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元日本代表が世界卓球を語る「梅村礼の眼」 大会8日目 馬龍 対 ファルク

世界卓球2019ブダペストでも、昨年に続き、元全日本チャンピオン、日本代表にして、現在はTBE(タマス・バタフライ・ヨーロッパ)に勤務し、世界の卓球事情に通じた梅村ならではの眼で試合を解説する。
 男子シングルスで、2003年パリ大会のシュラガー(オーストリア)以来16年ぶりに中国選手以外が決勝に勝ち進んだ。そのファルク(スウェーデン)の快進撃を止めたのは、2連覇中の王者馬龍(中国)だった。

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男子シングルス決勝

馬龍(中国) 5,7,-7,9,5 ファルク(スウェーデン)

 やはり決勝戦で相手が馬龍ということもあり、緊張感と技術・戦術で封じられて、マティアス(ファルク)は試合の前半は昨日ほどいいプレーができていませんでした。
 序盤の流れのまま最後までいってしまうかなと思っていましたが、マティアスは3ゲーム目に同じことをやっていても勝ち目がないと開き直りました。戦術やプレー位置を変えてみたり、なるべく馬龍にフルスイングさせないように工夫をしていました。それが馬龍から1ゲーム取れた要因だったと思います。

 2ゲーム目はマティアスがフォア前を強フリックで攻めていきました。そこで、馬龍は3ゲーム目から、それまではツッツキなどでつないでいたフォア前にストップされたボールを無理に打ちにいく場面がありました。これは馬龍もマティアスのフォアの表ソフトラバーのボールを警戒していた証拠でしょう。
 マティアスは両サイドを狙うと馬龍に狙われてしまうので、3ゲーム目は特にミドルにボールを集めて、前後に揺さぶりをかけたり、うまくミドルのコースを使った戦術でマティアスが3ゲーム目を取りました。

 ただ、やはり相手は馬龍、しっか試合中にマティアスのプレーに対応してきます。馬龍は後半、一発を狙うのではなく、ラリーをしてボールの高さやコースに変化を付けました。マティアスは背が高く両コーナーには手が届くので、馬龍はフォアミドルにボールを集めていました。

 マティアスは、準々決勝からゴズィー、安宰賢、馬龍と3人の右シェーク攻撃型の選手と対戦しましたが、やはり、懐の深さ、技術の幅の広さで馬龍は群を抜いていました。あとは、世界チャンピオンということが相手に与えるプレッシャーも大きかったと思います。マティアスは、準々決勝、準決勝では無理してつないでいたボールを、強打しないと得点にならないという思いから、無理な強打を誘われてミスをしていました。
 強烈なドライブを持つ安宰賢が相手のときでも、1本つながせたボールの次を狙うという戦術を取っていましたが、馬龍に対しては一発で決めにいってミスする場面が見られました。その辺りが中国選手と対戦するときに陥りやすい心理的な傾向です。
 もちろん、甘いボールでは話にはなりませんが、本来は中国選手相手でもそこまでリスクを負って戦う必要はありません。ただ、どこかで中国選手、馬龍ということを意識してしまって、無理をしてしまう。苦手意識とは違いますが、いつも通りのプレーでは得点できないという状況が重なると自然とそうなってしまうのです。
 一方の馬龍は、マティアスのボールの特徴や距離感を把握したあとは、無理をする必要がありません。相手が勝手に無理をしてくれるので、その差が大きかったですね。

 また、馬龍は他の選手を苦しめてきたマティアスの表ソフトラバーのボールをまったく苦にしませんでした。中国にはいろんな戦型の選手がいて、いないとしても今回は練習相手にフォア面に表ソフトラバーを貼らせて対策もしていると思います。それこそ多球練習で表にスマッシュしてもらったボールを返す練習もやってきているでしょう。中国選手からすると、マティアスのような希少な戦型でも苦にはなっていなかったと思います。ただ、マティアスは背が高いので、上から打たれるボールに合うまで少し時間がかかったかもしれませんが、それにもすぐに対応していました。
 マティアスは最初からエンジン全開でプレーすると思っていましたが、序盤は馬龍の様子を見てしまっていたので、そこでちょっと馬龍に余裕を持たれてしまった部分もありました。

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 馬龍には決勝で外国選手に負けられないというプレッシャーも当然あったと思います。珍しく観客席で中国選手団がまとまって応援をしていて、そこには劉国梁もいて、男子選手・女子選手のコーチも総出でいたので、これは初めて見た光景かもしれません。選手も立ち上がって応援していたので、負けられない、負けたくないという中国の思いも馬龍はひしひしと感じていたはずです。しかし、そうしたプレッシャーも力に変えてしまうほど、馬龍は強い選手になったということでしょう。

 マティアスはフォア表速攻型というパフォーマンスの波が大きくなりがちな戦型でありながら、最近は非常に安定して強さを発揮していました。今大会でもコンスタントに勝ち上がって、大舞台で成績を残していますし、オリンピックや団体戦でスウェーデンと対戦することを考えたときに、日本にとっても脅威になってくると思います。


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なお、詳しい試合の結果は大会公式サイトでご確認ください。
ITTF(国際卓球連盟):https://www.ittf.com/tournament/5000/2019-world-championships/
2019 World Table Tennis Championships - Budapest:http://wttc2019.hu/

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