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わたしの練習114新保富美子 変化だけに頼らないカット型めざし

 ■無念の涙にくれたノビサド大会

 世界選手権初出場で夢を大きく持っていただけに、出場種目がダブルスのみ、しかもパートナーは外国選手と発表された時は、団体戦を目指していただけに目の前が真っ暗になりました。しかし、パートナーのアレキサンドル選手(ルーマニア)は女子ダブルスで3度も世界を制覇しているベテランで、そのうち2度目の優勝は浜田さん、3度目は高橋省さんと組んで優勝していますので、自分としては責任が重いなぁと感じていました。合宿の中ではアレキサンドル選手とのダブルスを想定した練習が主で、現在協和発酵で活躍している堀明選手とよく組んでもらい練習したものでした。
 しかし、結果的にはアレキサンドル選手が不出場となりそれまでの合宿の練習が無駄になった形になってしまいました。「最後の選手生活」と思っていただけに無念でたまりませんでした。が、これも運命とあきらめノビサドを後にしたのがもう2年も前のことです。
 ノビサド大会で日本女子は史上最悪の9位という結果になりました。
 その敗因をベンチにいた私の感想としてのべさせていただきますと、第1にカットマンが変化(アンチ)に頼りすぎ守備範囲が狭すぎたこと、第2に合宿の中で対何々戦という対策練習が少なかったこと、第3にヨーロッパにはカットで大丈夫だという安心感があったこと、などがあげられると思います。同時にロングマンではなかなかヨーロッパの速さ、パワーについていけないと強く感じ「2年後の東京大会では変化に頼らず、守備範囲が広く、しかも、攻撃力のあるカットマンが必要だ」と思いました。

 ■このままやめたら一生後悔する

 アレキサンドル選手が不出場となり、燃え尽きることなく終わってしまった世界選手権。1種目、1回戦という不本意な成績のまま選手生活にピリオドを打とうとしていた私に、三田村監督や拓銀のコーチをしていただいている柳原さんに「このまま辞めたら一生後悔する」と説得され、また、私が辞めると団体戦が組めないというチーム事情から再びラケットを持つことになりました。
 ノビサド大会での辛い思い出が、勝負に対する私の考え方を大きく変える結果となりました。

 ■まず守備範囲、そして攻撃力を重視して

 ノビサド大会が終わり「カットマンは、このままではいけない」と思い、変化に頼らず守備に徹するよう心がけ練習に励みました。
 攻撃は、得意としているフォアハンドスマッシュの安定性に重点をおいて練習内容を組み立てました。
 毎日の練習時間は正味2時間弱という短時間なので集中した、そして常に緊張感を持ち続けるよう心がけました。
 また5時に退社し体育館までの道のりを毎日ランニングで通いました。雨の日を除いては雪が降っても走りました。2kmぐらいなので練習前のウォーミングアップにはちょうどよい距離です。
 1週間のプログラムは、次のとおりです。
 日曜日は、朝9時半からランニングを主としたトレーニングを1時間ぐらい行い、休憩ののちフットワークを15分間ふるに動きます。トレーニング後のフットワークはとても苦しいので、休憩を少し長く取るようにしていました。フットワークは、前後が主で一本ずつの基本を多く練習し、時には一本ずつランダムに行いました。
 フットワーク後は課題練習が主で、15分間ずつ2回やります。その中には、促進ゲームの練習を必ず取り入れました。促進ゲームの際には、サービスを持った時の攻撃はもちろん大切ですが、レシーブの時いかに13本粘るかということも非常に大切なので重点をおいて練習しました。
 課題練習の後は、ゲーム練習が中心です。日曜というと他のチームの人達が拓銀の体育館に来てくださり、胸をかしていただきました。
 月曜日は、休館日のため、札幌鉄道管理局の体育館を使わせていただき、札鉄の卓球部の方々と練習、またはゲームをさせていただきました。男子のボールを取る絶好の日なので2時間以上びっしりコートについたこともあります。火、水、金は、5時半より8時半までフットワークを中心に各自で考えた練習内容を組んでいます。
 土曜日は、4時に始まりゲーム練習をとり入れて7時半頃に終了します。
 木曜日は、札幌市の体育館で指導をかねて練習しています。この日もゲーム中心ですが、大会のない日は、高校生などの指導もしています。
 自分の課題練習の内容を具体的にあげてみます。
1.カットの安定性
 ドライブに変化をつけてもらいクロスで何本も粘るカットをする。速いドライブに対しては速いスイングでカット(この時にナックルボールを入れる)、浅いドライブに対しては重心の移動と膝の使い方に注意しました
2.ツッツキ打ち
 異質ラバーの特徴を生かし、ラケットを回しチャンスボールを作って打つ。チャンスボールがなかなかこない場合は、ドライブを一本かけてからスマッシュしていきます。スマッシュの際に気を付けていることは、大振りにならない、そして体がのけぞらないように注意することです。
3.サービス、レシーブからのシステム練習
 サービスからの3球目、5球目攻撃(低いボールも打つように心がけます)。レシーブの時は、カットマンの弱点であるフォア前からとロングサービスから入ります
4.ゲーム練習
 ㋑本番の試合のつもりでやる
 ㋺ゲームの中では、その日に練習したことを必ず取り入れる
―などを注意して行うよう心がけました。

 ■団体戦に出たい、がんばるんだ!

 ノビサド大会後に2年後の東京大会を目指すことを決意し、「出場するからには団体戦でがんばってみたい」と思っていました。運よく団体戦で活躍することができましたが、メンバーの発表が大会前日ということでずいぶんハラハラしました。
 大会前の合宿では、主にドライブ処理と促進ゲームの練習をしました。
 ドライブマンに対しては、フォアのナックルカットを入れチャンスボールがきたら迷わずスマッシュをすることに重点をおきました。カットマンは攻撃が得意ではないので、どうしても思い切りが悪く、チャンスボールをみすみす逃してしまうケースが多いので注意して練習しました。
 レシーブの際、異質を生かし持ちかえを多く取り入れました。5本中1本は、レシーブエースで取るんだという気持ちをもってやりました。
 サービスからの3球目は、ほとんど投げ上げサービスから行いました。投げ上げサービスの種類としては下回転と横上の2種類だけでしたが、同じモーションからなので今大会の大事な場面で得点することができました。サービス練習はとても大切だと改めて感じました。

 ■努力すれば必ず報われる

 ともあれ、たくさんの方々のご協力のもとで良い成績を残すことができ、2年前のノビサド大会で選手生活にピリオドを打たなくて本当に良かったと思っています。今後は指導する立場になるわけですが、今まで学んできた、一つ一つを教えていきたいと思います。「努力すれば必ず報われる」ということを信じ、最後まで卓球を続けてきたこと、決して楽な道のりではなかったことなど、機会があれば話をしていきたいと思っています。
 これからたくさんの若い選手が育っていきますが、夢は大きく「世界で活躍するんだ」という気持ちで今後練習に励んでいったら良い結果が生まれると思います。

しんぼふみこ
東奥女高→富士短大→北海道拓殖銀行
右、シェーク、アンチと裏ソフトの異質カット主戦型。
旺盛なるファイトで世界選手権東京大会女子団体決勝進出の立役者となった。
'81年、'83年世界大会日本代表


(1983年8月号掲載)

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