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「作戦あれこれ」第111回 表ソフト速攻型攻略法④ フォア前のレシーブ作戦

 今回も、前回までに続き、フォアドライブが得意なドライブマンが、右ペン表ソフト速攻選手と対戦した時の作戦を考えてみよう。今回は、表ソフト選手が得意のパターンのひとつである、フォア前への変化サービスを出してきた時の作戦だ。

 大切なフォア前レシーブ

 言うまでもなく、フォア前サービスからの攻めは、バックサービスを使う選手が最も多く使う作戦のひとつ。ドライブマンにとっては苦手なレシーブだ。
 というのは、ドライブをかけようとする選手は、どうしても台上の処理が遅れがちになる。また、レシーブ時の体の位置から最も遠い所にサービスを出されるため、処理しずらい。そのため甘いレシーブになりやすい。また、フォア前に体を動かした後の3球目を、バックやミドルに打たれると4球目の処理が難しくなる。こういった弱点がでてくるからだ。
 そのためドライブマンとしては、このフォア前のサービスに対し十分レシーブ練習し、待っている時は先手をとる、そうでない時も3球目で決定打を打たれないようにレシーブして、4球目以後、後の先をとるプレーができるようにしっかり練習しなくてはならない。

 悪いレシーブ例

 さて、試合で表ソフト速攻選手がフォア前に斜め下回転サービスを出してきた。
 どのようにレシーブすれば効果的だろうか?
 では、まずその前に悪い例をいくつかあげてみよう。
1.レシーブミスしてはいけない、と、とにかく大事にバックへ入れるタイプ。―このタイプは、ちょっと強い速攻選手と対戦すると両ハンドの強打で狙い打ちされ、相手の調子を上げてしまって勝てない。
2.とにかく先手をとらなくてはいけない、と、レシーブ強打ばかりする選手。―これで入れば理想的だが現実にはそう入るものではない。1~2割しか入らないのであれば、相手のペースを崩すというところまでもいかない。また、このタイプの選手は、競ると逆に弱気になってツッツキ、狙い打ちされることが多い。
3.ツッツキがうまくなく、強く払うとミスが出るからといって、スピードのない中途半端な軽打でレシーブする選手。―表ソフトの速攻選手が一番好きなのがこのレシーブ。時々は効くこともあり、逆モーションで払うことができれば多少の効果はあるが、基本的には速攻選手に狙われ、一番スマッシュをされやすい。逆をつかれた時以外は使いたくないレシーブ。
 ―以上、悪い例をいくつか挙げた。では、うまいレシーブ作戦とはどのようなものだろうか?

 "先の先"のレシーブ作戦

 フォア前に変化サービスを出された時、うまいレシーブをするコツは、まず"先の先"と"後の先"の戦術を相手サービスの種類と状況に合わせ、上手に使いわけることだ。
 "先の先"の戦術とは、自分が先手をとって相手には先手をとらせず、自力得点を狙っていく戦術。この場合でいえば、レシーブ強打、ストップ、逆モーションレシーブからの4球目攻撃などがそれにあたる。
 たとえば、相手がバック側から3球目攻撃を狙っている状況で、こちらのフォア前に斜め下回転サービスを出してきた。この時、自分の読みどおりであれば、ボールのところまで素早く動き、いかにもバックへ打つようにしっかり肩、腰をひねってから、パッとフォアへ払う。
 相手が、横、横上、上回転のフォア前サービスを払わせてフォアで狙っている状況なら、ミドルへパッと払ったり、バックへ流し打ちレシーブしたり、待っているフォアへ読み以上のスピードでスマッシュレシーブする。
 相手がよく切れた下回転サービスを出してきたら、バウンド直後をフォア前(時には、ミドル・バック前)へストップレシーブして4球目強ドライブを狙う。相手がストップを待っているようなら、バウンドの頂点前をとらえナックル性の払うレシーブでバック深く攻めたり、動きの逆をつきフォアへパッと払う。
 こういった"先の先"の戦術をとるとよい。

 "後の先"のレシーブ作戦

 さて、今度は"後の先"の戦術だ。"後の先"の戦術というのは、相手に先にこちらの待っているところへ攻めさせ、そのボールを利用して相手をゆさぶり、逆に先手をとる戦術だ。
 この場合でいえば、相手のサービスの変化が激しくてレシーブから先手を取れない場合や、読みの逆をつかれた場合など、切ったツッツキや軽打で相手に決定球を打たせないようにコースをとり、相手の攻撃をショート等でしのいでラリーに持ち込むやり方をいう。大切なのは相手に先に攻めさせるからといって、弱気になってこわごわツッツいたり、払ったりしないことだ。あくまで、「これは作戦として打たせる。相手がこのコースに打ってきたらこうしのいでラリーにする。こちらだったらこうする」と考え、強気で切ったり、横回転を入れたツッツキ等でレシーブすることだ。そうすればうまくいきやすい。
 たとえば、ツッツキでレシーブするなら、相手がどちらのサイドから打つとミスがでやすいか、またどちらで待っているかを読み、コースをとる。
 <相手のバックへツッツいた場合>
 相手のバックへツッツいたとする。まず大切なのは守りやすい(そして相手がつないだ時は攻撃しやすい)ニュートラル(ラリー中の基本姿勢)に素早くもどることだ。そして、相手がフォアハンドで攻めてきたら、どのコースに打たれても、まず相手のフォアサイドへショートとフォアロングでしのぎ、相手の連続攻撃を次はバックへしのいでラリーに持ち込む。
 この時、相手が3球目を表ソフトのドライブでつないで次の5球目で決定球を打とうとしている場合は、4球目で動きの逆をついてバックへ返球。甘いショートになったらドライブ攻撃。フォアハンドでつまって打ってきたら、次をフォアサイドへ大きくゆさぶる作戦もある。
 相手がツッツキ打ちで攻めてきた時も、ドライブで攻めてきた時もパターンとしてはほぼ同じだ。が、相手がドライブ(特にこちらのフォアへ)してきた時は、4球目で押し返すチャンス。頂点前か頂点をとらえて強めのボールで相手を動かせるように練習しよう。
 <相手のフォアへツッツいた場合>
 これは、相手がフォアサイドからの攻撃が苦手だったり、バック側に回ろうとしている時に使う。頂点前後をとらえ、逆モーションぎみに低い切ったツッツキでフォアへレシーブすると、表ソフト速攻選手はなかなかスマッシュでは狙えないものだ。逆をつけばノータッチで抜けることさえあるし、ドライブや軽打でつないでくることが多い。これを狙う。やっととびついてこちらのフォアへドライブしてきたら、相手のフォアへ強ドライブ。バックへドライブしてきたら、速いショートか回り込み強ドライブでバックを攻める。ただし、このレシーブを使いすぎたり、甘いツッツキになると3球目スマッシュされやすいので、使い方に気をつけよう。



筆者紹介 長谷川信彦
hase.jpg1947年3月5日-2005年11月7日
1965年に史上最年少の18歳9カ月で全日本選手権大会男子シングルス優勝。1967年世界選手権ストックホルム大会では初出場で3冠(男子団体・男子 シングルス・混合ダブルス)に輝いた。男子団体に3回連続優勝。伊藤繁雄、河野満とともに1960〜70年代の日本の黄金時代を支えた。
運動能力が決して優れていたわけではなかった長谷川は、そのコンプレックスをバネに想像を絶する猛練習を行って世界一になった「努力の天才」である。
人差し指がバック面の中央付近にくる「1本差し」と呼ばれる独特のグリップから放つ"ジェットドライブ"や、ロビングからのカウンターバックハンドスマッシュなど、絵に描いたようなスーパープレーで観衆を魅了した。
本稿は卓球レポート1985年9月号に掲載されたものです。

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