1. 卓球レポート Top
  2. 大会
  3. 国際大会
  4. 世界卓球
  5. 2021ヒューストン
  6. 世界卓球2021ヒューストン 張本智和が振り返る世界卓球

世界卓球2021ヒューストン 
張本智和が振り返る世界卓球

熱戦の記憶も冷めやらない世界卓球2021ヒューストンで活躍したバタフライ・アドバイザリースタッフに焦点を当てて話を聞く本シリーズ。
今回は、混合ダブルスで決勝進出を果たし、自身初となる世界卓球個人戦でのメダルを獲得した張本智和(木下グループ)に世界卓球を振り返ってもらった。

--世界卓球の個人戦で初のメダルを獲得して、どのような心境ですか?

(団体戦も含めて)通算4回目の出場なので、やっとメダルを獲得できて、うれしいよりはホッとしたという心境です。もう一つは、(混合ダブルス)準決勝でしっかり勝てて、決勝の舞台に立てたことはよかったと思います。

--張本/早田ひな(日本生命)ペアの強さはどこにあったと思いますか?

 混合ダブルスは基本的に相手の女子選手からの得点を狙いますが、僕たちのペアは早田さんがパワーがあるので、狙われてもあまりミスをしないというのが強い点です。
 あとは、僕も早田さんも攻撃力が高いので、自分のサービス・レシーブ、早田さんのサービスでチャンスを作って自分が決めるというパターンが結構よかったと思います。
 ラリーも、自分のバックハンドがありますし、早田さんもフォアハンドで飛びつけるので、バックサイドのラリーには自信があります。
 トーナメントは2回戦の同士打ち(宇田幸矢/芝田沙季戦)が山場でした。自分がシングルスで負けた直後で、やりづらさはありました。1対2で負けていて、そこまでは結構ミスが多かったんですが、5ゲーム目の5-5から自分のサービスと早田さんのレシーブで得点できたので、そこはよかったです。

早田ひな(左)との攻撃力の高いペアで決勝進出を果たした

--シングルスのドローの結果はどのように感じましたか? また、それはプレーに影響しましたか?

 ドローは、2年前とほとんど同じで、(自分の山には)中国選手が周啓豪しかいなかったので、まずはベスト8まで勝ち上がることを目標に、油断などすることはなく臨みました。
 2年前(世界卓球2019ブダペスト)の時も中国選手のところまで勝ち上がれなかったので、ヨーロッパ選手との試合も大事だとは思っていました。ドローがプレー内容に影響することはなかったと思います。

--シングルス2回戦(初戦)のディヤス(ポーランド)戦にはどのように臨みましたか?戦術面、メンタル面でどのようなプレーだったと思いますか?

 ディヤスとはシングルスは初めての対戦でした。バックハンドが前陣でも中陣でも打てて、YGサービスがあるので、やりづらいとは予想していました。(東京五輪で敗れた)ヨルジッチ(スロベニア)と同じですね。ヨルジッチはバックハンドサービスでしたが、YGサービスと回転方向が同じなので、左横回転のサービスに対してうまくレシーブできるかどうかが重要だと思いました。
 正直言って、誰が相手でも厳しい戦いになるとは思っていましたし、オリンピックと同じように100%の自信を持って臨めるような状況でもなかったので、3対2でリードしても自信がない分、勝ちきれないところがありました。リードしていながらも、勝っている感覚がないというか、自信が持てませんでした。相手のミスでの得点が多かったり、ゲームを連続で取ることができなかったり、流れに乗り切れてない部分があったと思います。自分がこうやって点を取りたいというパターンで、得点できていなかったので、なかなか、思うようにプレーすることができませんでした。

 戦術的には相手のYGサービスはフォア前とロングサービスがありましたが、ロングサービスが見分けづらく、ロングサービスが待てなかったり、待てても回転量が多くて回り込んでもミスが多かったですね。
 フォア前のサービスに対してはチキータでレシーブできていましたが、チキータ以外のストップ、ツッツキでもチキータと同じくらい得点できれば、4対1、4対2くらいで勝てていたかなとは思います。やはり、チキータだけでは厳しいですね。

シングルスではディヤスのYGサービスとバックハンドに苦しめられた

--男子ダブルス3回戦の宇田幸矢/戸上隼輔(ともに明治大学)戦にはどのように臨みましたか?

 男子ダブルスは、組み合わせを見た時に同士打ちになると思いましたが、中国ペアと当たるよりはいいと思いました。前回(世界卓球2019ブダペスト)では、木造さんとのペアでベスト8決定で中国ペアに当たったので、ベスト4まで中国ペアとは当たらないドローは悪くないと思いました。
(宇田/戸上とは)合宿で2回試合をして2回とも負けましたが、この試合で初めて1ゲーム目を取ることができて,2ゲーム目も5ー0とリードして、逆に「こんなにリードしてる」と意識してしまって、2人とも凡ミスが出て追いつかれてしまいました。そのゲームは10ー10まで追いつきましたが、結局取れず、この第2ゲームを取れなかったのが痛かったですね。3ゲーム目は取りましたが、流れは取り戻せていないなという感じで、第4、第5ゲームはあっさりと落としてしまいました。
 森薗さんとのダブルスは2年ぶりに組みましたが、森薗さんはダブルスがうまいですし、負けはしましたが、内容は悪くなかったと思います。

森薗政崇(左)とペアを組んだ男子ダブルスは序盤での同士打ちに泣いた

--今大会で得られたものと見つかった課題を教えてください。

 課題はどちらかといえば、技術よりもフィジカルだと思っています。卓球で大事なのは筋力だけじゃなくて、俊敏性とか細かい動きの正確さも中国選手よりは劣っていると思います。例えば、ネットしたボールに対して、急にステップを踏めるかなど、そういう1点、2点で中国との差が出てしまいます。まあまあ高いくらいの身体能力では勝てないとWTTで感じたので、究めた上で臨機応変に試合で(身体能力を)使えるようにしていきたいと思います。フィジカルがないと手元の感覚も使えないので、技術よりはフィジカルの強化が大事だと思っています。

 今年1年で今まで取ったことのない、オリンピックと世界卓球のメダルを取ることができたので、トップ選手としてやるべき最低限のことはできたと思っていますが、やはり、1番の目標であるシングルスでの金メダルが今年1年達成できておらず、「目標はオリンピックの金メダル」と言いながらも、いろいろな課題があって結果も残せていない状況でした。
 しかし、そのようなしがらみというか、厳しい状況も今年で終わったと思うので、来年からはシンプルにシングルスの金メダルだけを目指して、あとは練習するだけだと思います。
 いろいろと経験は一通り済んだので、シングルスの金メダルを狙いにいきます!



(取材/まとめ=卓球レポート)

\この記事をシェアする/

Rankingランキング

■大会の人気記事

NEW ARTICLE新着記事

■大会の新着記事