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2016年世界ジュニア選手権ケープタウン大会最終日⑦男子単で張本が優勝!!

 張本智和(JOCエリートアカデミー)がまた快挙を成し遂げた。男子シングルスの決勝で、混合ダブルス、男子ダブルスのタイトルを続けざまに取り勢いに乗る趙勝敏(韓国)との激戦を制して、最年少優勝の記録を更新した。

 

13歳の張本が男子団体と2冠を達成
 
ジュニアでは卓越したバックハンドの技術を見せた
 
張本は優勝を決めてフロアに倒れ込んだ
 
趙勝敏は一番欲しかったタイトルを逃した
 

 

<男子シングルス決勝>
張本智和(日本) -7,-9,6,10,8,-7,7 趙勝敏(韓国)

今大会の張本の試合を1回戦から見ていて、楽に勝てた試合は1つとしてない。もっとも、もっと楽に勝てたのにと思う試合はあるものの、実際にコートでプレーしてみれば世界から選りすぐられてきたジュニア選手に13歳の少年が勝つのが簡単なことであるわけがない。
そんな張本がいくつもの難局を自力で、ときにコーチの力を借りながら、乗り越えてきたことは驚くべきことだ。男子シングルスの決勝も、決して旗色はよくなかった。
混合ダブルス、女子ダブルス、男子ダブルスと日本勢は決勝に勝ち残っていた種目で立て続けに3連敗。男子ダブルスは張本自身が決勝で戦う韓国の趙勝敏を要するペアとの戦いだ。そこで相手の力をまざまざと見せつけられたのだから、意気消沈するのも無理はない。
実際に立ち上がりは、気迫のこもった表情には見えるが、どこか空回りしているような印象を与えた。得意のチキータはミスを誘われ、カウンターされで、2ゲームを落とし、流れは明らかに趙勝敏に傾きかけていた。しかし、それを的確な戦術変更によって、第3ゲームから流れを呼び込む。
無理にチキータせずに、ツッツキを打たせることで自分の得意なブロックとカウンターで戦おうというのだ。その戦術が奏功し、張本は第3ゲームを奪い返す。第4ゲームは、趙勝敏に読まれたか、リードを許すが、6対7の場面で、趙勝敏がサービスのフォルトを取られる。このポイントの一発フォルトに趙勝敏は強く抗議するが、判定は覆らない。7対7。気を落とし、プレーが雑になった趙勝敏は2失点し、9対7。このゲームを張本が取って2対2となった。
第5ゲームも趙勝敏は嫌な気分を引きずっているのが表情から見てとれる。それを払拭しようとするが、張本は高い打球点から打ち下ろすようなバックハンドブロックとカウンターで趙勝敏の強烈な両ハンドドライブを押さえ込んで11対8。優勝に王手をかける。
しかし、趙勝敏も意地を見せ、中陣からの力強いドライブで張本の壁を打ち抜く。勝負は最終ゲームに持ち越された。
こうなると年長で経験も豊富な選手が有利に違いない。今大会も何度もそんな思いを抱いては、覆されてきた。張本の試合を見ていると、そんな思いを覆させるためにゲームオールの試合をしているのではないかとさえ思える。この決勝でも、最終ゲームの張本は、これまで以上の集中力、爆発力でラブオールから吠え、フルスイングし、歓喜し、悔しがる。張本がツッツキレシーブからの展開を軸として4対1とリード。ここで趙勝敏はタイムアウト。この後も張本は3球目、カウンターで得点を重ねるが、趙勝敏もチキータからの展開で追いつき6対7に逆転。しかし、張本は慌てずツッツキレシーブと堅いブロックで再びリードを取り戻し10対7に。ラストは趙勝敏のバックストップを回り込んでバックストレートにぶち抜いた張本が、雄叫びを挙げながら、仰向けに崩れ去った。
 今回の優勝は張本が塗り替えてきた記録の中でも、最も驚くべきものだろう。だが、この先、彼が成し遂げいくことは、さらに私たちを驚かせてくれるかもしれない。今から心の準備をしておいた方がいいだろう。

■張本智和選手
自分では4冠と言っていましたが、シングルスが一番難しいと思っていたので、うれしすぎで言葉に表すことができないです。2年前まではいつか出られればいいと思っていた舞台なので、まさか2年後にチャンピオンになれるとは思っていませんでした。本当にうれしいです。
男子ダブルスの決勝で(安宰賢/趙勝敏に)負けて結構自信をなくして、趙勝敏は強いなと思いました。出だしも0対2で最悪だと思いましたが、そこから3ゲームを取ってからいけるなと思いました。4ゲーム目の6-7で相手のフォルトで追いついたが、そこが結構大きかったかなと思います。そのとき相手も結構、焦っていて、そこからレシーブもドライブも雑になって2対2に戻せました。
勝った瞬間は、それまで緊張しすぎていて、優勝してプレッシャーから解き放たれて、力が出ませんでした(笑)
ワールドツアーとかで最近、体力不足とか言われていたので、今大会は試合数が多かったが、最後に優勝できたのはうれしい。今回は全然体力不足は感じなかったし成長できたと思います。
決勝はブロックに自信があったので、趙勝敏の切れているサービスに対してチキータを狙いにいくよりはブロック、カウンターで狙って行こうと思っていました。
トーナメントを振り返ると3回戦の徐海東の試合が一番の山場でした。あそこを4対3で乗り越えたので、その後は3対3になってもあまり動じずに自分のプレーができました。勝負強さの秘訣は「気合い」です。

■張本宇コーチ
いつも通りに試合に入るように話しました。戦術面ではいつもより自分の力を出す準備しましたが、出だしは予想とは違って、全然点が取れなかったので、途中で戦術を変えました。いつもチキータは他の選手だと通用していましたが、決勝の相手はうまく返してきたので、ツッツキを多くしました。
競り合いが続きましたが、普段の練習から1本1本を大事にと伝えているのでその成果が出たのだと思います。優勝はしましたが、まだまだ実力は足りません。13歳なのでパワーをつけたり、ラリー戦も強くなって欲しいし、まだまだたくさんやることはあります。
優勝のご褒美は、大会期間中は私が携帯電話を管理していたので、それを返してあげることです(笑)


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今大会の模様は卓球レポート2月号に掲載します。
 

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