張本美和(木下グループ)は、一昨年、昨年と2大会連続で決勝まで勝ち進むも、早田ひな(日本生命)の厚い壁に阻まれてきたが、三度目の正直で早田越えを果たし、悲願の初優勝を果たした。
ここでは、早田との接戦を勝ち抜けた鍵や初優勝の心境を明かした張本の優勝後の記者会見をまとめた。
--優勝の実感は湧いてきましたか?
張本 はい、湧いてきました。
--インタビューの時には涙も流されていましたが、あの涙はどういう涙だったんでしょうか?
張本 本当に準決勝からすごく苦しかったので、負けたなという気持ちになっていたので、そこを乗り越えられただけでも今日は自分的には満足というか。だったので、こうしてまた決勝も、もちろんマッチポイントを取った第6ゲームを取られた反省もありますけど、本当に最後まで諦めずにやりきって優勝できたという思いが表れたというか、涙が出ちゃったかなと思います。
--今年が一番優勝したかったという話もしていましたけど、その理由は何だったんでしょうか?
張本 自分の実力はやっぱり自分が一番分かっていると思うので、チャンスがあるなと思ったのは今年でした。あとは2年連続で2位だったので、今年はすごくすごく優勝したいという気持ちと、ずっと小さい頃から、この全日本で優勝するというのが私の中ですごく大きな目標だったので、今年は特に優勝したいという気持ちが強かったです。
--決勝は3年連続で早田さんとの試合になりましたが、これまでの2年とはどういうことを変えて試合に臨まれたのでしょうか?
張本 もちろん技術や戦術もそうですけど、メンタルの部分が一番大事だなと思っていて、今日は試合前に自信を持って練習に入れたのが良かったかなと思います。もちろん苦しい準備もしながら、最終ゲームは特に自信を持ってやれたのでそこが一番良かったですし、より今大会を通して、卓球というのはメンタルのスポーツだなとすごく感じた大会になりました。
--今日自信を持って臨めた理由は何だったんですか?
張本 やっぱり準決勝ですごく苦しい中で乗り越えられたので、半面、次にもう一回来たら乗り越えられないじゃないかという考えもあったんですけど、乗り越えた自分があったので、決勝も悔いなく終わりたいという思いがあったので、すごく自信を持って臨みました。
--第7ゲームに臨むにあたって思い切っていこうと気持ちを切り替えたという話がありましたが、コーチのお父様とは何かお話をされて、そういった気持ちの切り替えがあったのでしょうか?
張本 そうですね。正直に言うと、あの1分間で何を話していたか何一つ覚えていないんです。10-6からばん回されて本当に放心状態だったので、もうやばいなって。あの1点取れていたらよかったという後悔があったので、あまり切り替えられなかったんですけど、でもコートの前に立った時に「あと1ゲーム。勝っても負けてもラスト1ゲームだから思い切ってやるしかない」と、そこで決心ができた。あの1分間は、休憩という感じでした。
--4連覇を目指していた早田さんに勝って優勝した意義をどう感じていますか?
張本 こうやって今大会で初めて優勝することができて、改めて3連覇はすごいなと思いましたし、早田選手とはたくさん試合をしているので、今日の1試合もそのうちの1試合に過ぎないかなと思うので、今日は自分に運があったり、そういうのも含めて自分がよかったかなと思いますが、改めて全日本で優勝する難しさも感じました。
--全日本で優勝して来年以降は追われる立場になると思いますが、それについてどう感じているのか教えてください。
張本 全く感じないかと言われたら嘘になっちゃうんですけど、今年優勝したから来年2連覇と言われるかもしれないですけど、私も2連覇したいという気持ちは変わらないですし、また1年、長いようで短いようでという感じではあるんですけど、また成長した自分で戻ってこられたらいいなと思います。
--ロスオリンピックが2028年にありますが、この大会を優勝したことでどういうふうにつなげていきたいと思いますか?
張本 この大会で、メンタル面では今までに経験したことのない心境を経験しました。反省ももちろんありますし、全日本の中でも良かったところ悪かったところがあったので、そこも次の大会だったり、これからの1年間につなげていけたらいいなと思います。ロスまでもうあと2年なので、いい弾みにできたらいいなと思いますし、今年のたくさんの大会を頑張って優勝できたらいいなと思います。
--6ゲーム目ぐらいまで、いわゆるYGサービス(逆横回転系サービス)を有効に使っていて、7ゲーム目はかなり思い切った感じに見えたんですけれども、そのあたりの切り替えについて教えてもらえますか、
張本 サービスの変化は第6ゲームに入れましたけど、でもやっぱり最後相手に慣れられてきて、その後の展開が得点につながらなかったので、最終ゲームは少し変えました。けれど、やっぱりどんなサービスを出してもラリーになると思うので、だから本当に正直、サービスはもう1個の技術に過ぎないという思いで、いろいろサービスを出しました。でもやっぱり、この試合を通してこの時変えないべきだったなと思ったりとか、ここをもうちょっと変えればよかったな、という反省はあります。けれど、第6ゲームは(YGサービスを)出してよかったかなと思っています。
--最終ゲーム、10-6と前のゲームと同じカウントになって、出すサービスについて迷われましたか?
張本 あんまり迷っていなくて、ミスらないといいなと思っていました。その後が(サービスを出してからが)大事だと思っていたので、そんなにサービスは迷ってはいないので、そこは出そうと思ったサービスを出しました。
--昨年、早田選手に敗れた時に、勝てなくて悔しいというよりも、「頑張っているのに通じるものが少なかったことが悔しい」という発言をされていたと思います。早田選手に対して、手応えや自分の成長を感じられる部分があったらお話しいただけますか。
張本 やっぱり一番はレシーブですかね。自分的には、早田選手のサービスがすごく取りづらいなってずっと思っていて、それは今でも変わらないですし、今日もやってみてすごく取りづらいなと思いました。サービスの配球や回転がすごくうまい選手だと思うので、そこの処理も今日は良かった。もちろん、全てが良かったわけではないですけど、いつもより良かったかなと思います。サービスは自分が出したいサービスを出せるので自分がコントロールできますけど、相手のサービスというのは待つしかないので、そこの対応が今日は良かったと思います。
--以前、張本選手は世界チャンピオンになるよりも、この全日本のタイトルが欲しいとおっしゃっていたと思います。そういう意味では、改めて喜びの大きさや、日本チャンピオンになった上でこれからの目標を聞かせていただけますでしょうか。
張本 今でも全日本で優勝したいという気持ちは、WTTツアーのどの大会で優勝するよりもしたかった目標なので、本当に本当に嬉しい気持ち。今までオリンピックで銀メダルを取ったときも団体戦だったので私一人だけの力ではないというところもあって、今大会は特別なのでまた違った嬉しさがあったので本当に嬉しい。嬉しくてふわふわしているという感じです。
--試合中に得点しても声を出している様子もなくて、取られても表情が変わらない印象でした。そのあたりに強さを感じたんですが、メンタルを保つために、そこは意識していたのでしょうか。また、メンタルのトレーニング方法など、やってきたことがあったら教えてください。
張本 特にやってきたことはないですけど、試合中、声を出すと緊張が和らいだり、興奮していい調子になるというのはあるんですけど、逆に上がりすぎてしまう、というのが最近の大会を通して自分の中でありました。なので、意外と声を出さないで試合するのも落ち着いて試合ができていいなと。もちろん、(声を出さずに試合をして)全部が全部勝っているわけじゃないですけど、小さい時からずっと声を出してきたので、静かにやるのも意外とありだなって思っています。今日はたぶん、一回も声出していなかったかもしれません。最後の瞬間だけは嬉しかったんですけど、そこは(試合で声を出すか出さないかは)もうその日の調子によりますね。
--ゲーム全体を通して流れが行ったり来たりする中で、張本選手が勝負を分けた場面はここだったなと思うところを教えてください。
張本 やっぱり第6ゲーム終わったときですかね。もちろん、そのほかの第3ゲームだったり、いくつか印象に残っているのがあるんですけど、第6ゲームで負けた瞬間が自分の中ではやっぱり鍵になったと思っています。そこで弱気になってしまって負けたので、もうやるしかないというか、第6ゲームでマッチポイントを握った時はすごく自信がなくなってしまって、終わった瞬間、ベンチでの1分間の時は、逆に自信が湧いてきて、それで入りもすごく良かった。なので、本当に第6ゲームが終わった時です。
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