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元全日本王者が斬る!渋谷浩の眼 〜男子シングルスの行方〜

いよいよ平成最後の全日本、平成30年度全日本卓球選手権大会(一般・ジュニアの部)が1月14日より丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)で開催される。卓球レポートでは、大会に先駆けて元全日本王者の渋谷浩が、各種目の見どころを解説する。

会場が東京から大阪に

初めての会場に対する準備が大事

 まずポイントとして挙げるべきは、今大会の会場が、平成13年度以降全日本が開催されてきた東京体育館(平成24年度は代々木第一体育館)ではなく、丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)に変わることでしょう。
 会場の変更がなぜ選手に影響を与えるのかというと、これまで東京体育館でプレーすることに慣れてきた選手は、大阪市中央体育館の会場の広さ、場内の温度や湿度、コートから見える景色などが違うために、戸惑うことがあるかもしれません。東京体育館ではいいプレーができていた選手も、違う環境で同じようなプレーができるだろうかという不安はあるでしょう。
 例えば、気温が上がればボールは走るようになるので、カット主戦型の選手やブロックを多く使う守備型の選手などはやりにくくなるなど、プレースタイルによっても受ける影響が異なります。
 また、1日のプランの立て方も難しくなるでしょう。いつもと同じ会場であれば、ホテルからの移動手段、移動時間、食事を買ったり食べたりするお店の場所、試合の合間にどこで過ごすかなど、さほど意識せずに組み立てることができましたが、今度の会場はあまり行ったことがない選手も多いでしょうから、試合前から平常心でいられない選手もいるかもしれません。
 だから、東京体育館の全日本で経験を積んできている選手でも、やりにくさを感じる選手は出てくると思います。とはいえ、初めての会場というのはどの選手にも同じ条件ですから、まずは準備を十分にすることが重要になってくるでしょう。

男子はジュニア世代躍進の可能性

 先日行われた世界卓球2019ブダペストの第一次選考会では、宇田幸矢(JOCエリートアカデミー/大原学園)、戸上隼輔(野田学園高)がベテラン勢を差し置いて上位に進出しましたが、全日本でもジュニア選手の風が吹くのではないかと思います。
 ジュニア世代は非常に力を付けてきているだけでなく、シニア世代にとってはやりにくいプレーをする傾向があります。とにかく卓球が速い。そして、ブロックをしない、すべてカウンターという攻撃的なプレーで、シニアの選手たちが振り回されるシーンを何度も見かけました。
 上位に勝ち進むかどうかは別として、世界ジュニアの代表になった宇田幸矢、戸上隼輔、田中佑汰(愛工大名電高)、曽根翔(愛工大名電高)の4人は面白いでしょうね。ジュニア世代では張本智和(JOCエリートアカデミー)が突出しすぎていますが、この4人もかなりの実力者だと思います。
 今回は組み合わせを気にする選手が多かったと思います。特に、優勝経験のある吉田海偉(東京アート)も1回戦からですし、一昨年、2位になっている吉村和弘(愛知工業大)も2回戦からと、例年になくスーパーシードが足をすくわれる可能性があるのではないかと思います。
 優勝候補としては、張本智和、水谷隼(木下グループ)の名前は外せないでしょう。この2人が中心になっていくとは思いますが、今年は対抗馬がたくさんいると思います。というのも、Tリーグが始まった影響で、張本、水谷と他の選手が国内で対戦する機会が非常に増え、対策が立てやすくなったからです。だから、誰とは言わず、多くの選手にチャンスがあると思います。

ここからはブロックごとの組み合わせを見てみましょう。
組み合わせはこちら(PDFが開きます)

【第1ブロック】
張本がかつて苦手にしていた
緒方との対戦に注目

 第1ブロックは、やはり張本智和が勝ち進む可能性が高いでしょう。張本にとって怖いのはランク決定戦(5回戦)で当たる可能性がある緒方遼太郎(早稲田大)ですね。張本が過去に苦手にしていた時期がありますし、過去形ですが「手の内を知られていた」選手ですから、精神的にやりにくい部分はあると思います。

 この他にはもちろん、優勝経験のある吉村真晴(名古屋ダイハツ)と吉田海偉、昨年のジュニアの部の決勝で張本と競り合った宇田幸矢もいます。吉田海偉は、対戦相手が普段ああいうプレースタイルの選手(フォアハンド主体のペンホルダー)と練習する機会が少ないでしょうから、やりにくいと思います。あれだけフォアサイドをオープンにしている選手はいませんからね。とはいえ、順当に行けば、第1ブロックは張本智和というのは間違いないでしょう。

【第2ブロック】
好試合必至!
打撃戦に強い選手が集結

 第2ブロックは激戦区ですね。Tリーグでも海外のトップ選手を破るなど経験を積んでいる大島祐哉(木下グループ)が有利だとは思いますが、選考会でもTリーグでも調子のいい平野友樹(協和発酵キリン)が勝ち上がる可能性も十分にあります。田添響(専修大)、酒井明日翔(明治大)、藤本海統(日鉄住金物流)、高木和卓(東京アート)、森薗政崇(岡山リベッツ)など打撃戦に強い選手がそろっていますから、試合は盛り上がるでしょうね。攻撃力の強い選手同士の試合では、守備力の高さもポイントになります。攻撃力だけでなく、打たれ強さもあるベテランの大矢英俊(東京アート)が勝ち上がる可能性もあるでしょう。

【第3ブロック】
シード下の選手に注目
7ゲームスマッチの戦い方がポイントに

 第3ブロックは、スーパーシードのほかにも勝ち上がりそうな選手がいるブロックですね。松下海輝(日鉄住金物流)のパートには2回戦から吉村和弘が出てきますし、松平賢二(協和発酵キリン)のパートには有延大夢(リコー)が入っています。戸上隼輔のパートにいるカットの御内健太郎(シチズン時計)も怖い存在ですね。

 余談になりますが、私の経験上、カット主戦型は5ゲームスマッチよりも7ゲームスマッチの方が強いです。というのも、5ゲームスマッチの短期決戦だと、1ポイント1ポイントの取り合いになってしまい、ゲームを組み立てることが難しいですが、7ゲームスマッチだと、幅広い戦術を使ったり、伏線を張ることができるからです。ゲームの序盤で、中盤、終盤に生きてくる「良い失点」というのができる。5ゲームスマッチだとそんなことをしている余裕はないので、カット主戦型や試合の組み立てに長けたベテラン選手ほど、7ゲームスマッチで勝ちやすい傾向があるでしょう。
 全日本では3回戦までが5ゲームスマッチ、4回戦からは7ゲームスマッチなので、そこにも注目して見ると面白いかもしれません。

【第4ブロック】
強豪ひしめく激戦区
分の良い/悪い相手との対戦がポイント

 第4ブロックも強豪がひしめいていますね。水谷隼、丹羽孝希(スヴェンソン)のタイトルホルダーに加え、神巧也(シチズン時計)、岸川聖也(ファースト)、上田仁(岡山リベッツ)らがいます。岸川は5回戦で丹羽に当たる組み合わせですが、岸川は丹羽の効率的な卓球を非効率にさせるテクニックを持っているので、自分のペースに持ち込めば面白いかもしれません。上田は苦手にしている藤村友也(日鉄住金物流)と当たる可能性がありますが、苦手な選手に勝たずに上位に行くことはできないので、分が良い悪いにナーバスになりすぎない方がいいですね。及川瑞基(専修大)は特に最近は強い選手にも勝つ力があるので、一昨年の対戦では一方的にやられましたが、今年は水谷に対してもプレッシャーをかけられるだけの力を付けてきているかもしれません。
 今年は例年になく、序盤から激しい戦いが見られそうな気がします。

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