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インターハイ三冠王 渋谷浩が見た鹿児島インターハイ 男女シングルス編

第53回、54回インターハイで2年連続の三冠王に輝いた渋谷浩が、男女シングルスの決勝を振り返る。

【男子シングルス決勝】戸上が耐えきった試合

戸上隼輔(野田学園) -10,9,6,-7,9 篠塚大登(愛工大名電)

 一言で言うと「戸上が耐えきった試合」ですね。内容的には本当に互角で、勝敗の分かれ目もないくらい実力は拮抗していましたが、先に11点取った戸上が勝ったという印象です。
 この決勝で目立ったのは、お互いチキータへのこだわりを捨てて、丁寧でレベルの高いストップ、台上技術の応酬となったことです。この決勝を見た高校生男子は、あらためてストップの重要性を認識してくれるのではないかと思います。
 篠塚が戸上の3球目攻撃を防ぐために徹底してストップしようとしているところを、うまくロングサービスを要所で使ってレシーブミスを誘いました。
 また、両者にはストップの質の違いがあって、戸上のストップは低く短く決まっていて、篠塚のストップは逆モーションを使ったり、相手のサービスの回転を利用して横回転を入れるなど、バリエーションに富んでいました。戸上は何とか対応していましたが、苦しかったと思います。
 篠塚は敗れましたが、プレーの奥行きがあって素晴らしかったと思います。決勝の舞台にふさわしい強さを備えていました。技術レベルの高さだけでなく、押したり引いたり、フェイントを入れたりとプレーの幅も広い選手ですね。
 戸上は本当にいろいろな思いを胸にプレーしていたと思います。学校対抗決勝での敗戦は引きずらずに、気持ちを切り替えていたように見えました。シングルスは決勝まではオール3対0なので、格の違いを見せてくれたと思います。
 男子はベスト4に、戸上以外の、篠塚、谷垣(愛工大名電)、新名(明徳義塾)と1年生が3人も入ったので、来年以降もレベルの高い大会になることが期待できます。

 男子は先述したように、ストップレシーブとそこからの展開が重要になってきています。打ち合いが得意な選手はたくさんいますが、強い選手にはそこに持って行く前にやられてしまいます。派手で楽しい練習よりも、地味でつまらない練習をもっとたくさんしないと強くなれません。

【女子シングルス決勝】出雲は現代卓球の盲点を突いた

出雲美空(遊学館) 6,5,7 岡田琴菜(明徳義塾)

 優勝した出雲はとにかくバックハンドの技術が多彩でした。ブロックに横回転を入れたり、はじいたり、相手が台から距離を取ったら、短く止めたり、相手を前後に揺さぶって フォアハンドの攻撃にうまくつなげていました。
 平行足で両ハンドを振る現代卓球の盲点は、前後に動きづらいということですが、そういう弱点をうまく突いたプレーがよかったですね。
 岡田は快進撃を見せてくれました。準決勝では、緩急もうまく使っていました。バック対バックで時折高いボールを混ぜて相手のタイミングをずらしたり、という単調でないプレーが光りました。異質攻守型の出雲にはこのよさが出せなかったのが残念ですね。

 ジュニアチャンピオンの出澤(大成女子)が準々決勝で浅井(桜丘)に敗れましたが、浅井が守備力がついてきたのが勝因でした。浅井はカットしていたと思ったら攻撃、攻撃したと思ったら下がってカットという奇想天外なプレースタイルが形になってきました。出澤は元来自分から攻撃力を仕掛けるプレースタイルではないので、守る浅井を深追いして攻めすぎたのが敗因ですね。

南部九州総体2019速報ページ:http://kirokukensaku.net/0IH19/discipline_060_20190817.html

(取材=佐藤孝弘)

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