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渋谷浩が見たパリ大会<14>男子単準々決勝、松平健太・ボル

shibu.jpg松平健太と許昕の1戦、立ち上がりは健太がコースを突く戦いをしていました。7ゲームトータルを意識してのことか、第1ゲームはあまり攻めずに、コースを突くことに神経をつかっていたと思います。第2ゲームくらいから攻め始めて、点が動くようになりました。
健太は途中からブロックを、あまり伸ばさないブロックに切り替えました。というのは、許昕はフォア側に振られてからバックのボールに対して回り込むときに、右足をすごく横に動かしながら回り込みます。そのため、これは盲点だと思いますが、このとき許昕はあまり踏み込めません。それに対して伸ばすボールを送ってしまったら許昕に打たれてしまいますが、そこをわざと短く止めると、許昕はつんのめって、へっぴり腰になります。それで健太は得点を重ねましたね。非常によい作戦だったと思います。
許昕はフォアへの動きが大きい選手なので、フォアサイドに振られて打ってから、すぐにバックサイドに戻るくせがあります。健太が許昕のフォアサイドを2度突きしたらどうなるのかと興味を持っていましたが、あまりそういうプレーはありませんでした。バックへの短いブロックや、カット性ブロックで点をかせいだり、チャンスボールをつくったりしていました。
健太の打球というのはリズムが一定でないので、相手は抜かれたり、待ち切れなかったり、1球1球めまぐるしく変わります。ほかの選手はだいたい一定のリズムで攻めますが、健太の場合は緩急あり、逆モーションありで、いろいろなリズムでいろいろなコースに打てますから、そこが強みですね。
ただ、健太は許昕のボールをカウンターしづらそうにしていました。最終的にはあれをカウンターできるようレベルを上げられるとよいのですが、現時点ではすべてを出したプレーをしたと思います。非常にいいプレーでした。今大会、対戦相手がすべて強豪で、トップクラスの選手に勝ってのベスト8ですから、非常に価値のあるベスト8だと思います。

ボル対馬龍の試合を見ていて、丹羽のブロックを思い出しました。丹羽もボルも、馬龍の強いドライブに対してブロックやカウンターがうまくいっていませんでした。ラケットの真ん中に当たっておらず、端に当ててミスしてしまうシーンが多くありました。
これは馬龍のドライブがイレギュラーしたためか、あるいは打球の放物線を読めなかった、ほかの選手とは全然違う放物線を描いていたのでしょうか。ほかの選手の打球に比べ、ネットを越えてから打球が落ちるタイミングが早いのかもしれないと感じました。それくらい回転がかかっているのでしょうか。あの丹羽をして、そしてあのボルをしてボールをとらえられなかった、そういうところにも馬龍の強さがあると思いました。


渋谷浩
平成11年度全日本チャンピオン
1997年世界選手権大会男子ダブルス銅メダリスト




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試合の詳細な記録は下記サイトをご覧ください。
国際卓球連盟 公式HP:http://www.ittf.com
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