霞は連覇にあと1つ
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ベスト4シードが順当に勝ち上がった女子ダブルスは準決勝が行われ、決勝戦を残すのみとなった。
明日の決勝は午後2時(日本時間午後9時)から行われ、前回と同じく郭躍・李暁霞vs丁寧・郭炎という中国勢の争いとなる。
丁寧・郭炎はリベンジVを狙う
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準決勝第1試合:郭躍・李暁霞vs金?娥・朴美英
準決勝第1試合、連覇を狙う郭躍・李暁霞は3大会続けて準決勝に駒を進めた金?娥・朴美英(韓国)と対戦。両ペアは2007年ザグレブ大会で戦っており、そのときは郭躍・李暁霞が逆転勝利を収めている。
この試合は第1ゲームがヤマだった。丁寧なドライブで攻める郭躍・李暁霞とじっくり構えて粘る金?娥・朴美英が互角の展開でジュースとなる。ここで朴美英が回り込んだ反撃をミスすると、李暁霞がドライブを決めて中国ペアが先行した。
すると、このまま中国ペアが一気に韓国ペアのカットを攻め込んで、見事なストレート勝ちを収めた。
郭躍・李暁霞が金?娥・朴美英のカットを完封
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準決勝第2試合:丁寧・郭炎vs姜華君・帖雅娜
準決勝第2試合は中国vs香港の同胞対決となった。
試合は立ち上がりから丁寧・郭炎が圧倒的な運動量で姜華君・帖雅娜を圧倒する。香港ペアは得意の前陣攻撃に持ち込めず、力を発揮できなかった。
丁寧・郭炎が姜華君・帖雅娜を圧倒
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今大会の模様は、卓球レポート7月号に掲載
本場ヨーロッパのウエーブ
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大会はいよいよ佳境を迎え、多くのファンが会場に詰めかけた。
観客席ではヨーロッパならではのウエーブが発生し、ファンが一体となって声援を送った。
今大会の模様は 7月号(6/20発売予定)に掲載予定。