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「作戦あれこれ」第98回 攻撃対攻撃で勝つコツ フリーハンドを上手に使え

 前回は、試合で余裕のあるプレーをするために、レシーブからの4球目守備練習と、6球目攻撃練習の必要性と、その正しい練習の方法を述べたが、その時に大切な技術のポイントがあるので、今回はそのことを紹介したい。

 フリーハンドを上手に使え

 レシーブからの4球目攻守、6球目攻撃を正確に行なう重要なポイントとは、フリーハンドの活用だ。レシーブ、そして4球目、6球目でフリーハンドを上手に使うとプレーがみちがえるようにスムーズにいく。中でもレシーブと次の4球目のときのフリーハンドの活用が重要だ。
 なぜフリーハンドを上手に使うことが大事か?というと、左手を全然使わないときより、上手に使ったほうが①速く動ける ②スムーズに大きく動ける ③大きく動いても、強振してもバランスが崩れにくい ④リズムがとりやすく、プレーがスムーズにいく ⑤もどりが早い...等、たくさんの利点があるからだ。このことは、レシーブからの4球目攻守、6球目攻撃のときに限らず、よいプレーをするために絶対に欠かすことのできない上達の条件である。
 だが、最近の中・高校生、ママさんの試合を見ているとフリーハンドを生かしていない人が多い。フリーハンドを使うことの重要性やフリーハンドをどのように使ったらいいのか知らない選手を多く見受ける。そのために、レシーブからの4球目攻守、6球目攻撃はじめ、試合での凡ミスが非常に多く大変に損をしている。

 ボールをつかみにいくような感じで使え

 では、どのようにフリーハンドを活用したらよいのだろうか?フリーハンドのよい使い方には、戦型によっていくつもの方法があり、これが絶対、というものはない。フォアハンド主戦で戦う日本式と、ショートを多用する中国式とでは違うし、速攻型とドライブ型でも違うものだ。しかし、基本的なものは同じであり中国式前陣速攻でも場合によっては日本式と同じ使い方をする。
 ここでは、写真で詳しく中国、ヨーロッパ型との違いを説明するスペースはないので、日本式ドライブ型と日本式前陣速攻型の一般的なフリーハンドの使い方を述べることにしよう。
 さて、それではレシーブからフォアハンドで積極的に攻めていく日本式攻撃型は、レシーブの時どのようにフリーハンドを使うのがよいのだろうか?それは、まず体に脇を軽くつけてフリーハンドを高い位置に保ち、ボールのところまで速く動きながらすぐにボールをつかまえにいくような感じで前に出し、次にフォアハンド強打がしやすいようにフリーハンド、左肩を素早く内側に入れながらバックスイングをとることだ。
 たとえば、右利き攻撃対右利き攻撃の試合で一番多く出してくるバック前の変化サービスを回り込んでクロスにフォアハンド攻撃する場合、バック側に2~3歩細かく助走したあと、左手でさっとボールをつかみにいくようにし、同時に左肩を内側に入れて回り込む。そして、左手を相手のバック側に向けたまま打球する。
 また、フォア前の変化サービスをクロスに払う場合もやはり助走したあと、いったん左手でボールをつかみにいくようにしながら素早く左肩を内側に入れる。そして、フリーハンドを左横上に引き上げる勢いを利用してフォアハンドを打つ。このようにするとうまく払える。

 左肘を前につき出せ

 フリーハンドを、ボールをつかえまえにいくように前に出すときにもう一つ注意することがある。それは肘の使い方だ。よく肘を体にぴったりつけている選手がいるがこれはいけない。むしろ、前につき出すようにしながら動くことだ。なぜなら、そうすることによって左肩と左腰がスムーズに入ったバックスイングがとれるし、ふところの広い前傾姿勢がとれてスマッシュや強ドライブがしやすくなるからだ。
 この肘の使い方をキチンと行なわないと、肩、腰がスムーズに入らないため、打球するとき肩と腰が開きすぎてしまい、強く打つとミスが出る原因となる。右利きの選手は左肘、左利きは右肘の使い方が大変大事だ。正しく使っているかチェックしてみよう。

 腰の位置がよくなる

 肘を前につき出すようにすると、もう一つ大変いい効果がある。それは腰の位置が自然と高く保てることだ。そのため、大きく激しく動いても腰の高さが変わらず、レシーブの位置から遠いフォア前の変化サービスや、フォアへのロングサービスに対しても思い切り強くレシーブ攻撃できるようになる。また、腰が落ちないことから4球目の守備、攻撃もやりやすいなどの利点がある。
 その上、肘を前に出すと腰がスムーズに回転するため、相手にレシーブコースを読まれにくくなる効果もある。

 強打をとめるときもフリーハンドが大切

 フリーハンドを上手に使うと4球目の攻守も断然よくなるものだ。特に守備が非常によくなる。
 このときのフリーハンドの使い方は、攻撃するときの使い方とまったく反対だ。攻撃するときはフリーハンドをしっかり加速に使うが、守るときは逆に体を安定させるために使う。特にスマッシュやパワードライブを止める場合は、前傾姿勢とラケット角度が安定するようにフリーハンドを使うことが重要だ。そうすることによってスマッシュに押されないでうまく返すことができる。
 前陣でブロックのうまい人はこの体の使い方が実にうまい。日本チャンピオンの斉藤清選手(明大)、準優勝の糖塚重造選手(川鉄千葉)らのブロックはフリーハンドの使い方がうまく絶妙だ。スマッシュを前陣でショートするときのフリーハンドは、体の前で高く保つことが基本。中国選手の中には、首をまくような形でフリーハンドを使い、前傾姿勢を保つ選手もいる。
 攻撃するときと守るときのフリーハンドの使い分けを正しくやろう。



筆者紹介 長谷川信彦
hase.jpg1947年3月5日-2005年11月7日
1965年に史上最年少の18歳9カ月で全日本選手権大会男子シングルス優勝。1967年世界選手権ストックホルム大会では初出場で3冠(男子団体・男子 シングルス・混合ダブルス)に輝いた。男子団体に3回連続優勝。伊藤繁雄、河野満とともに1960〜70年代の日本の黄金時代を支えた。
運動能力が決して優れていたわけではなかった長谷川は、そのコンプレックスをバネに想像を絶する猛練習を行って世界一になった「努力の天才」である。
人差し指がバック面の中央付近にくる「1本差し」と呼ばれる独特のグリップから放つ"ジェットドライブ"や、ロビングからのカウンターバックハンドスマッシュなど、絵に描いたようなスーパープレーで観衆を魅了した。
本稿は卓球レポート1984年7月号に掲載されたものです。

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