第58回世界卓球選手権団体戦が、韓国の釜山で2月16〜25日にかけて開催される。
大会3日目の2月18日(日)の男子団体グループリーグの模様を抜粋して紹介する。
※写真は松島輝空(日本)
【男子グループ1】
中国 3-0 ハンガリー
○樊振東 3-0 マヨロス
○梁靖崑 3-0 ラカトス
○林高遠 3-1 スーディ
グループリーグ3試合目となる中国は、樊振東、梁靖崑、林高遠のオーダーでハンガリーと対戦。1番で樊振東が圧巻の両ハンドで先制すると、梁靖崑も危なげないプレーで続き、中国があっという間に王手をかける。
続く3番の林高遠は、スーディの思い切った攻撃に第1ゲームを落としたものの、第2ゲーム以降は持ち前の高速バックハンドを軸にした速攻で主導権を渡さず勝利。中国が難なく全勝をキープした。
敗れたハンガリーはリーグ戦1試合を残して1勝2敗。グループリーグ突破をかけてベルギーと対戦する。
【男子グループ2】
ドイツ 3-2 カザフスタン
○ダン・チウ 3-0 クルマンガリエフ
オフチャロフ 2-3 ゲラシメンコ○
○フランチスカ 3-0 ケンジグロフ
ダン・チウ 2-3 ゲラシメンコ○
○オフチャロフ 3-0 クルマンガリエフ
ラストまでもつれた接戦は、層の厚さでまさるドイツが勝利。ダン・チウ、オフチャロフ、フランチスカが1点ずつ取り、首位を守った。
一方、 敗れたカザフスタンは、昨日のイングランド戦に続き、エースのゲラシメンコがオフチャロフ、ダン・チウから2点取り。勝利にはつながらなかったが、実力者2人に打ち勝ったゲラシメンコのラリー力は際立っていた。
【男子グループ2】
アメリカ 3-2 イングランド
○クマル 3-1 ピッチフォード
○リャン・ジシャン 3-1 ドリンコール
ナレシュ 1-3 ジャービス○
リャン・ジシャン 0-3 ピッチフォード○
○クマル 3-2 ドリンコール
ドイツ、カザフスタンと同じグループ2のアメリカ対イングランドは、サウスポーのクマルが前陣速攻でピッチフォードとドリンコールから2点取りで、アメリカがイングランドに金星。
グループ2はドイツの首位が固いが、このアメリカの勝利により、決勝トーナメント進出のかかった2〜3位争いは混沌としてきた。
【男子グループ6】
スウェーデン 3-2 香港
○モーレゴード 3-0 林兆恒
ケルベリ 1-3 黄鎮廷○
○K.カールソン 3-0 何鈞傑
モーレゴード 1-3 黄鎮廷○
○ケルベリ 3-1 林兆恒
このグループの大一番、スウェーデン対香港はラストまでもつれる熱戦になったが、ラストでケルベリが林兆恒に勝利。層の厚さを見せたスウェーデンが首位を守った。
一方、香港はエースの黄鎮廷が充実のプレーで2点取りの活躍を見せたが、タレントがそろうスウェーデンからはもう1点が遠かった。
【男子グループ3】
ポーランド 3-1 インド
○ディヤス 3-1 アチャンタ
キュービック 1-3 デサイ○
○レジムスキー 3-2 タッカー
○ディヤス 3-1 デサイ
キュービック - アチャンタ
エースのディヤスが強烈なバックハンドで強豪インドから2点を叩き出し、ポーランドが勝利。 これでポーランドは1勝1敗とインドに勝ち星でならんだ。
この勝敗により、地元の韓国が首位を走るグループ3だが、明日の10時から行われる韓国対インドの結果によっては、首位争いに波乱が起きるかもしれない。
【男子グループ5】
日本 3-1 中華台北
○張本智和 3-0 高承睿
篠塚大登 2-3 林昀儒○
○松島輝空 3-2 荘智淵
○張本智和 3-2 林昀儒
篠塚大登 - 高承睿
グループリーグ首位突破がかかる大一番は、予想にたがわぬ激戦になった。
日本のトップはエースの張本智和、対する中華台北は若手の高承睿。昨年のアジア選手権で非凡なプレーを見せた高承睿がリスキーな攻めで向かってきたが、張本が動じずに落ち着いたプレーで第1ゲームを先取すると、第2、第3ゲームと続いたジュースも物にし、日本が先取点を奪う。
続く、篠塚大登と中華台北エースの林昀儒の2番は、第1ゲームをサービスが効いた篠塚が取るが、徐々に篠塚のサービスをチキータできるようになった林昀儒が第2、第3ゲームを連取し、王手をかける展開。第4ゲームは、ここまで珍しく短期決戦を挑んでいた篠塚がしっかり打ち合って物にし、タイに追いつく。しかし、最終の第5ゲームは林昀儒がさすがの対応力で篠塚の両ハンドに打ち勝ち、中華台北が試合を振り出しに戻した。
惜しくも王手とはならなかったが、相手エースに対して篠塚が見せた懸命の粘りは、トップで張本がつくった流れをしっかり引き継いだといえる。
勝負を大きく左右する3番、16歳の松島輝空と42歳の鉄人・荘智淵の対決は、2番の篠塚対林昀儒同様、ゲームオールにもつれる大熱戦になる。
最終ゲームも松島が得意のバックハンドで主導権を握れば、荘智淵が足と緩急を使って得点を稼ぐ一進一退の攻防で終盤までもつれるが、「競ると分かっていたので最初から準備していました。その結果、最後まで粘り強く行けたと思います」という松島が9-9でレシーブから強気に打ち合ってゲームオール9本で荘智淵を振り切り、日本に大きな大きな1勝をもたらした。
続く4番のエース対決は、松島から熱いバトンを受け取った張本が躍動する。
「林昀儒の状態は良かったが、それ以上に張本が良かった。想像以上」と中華台北の偉関晴光監督が脱帽したように、気合い十分で動きもキレていた張本は、昨年11月のWTTチャンピオンズ フランクフルトで敗れている林昀儒に対し、真っ向勝負を敢行。
試合は「これぞ世界卓球」というようなハイレベルなラリーを繰り広げながらゲームオールまでもつれこむが、「後輩(松島)が良い場面を回してくれて決めないわけにはいかない」と決意していた張本が、最終ゲームは出足から8-0と林昀儒を大きく引き離してそのまま勝利し、日本が大一番を制した。
激闘を乗り切り、田㔟邦史監督は「1番以外は全て3対2。苦しい状況を選手たちはよく打破してくれたなと思います。本当に素晴らしい試合でした。ポイントは全部。智和が勝たなければいけないところをしっかり勝ち、篠塚が林昀儒に対して負けはしましたが2対3という試合をしてくれた。輝空が踏ん張って踏ん張って頑張ってくれた。そして、最後は智和がエースの仕事をした。チームとしてつないだたすきが勝利につながった試合でした」と選手たちをたたえた。
マダガスカル戦を残しているものの、この大一番を乗り越えたことでグループリーグ首位通過を大きく引き寄せた日本男子だが、まだまだ通過点。張本とのツインエースを期待されながらインフルエンザで欠場を余儀なくされていた戸上隼輔も順調に回復しているということで、明日以降の戦いぶりに期待大だ。
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詳細な記録は下記サイトでご確認ください。
WTT:https://worldtabletennis.com/teamseventInfo?eventId=2751
(まとめ=卓球レポート)