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世界卓球2022成都 渡辺理貴が男子団体予選リーグを鋭く分析

 元ナショナルチームコーチとして数々のトップ選手の指導に携わり、現在はTリーグの解説者としても活躍する渡辺理貴氏が、その卓越した観察眼で世界卓球2022成都を鋭く分析する企画。
 今回は、男子予選リーグの模様をグループごとに詳しく解説してくれた。

【グループ1】中国が隙のない強さで順当に1位通過

 地元開催の中国が、樊振東、馬龍、王楚欽、梁靖崑、林高遠とメンバーを惜しみなく揃えて盤石な体制で臨み、圧倒的な強さで1位通過を決めました。
 このグループは中国が圧勝することは分かっていましたが、注目したのは中国対スロベニア。スロベニアには急成長を遂げているヨルジッチがいるため、そのヨルジッチと誰が当たるか注目しましたが、中国は次期エース候補筆頭の王楚欽を当てにいきましたね。王楚欽の早くて強い攻撃に対してヨルジッチはカウンターブロックを合わせるなど健闘しましたが、ミドル攻めが功を奏した王楚欽がゲームカウント31で勝利しました。中国の牙城揺るがずでしたが、予選リーグとは思えない緊張感のあるハイレベルな内容の試合でした。

【グループ2】フランスのフェリックス・ルブランの躍動が光る

 ドイツ、フランス、インドの三つどもえの争いが予想された中、インドのエース・グナナセカランが、ドイツのエースでヨーロッパチャンピオンのダン・チウを倒し、インドがドイツを3対1で下した試合は見ごたえがありました。
 1位通過を果たしたのはフランスですが、エースのゴジーを欠く中、ルブラン兄弟の活躍が目立ちましたね。特に、弟でペンホルダーのフェリックス・ルブランはカザフスタン戦で世界ランキング28位のゲラシメンコ、インド戦ではグナナセカランをストレートで破るなど力をつけています。試合を経るごとに強くなっている印象があるので、決勝トーナメントでもフランスは目が離せません。

【グループ3】勝利への執念を感じさせてくれた日本男子

 混戦が予想されたグループでしたが、苦しい戦いに全員で耐えて乗り越えた日本男子チームのがんばりが光りました。全日本チャンピオンの肩書きを持つ3人(張本智和戸上隼輔及川瑞基)はそれぞれ苦しい試合がありましたが、土壇場で「らしさ」と勝利への執念を感じさせる良い戦いを見せてくれたと思います。
 その一方、惜しくも敗れた試合は、日の丸を背負う団体戦のプレッシャーからか、自分のパターンに持っていこうとしすぎてしまったケースの失点が目立ち、ゲームメイクがうまくいきませんでした。このあたりを修正することが、上位進出への鍵の一つになるでしょう。
 このグループ3は、全12試合中、半分近くの5試合がラストまでもつれたことからも力が拮抗していましたが、その中をしっかり1位で通過した日本の戦いぶりはあらためて見事でした。

【グループ4】韓国が持ち前の爆発力を発揮してトップ通過

 このグループは、チームランキング世界4位の韓国が他を圧倒して順当に1位通過を決めました。張禹珍、安宰賢を軸にパワーヒッターをそろえたメンバー構成は爆発力があります。決勝トーナメントで韓国と対戦するチームは怖いでしょうね。
 また、要のアサール兄弟を欠いたエジプトでしたが、古豪チェコと決勝トーナメント進出を争って競り勝った試合は見ごたえがありました。

【グループ5】タレント豊富なスウェーデンが強敵ぞろいのリーグを制す

 力のある国がそろいましたが、タレント豊富なスウェーデンが安定した力を発揮し、1位通過を決めました。特に、エースのモーレゴードが、タイミングの早い攻撃と逆を突くストレート攻撃をうまく織り交ぜてイングランドのエース・ピッチフォードに勝利した試合は素晴らしく、これで勢いに乗ったと思います。
 2位争いとなったポーランド対イングランドは、ポーランドが19歳のエース・キュービックを3番に置いて確実に勝ち点を奪うオーダーの駆け引きのうまさでイングランドを上回り、ポーランドが2位通過を果たしました。

【グループ6】カルデラーノが全勝の活躍でブラジルを決勝トーナメントへけん引

 このグループのハイライトは、ポルトガル対ブラジル。フレイタスモンテイロ、ジェラルドと経験値の高いメンバーをそろえたポルトガルと、絶対的エースのカルデラーノを擁するブラジルの試合はラストまでもつれる大熱戦になりましたが、総合力で上回ったポルトガルが勝利し、決勝トーナメント進出を決定付けました。
 初戦で惜しくもポルトガルに敗れたブラジルでしたが、カルデラーノはスロバキア戦でカットのワン・ヤンにマッチポイントを握られてから逆転勝利するなど個人成績全勝の活躍で、結果的にこのグループリーグ1位でブラジルを決勝トーナメントへと導きました。

【グループ7】中華台北がまさかの全敗。オーダーの強みを生かしたクロアチアが1位通過

 大会直前にエースの林昀儒を欠いた中華台北がまさかの全敗で終えた中、勢いがあったのがクロアチアとベルギー。クロアチアは、エースのガシナを中心に相手によってプッツァーとジェリコを使い分けるオーダーの強みを生かしてグループリーグ1位通過を果たしました。
 一方のベルギーは、左腕のニュイティンクとアレグロを軸に、ユースで活躍する19歳のラッセンフォスを3番に配置するオーダーで中華台北とシンガポールを破り、2位で決勝トーナメント進出を決めました。

(まとめ=卓球レポート)

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