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2020年全日本卓球 宇田直充コーチ「幸矢らしいプレーで楽しめればいいと思って臨んだ」

 2020年全日本選手権大会男子シングルスで衝撃の優勝を果たした宇田幸矢(JOCエリートアカデミー/大原学園)。決勝で宇田のベンチに入った、父であり、コーチでもある直充氏は、愛息の優勝をどのようにサポートし、受け止めたのか。
 決勝後に行われた直充氏へのインタビューを紹介しよう。

 

ー今大会を振り返っていかがですか?
 今回は表彰台を目指してスタートしました。組み合わせが良かったので、なんとか張本まで行きたいと。最近は、ちょっと力が入りすぎて目標に届かないということがあったので、美誠ちゃん(伊藤美誠/スターツ)がよく言っているように、楽しむことをテーマに、幸矢らしいプレーを出しながら楽しめればいいなと思って取り組んできました。

ー張本選手をねじ込んでいくような試合でしたが、コーチの目から見ていかがですか?
 正直、張本に勝つパターンとしてはあれしかないなというところと、前半(張本が)様子を見ながら来たところを先手を取れてリードできたというのは良かった。ですが、そのまま終わらせてくれないのがやっぱり張本で、そこからしっかりと切り替えてきたので、こちらもそれに対応するようにプレーしていました。
 3対1(10-8でリード)のところで決めきれなかったのは痛かったのですが、最初から4対3でもいいという気持ちがあったので、最後まで我慢しながら、いいところが出せたらなと思ってプレーしていました。
(張本は)どんなにいいボールを打っても抜けないので、メリハリをつけて。(幸矢が)ちょっと台から下がって強いボールを打ち始めたので、そうすると張本の好きなパターンというかまず抜けないので、ゆっくりなボールを使いながら速いボールとメリハリをつけながら攻めようと。前半のパターンに戻そうという話をして7ゲーム目に入りました。

ー相手のチキータに対してはどうでしたか?
 張本のチキータは最初の方は苦戦しましたが、(幸矢は張本のチキータの)スピードが出ないようにサービスを工夫していました。思い切り行くとオーバーミスするように、(サービスの回転を)軽めにしてスピードを出させないようにして、向こう(張本)が止めた時にそれを狙っていこうと。(チキータからの)速いテンポのラリーは最初我慢して、一瞬ゆっくりになるボールが来るのでそこを狙おうと。

ー幸矢選手の方はチキータが決まっていましたが。
 幸矢の場合、もともとチキータが得意なので、チキータが入っている時は比較的勝ちやすい展開になる。取り合えずチキータで行ってみよう、それでチキータを狙われるようであれば考えようというようにしていました。
 でも、だんだん(張本が幸矢のチキータに)合って来たので、ストップにしたらフリックで余計に狙われたので、やっぱりこれは行くしかない、最後は気持ちも吹っ切ってラケットを振っていくしかないと話しました。当然、守って勝てる相手じゃないので。
 ガンガンいってハマった時にチャンスがあると考えていたので、あまり守る気持ちにはなっていなかったです。

ー当初計画した通りに試合が運べたと?
 そうです。想定していた内容でスタートして、途中から相手が対応してきたので、それをまたちょっと変えながら最後は押していく。


ー回り込みカウンターは観客も驚いてましたが。
 あのパターンは幸矢が得意なパターンです。レシーブがかなり限定されるサービスなので、幸矢も待ちやすい。そこに張本がどう対応してくるのかを見ていましたが、ずっとフォアハンドで来ていたので、あのパターンでしのげたなという感じがします。

ー最後の9-9も幸矢選手の判断で?
 いや、あれは最後取っておこうというか、最後競ったらあれでいこうと決めていました。当然、幸矢自身もあのパターンだなって理解していましたし、そこはベンチと一致していました。

ー成長する時期だと思いますが、その中でもどこが伸びましたか?
 最近に関して言うと、練習内容や課題を自分ですごく考えるようになったなというのが一つです。
 私が指示する練習内容よりも、海外から帰って来たらこれをやりたいとか、このパターンをできるようにならないと上にはいけないとか、自分で練習メニューが考えられて、自分の課題がよく見えるようになったことが多分一番大きいと思います。

ー優勝の瞬間はどんなお気持ちでしたか?
 夢に描いていた天皇杯をいただく時には、うーん、夢だったものが来たんだなというか、実際に今ここ(優勝後のミックスゾーン)に立っていても夢なのかなっていう感じはあります。
 本当によく頑張ったし、比較的決勝は幸矢の持ち味が出せた試合だったと思うんですけど、それまではああいう風にガンガン振る試合じゃなくて、我慢しながら我慢しながらつかんだなっていう気がします。

ー世界卓球も決まりましたが。
 選考会出てもなかなか通らなかったので、本当にそこ(日本代表)にはすごく近いようでまだまだ遠いなっていう実感があったんですけど、まさかこんな形で取れるとは思わなかったので、私だけじゃなくて、本当に多くの方が関わって支えて頂いたので、本当に皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。


(まとめ=猪瀬健治)


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詳しい試合の結果は大会公式サイトでご確認ください。
全日本卓球:http://www.japantabletennis.com/zennihon2019/
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