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「作戦あれこれ」第104回 ストレート攻撃の上手な使い方

 攻撃対攻撃の試合では、ストレート攻撃の使い方が「勝敗の鍵を握る」といってもいいほど非常に大切だ。
 前回は、「大事なポイントでストレート攻撃がきくように、序盤、中盤ではむやみに使わない」「逆モーションで使うようにする」と、2つの注意点を述べたが、それに続き今回も「ストレート攻撃の上手な使い方」をいくつか述べてみよう。

 難球をストレートに決める

 ストレート攻撃の使い方で3番目に気をつけたことは前号でも少し述べたことだが「相手の心理の逆をつく」ことだ。
 たとえば、私がバック前にきたサービスを相手のバックへ払ってレシーブしたとする。相手がこのボールをストレートにプッシュ、またはバックハンド強打でストレートに攻めた。
 この時、相手の心理は「ストレートに威力あるボールで攻めた。次はクロスにドライブしてくるか、ストレートにやっと返してくるに違いない」と読む。
 この時に、このボールを狙ってストレートに思い切ったドライブ攻撃をするのだ。そうすれば、相手は完全に読みの逆をつかれ、一発できまる。
 この攻撃は難しい技術だが、非常に得点率が高い。そして、練習しだいでは比較的楽にマスターできる技術でもある。
 試合中にこの攻撃技術があると、相手はこのボールを恐れ、やさしいボールも思い切って攻められなくなる。ドライブマンはぜひ覚えてほしい技術だ。
 では次に、私がよく"ここ1本"というところで難局を打破したストレート攻撃戦法をいくつか紹介しよう。

 ロングサービスを狙い打つ

 まず、相手がサービスのときは、ロングサービスを狙ってストレート攻撃するようにする。つまり、フォア側にロングサービスを出してきたら、相手のバックコーナーを狙ってフォアストレート攻撃、バック側にロングサービスを出してきたら、クルリと回り込んで、いかにもバッククロスに打つと見せかけて、相手のフォアコーナーを狙い、逆モーションストレート攻撃をするのだ。
私は、このストレート攻撃が大変に得意だった。相手は「逆をついてロングサービスを出した」と思うところをストレートに強ドライブで逆に狙われるので、ほとんど一発で決まることが多かった。
 私は一発で決める気持ちで思い切り強ドライブで狙ったが、このレシーブ攻撃は表ソフト前陣型の河野選手('77年世界チャンピオン)、田阪選手('69年世界3位)もよく見せた技術だ。たとえば、相手がドライブロングサービスを出した時は、相手のボールのスピードを利用してカウンター気味に短いスイングでバウンドの頂点をとらえ、パンと鋭くはじいて攻撃する。威力のあるカット性ロングサービスでパンと弾いて打てないようなボールに対しては、強打するような体勢から高い打球点をとらえ、短いスイングの逆モーションドライブでストレート攻撃し、4球目攻撃に結びつける。
 私は今までにたくさんの攻撃選手のプレーを見てきているが、このようなレシーブストレート攻撃ができる選手は、ラリーになったときもストレート攻撃がうまい選手が多く、勝負強かった。反対に、どちらかのサイドからはストレート攻撃できても、もう一方のサイドからはストレート攻撃ができないという選手は、大事なところでストレート攻撃ができないサイドを攻められ競り負ける選手が多かった。両サイドから同じように威力のあるストレート攻撃をできるようにすることが、勝負強くなるためにはどうしても必要なことなのだ。

 相手に悟られないように構える

 このレシーブストレート攻撃を成功させるために、大切なコツがいくつかある。
 まず第一に注意することは、相手のサービスがロングサービスと完全に読んだときでも、それを相手に悟られないようにすることだ。
 だから私は「ロングサービスを出してくる」と完全に読んでいても、それを相手に悟られないようにさりげなく「レシーブの構え、顔の表情」等を、逆にショートサービスを狙っているように見せた。そして、相手がロングサービスを出す直前、体勢をロングサービスのレシーブがやりやすいように構え、素早く動いて思い切りストレート攻撃をした。

 バウンドの頂点をとらえる

 次に気をつけたことは、ドライブ攻撃をするときでも必ずバウンドの頂点をとらえて打つことだ。
 なぜなら、バウンドの頂点を過ぎれば過ぎるほど、ドライブのスピードは同じであっても相手に届くのに時間がかかり、威力が半減するからだ。特に一流といわれる攻撃選手と対戦した場合、少しでも打点が落ちると、逆をついたドライブでも止められてしまう。だから、私はロングサービスに対してもショートサービスのときと同様、比較的コートの近くでレシーブを構えるようにし、フォア側に出してきたときは真横かやや前に動く、バック側に出してきたときも下がらずクルリと回り込んで高い打点で攻めるようにした。また、コートの近くで構えるようにしたことから、コートからわずかにワンバウンドで出てくる変化サービスもレシーブしやすかった。ロングサービスを恐れ、レシーブ位置がコートから遠い選手は、逆に鋭いストレート攻撃ができにくい。レシーブ方法やレシーブの位置を考え直す必要がある。

 3球目のときが最も狙いやすい

 今述べたように、レシーブからストレート攻撃するのは、相手の意表をつき得点に結びつきやすいし、ある程度の試合経験を積むと狙えるようになる。しかし、一般的には、やはりサービスから3球目攻撃のときが一番ストレート攻撃を狙いやすいチャンスで、うまい使い方だ。
 3球目でうまいストレート攻撃をするには、まず威力のあるサービスをマスターすることだ。そうすれば相手のレシーブのコース、種類がはっきり読め、簡単にストレート攻撃できる。強くなった選手の中には、威力のあるサービスを身につけ、そこからの3球目ストレート攻撃ができるようになって急成長した選手が沢山いる。
 私もよく3球目ストレート攻撃を使った。得意のパターンは、バックハンドの斜め下回転と純粋な下回転サービスを大きなサービスを出すような感じから、相手のフォア前に逆モーションでパッと出し、相手が両サイドにツッツいたり軽く払ったのを強ドライブでストレートに狙う攻撃だ。そして、この攻撃を軸にフォア、バックへのロングサービスやミドル、バック前サービスからの逆モーションストレート攻撃もよく使った。
 このように、相手の読み方をはずしていろいろなストレート攻撃をしたが、これらの攻撃を成功させるコツはレシーブストレート攻撃のときと同様に、相手にこちらの読みを悟られないようにすることだ。つまり、サービス、レシーブのときにポーカーフェイスをつくれるように訓練することだ。それにはできるだけ大会に出場して試合経験を積むことと、校内で試合をするとき真剣に行なうことだ。

 4球目ストレート攻撃

 次に、4球目でストレート攻撃を狙う方法としては、「相手がバックへ大きめのサービスを出してきた時、相手のバックにループドライブをかけ、相手がショートでストレートに返してくるのを読んでフォアストレート攻撃する」とか「相手がバック前にショートサービスを出してきた時、フォア前、ミドル前にストップレシーブし、次球をストレート攻撃する」といった攻撃方法があり、これはどのタイプの選手にも有効だった。
 自分の得意のパターンをつくりしっかり練習しよう。

 ストレート攻撃は読みとフットワーク

 今までいろいろなことを述べたが、ストレート攻撃を成功させるには、まず「相手がどのようなプレーをするか?」の"読み"が大切ということがわかったことと思う。この「読み」を高めるためには、まず集中力が高くなければならない。集中力が低いと相手の作戦がなかなか読めず、自分の思った攻撃ができない。だから試合のときは自分の試合だけに集中して「相手がどのような攻撃をしてくるか」を常に考えてやる習慣をつけることが大切。それと、フットワークがよくなければ難しいボールをストレート攻撃することは難しい。フットワークの練習もしっかりやろう。
 ストレート攻撃について5回にわたって述べたが、ストレート攻撃は非常に大切な技術だ。相手の心理を読み、上手に使って勝負強い選手になろう。



筆者紹介 長谷川信彦
hase.jpg1947年3月5日-2005年11月7日
1965年に史上最年少の18歳9カ月で全日本選手権大会男子シングルス優勝。1967年世界選手権ストックホルム大会では初出場で3冠(男子団体・男子 シングルス・混合ダブルス)に輝いた。男子団体に3回連続優勝。伊藤繁雄、河野満とともに1960〜70年代の日本の黄金時代を支えた。
運動能力が決して優れていたわけではなかった長谷川は、そのコンプレックスをバネに想像を絶する猛練習を行って世界一になった「努力の天才」である。
人差し指がバック面の中央付近にくる「1本差し」と呼ばれる独特のグリップから放つ"ジェットドライブ"や、ロビングからのカウンターバックハンドスマッシュなど、絵に描いたようなスーパープレーで観衆を魅了した。
本稿は卓球レポート1985年2月号に掲載されたものです。

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