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2009横浜大会3日目:4月30日

  大会3日目の4月30日。平日にもかかわらず、朝から多くのファンが会場に詰めかけた。本日からいよいよ男女シングルス、男女ダブルスの本戦がスタート。シングルスは1・2回戦。ダブルスは1回戦が行われた。シングルスは日本選手全14名が1回戦突破の快挙も、2回戦で明暗が分かれた。


石川、帖雅娜に大逆転勝利 ~女子は藤沼、福岡、田勢も3回戦へ~

前陣のラリーでも帖雅娜を圧倒した石川

 女子シングルス1回戦で于国詩(香港)を破った石川が大舞台でうれしい大金星を挙げた。序盤、帖雅娜(香港)の速いラリーで先手を取られ8-11、8-11、5-11と追い詰められた石川。4ゲーム目も3-9と絶体絶命のスコアから開き直った石川の思い切りのいい攻撃と油断した帖雅娜のミスが重なり12-10で1ゲームを返すと、勢いに乗った石川はピッチの速いラリーでも帖雅娜を圧倒。11-9、11-5と一気に3−3に追いつくと、最終ゲームでも最後まで攻め切った石川が世界卓球初めての個人戦シングルスで見事ベスト32入りを果たした。

石川佳純のコメント
「4ゲーム目は点数のことは何も考えずに開き直って打っちゃえと思って戦いました。大島先生からは思い切って打って行けということと、相手の苦手なコースに打つように言われました。皆さんが応援してくれている中、簡単には負けられないと思ってあきらめないようにかんばりました」

石川佳純(日本)(8-11,8-11,5-11,12-10,11-9,11-5,11-8)帖雅娜(香港)


メンタルの強さも見せた石川

手にしかけた勝利だったが......

緊張から解き放たれうれし泣き

 このほか、厳しいコース取りと余裕のある試合運びでミャオ・ミャオ(オーストラリア)にストレート勝ち藤沼、ヨーロッパチャンピオンのリ・チャン(ポーランド)のカットを粘り強くドライブで攻めて4−2で勝利した田勢、得意のサーブからの攻撃でジルバーアイゼン(ドイツ)を4−1で下した福岡が3回戦進出を決めた。

藤沼は落ち着いたプレーでミャオ・ミャオを下す

田勢はリ・チャンのカットを攻略

福岡はサービスと変化攻撃で3回戦進出

 女子は福原、平野の二枚看板が惜しくも2回戦で姿を消した。福原は格下のシャール(ドイツ)に序盤2−1と先行するも、得意のバックハンドでミスを繰り返し勢いを失うと、流れを取り戻せずに、そのままシャールに押し切られた。ベスト8に入ったパリ大会以来、世界卓球で2回戦負けは初めての苦い経験となった。
 オドロバ(スロバキア)と対戦した平野は、2−2とゲームを取りあう展開から、5ゲーム目のジュースを13-15で落とすと、第6ゲーム中陣で平野のドライブを何本でもブロックし、甘いボールをパワフルなドライブで反撃するオドロバに対してまったく攻め手を失った平野が1-10の大量リードを許し、そのまま逃げ切られてしまった。
 ザグレブ大会では準決勝で王楠を破り郭躍(中国)と決勝を戦った世界ランキング3位の李暁霞(中国)と対戦した石垣は、粘りの卓球で1ゲームをもぎ取ったが、李暁霞の巧みなカット打ちとパワーのあるドライブに屈し1−4で敗れた。


目標のベスト8に遠く及ばず

平野も不本意な結果に終わった

石垣、善戦するも李暁霞を崩せず

松平健太が呉尚垠を破る大金星 ~男子は水谷、吉田が3回戦へ~

前陣での勝負は健太に軍配

 前陣での戦いを得意とする二人の対決は、序盤から激しいラリー戦が予想される内容となった。松平のしゃがみこみサーブからの展開が有利に運び、11-4で第1ゲームを取ると、続く第2ゲーム、ブロックの固い呉尚垠に苦しめられ、フォアに振るとフォアクロスの厳しいコースにカウンターを食らうという嫌な流れ。6-11、10-12と続けて2ゲームを落とすが、第4ゲームでもバック対バックのラリーから両ハンドで攻める強気の展開で5-11とし、2−2と並ぶ。そこから8-11、11-7と1ゲームずつ取り合い、勝負は最終ゲームへ。松平の9-7リードから9-8と迫られたときに、吉田監督のタイムアウト。再三フォアクロスのカウンターを食らっていた松平だが、バック対バックのラリーでは勝機を見出すのが難しく、緩いループドライブを織り交ぜながらフォアを攻めるという戦術で実力が伯仲する相手をわずかに上回った。最後はタイムアウトから3本連取で11-8とし、大舞台での激戦を乗り切った。

松平健太(日本)(11-4,6-11,10-12,11-5,11-8,11-7,11-8)呉尚垠(韓国) 松平健太のコメント
「思い切っていこうと思っていました。あと勝ってるときは戦術面がよかったので、呉尚垠のフォアを狙って行った。呉尚垠は無理してこないので、自分から攻めないと得点できなかった。明日も思い切ってやるだけです」

吉田監督のコメント
「フォアを攻めろとアドバイスしたが、それが上手くはまった。呉尚垠はバックはうまい。強くも打てるし、弱くも打てるし。ただフォアを攻めると言ってもカウンターもずいぶん食らったから、ミドル寄りを狙うように言った。
 呉尚垠と健太は同じタイプだから、足が動いてミート負けしないで振りの速さで負けなければ、世界ランキングほどの差はないから、そこそこやれるとは思っていました」


多彩な技術に苦しめられた呉尚垠

気迫でも勝っていた健太

 日本男子では、ヤン・ズィ(シンガポール)を破って2回戦に上がってきたタイのサンガンシンを水谷が11-5、11-8、11-8、11-3のストレートで下し、順当に3回戦に駒を進めた。
 1回戦でフランスの若手、ルベッソンに苦戦した吉田は2回戦でモンテイロ(ポルトガル)と対戦。足を使った攻めの卓球でフォアハンドドライブを活かし、11-4、11-9、12-10、12-10のストレートでモンテイロを下した。


水谷は余裕のプレーで3回戦へ

吉田はフォアドライブがさく裂

 予選リーグからの活躍で日本中にその名を知らしめた丹羽孝希の華々しいデビューの舞台が幕を下ろした。男子シングルス2回戦の相手はドイツ若手の成長株オフチャロフ。「明日からは思い切ってプレーするだけ」という言葉どおりに緊張を感じさせないチャレンジャーのプレーが世界のトップに通用する可能性を感じさせた。
 台から距離を取ったオフチャロフを攻めきることができないなど苦しい展開の中、2ゲームをとる善戦をみせた。丹羽は男子ダブルス、混合ダブルスとも敗退が決定しているが、新しい時代の始まりを多くの人が感じたことだろう。


丹羽旋風をオフチャロフが止めた

 1回戦で格上のクズミン(ロシア)を破り、勢いに乗る松平賢二が挑戦したのは世界卓球個人戦2連覇の王励勤(中国)。台上から積極的に攻めパワードライブを放ったが、王者の壁を崩せず1−4で2回戦敗退となった。
 1回戦でイェフトビッチ(セルビア)を危なげなくストレートで下した韓陽は、2回戦でクロアチアのガチナと対戦。2つのジュースを落とす悔しい展開で2−4で惜敗。
 1回戦で格上のトリオラとの打撃戦を制し、勢いに乗りたかった大矢だが、無理に攻めてこないズュース(ドイツ)相手に得意のフルスイングの前陣ドライブとカウンターが不発。ストレートで敗れ2回戦敗退となった。


女子ダブルス1回戦 ~3ペアが危なげなく2回戦に進出~

見事なコンビネーションを見せた平野・福原

藤沼・樋浦は落ち着いてプレー

 日本女子のエースペア平野・福原はミクハイロワ・トロシネワ(ロシア)の変則ペアと対戦。平野のフォアハンドドライブと福原のバックハンドの強打でミクハイロワのカットへの攻撃からチャンスを作り、4−1で1回戦突破。
 藤沼・樋浦はスン・ヤン(ニュージーランド)を4ゲーム合計で12点しか与えない一方的な強さを見せて完勝。
 今年のプロツアーでも表彰台にあがるなど好成績を残している藤井・石川は張静宜・馬秋燕(マカオ)と対戦。藤井の落ち着いたコース取りと石川の思い切ったドライブ強打で相手を圧倒し、ストレートで快勝した。


男子ダブルス1回戦 ~岸川・水谷がメダルに向けて順調に発進~

メダル候補ペアが順調に発進

 メダル最有力候補の呼び声高い男子ダブルスの水谷・岸川ペアが1回戦に登場。ヤンカリク・シモンチク(チェコ)に1ゲームを奪われるも、落ち着いたプレーで4ゲームを連取し2回戦に駒を進めた。
  予選から好調な勝ち上がりを見せた松平賢・上田はバウム・フェイヤーコナート(ドイツ)を相手に3ゲーム先行しながら追いつかれる苦しい展開。最終ゲームは序盤で大きくリードした日本ペアが逃げ切って2回戦進出を決めた。
  第1シードの陳杞・王皓(中国)は両者が世界選手権ダブルスのタイトルホルダーという最強の組み合わせ。この最強ペアに挑んだ松平健・丹羽ペアは1ゲームを奪う健闘を見せるが1−4で敗れ、2回戦進出はならなかった。


賢二と上田のコンビネーションも抜群

若き天才が世界の王者に挑んだ

サムソノフ、柳承敏らが2回戦敗退

ブラディ、まさかの2回戦敗退

柳承敏、五輪王者も撃沈

荘智淵、大舞台でのタイトルは遠い

ボロシュ、まさかの1回戦敗退

 大きな舞台に付きものの波乱が、今大会でも容赦なく強豪たちを襲った。男子シングルス2回戦でサムソノフが韓国の若手、金延勲のパワーとスピードの前に歯が立たず、1−4で敗退。アテネオリンピック金メダリストの柳承敏は不調の中出場したものの、2回戦でトキッチ(スロベニア)に敗れ、やはり2回戦で姿を消した。また、荘智淵(中華台北)もカットマンのジオニス(ギリシャ)に敗れた。このほか、大阪大会ベスト4の蒋澎龍(中華台北)が韓国の若手、徐賢徳に2回戦で敗れている。
 女子では、世界ランキング9位の王越古(シンガポール)がシュトルビコバ(チェコ)に敗れ2回戦敗退。ベテランのボロシュ(クロアチア)、中国の若手、姚彦は1回戦で姿を消した。

 なお、本大会の模様は 6月号(5/20発売予定)に掲載予定。

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