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夏に伸びる(第1回/全9回)

夏になると、学生の皆さんには、「夏休み」という重点的に練習できる絶好のチャンスがあります。夏をどのように過ごすかで、その後の卓球は変わってくるはず。夏を有意義に過ごすためには、どんなことに留意すればよいのかを、卓球レポート1995年8月号「特集 夏に伸びる(文=渋谷五郎)」より抜粋して紹介しましょう。 

目標とする試合を絞る

 すでに選手として活躍している場合、夏以降のどの試合を一番の目標にするか、しっかり頭の中に入れて練習することが、非常に重要なことだ。
 レベルの高い選手であれば、国内最高の試合である全日本選手権になるだろうし、それぞれレベル、年齢などの状況によって異なる。
 夏から全日本選手権まではもう何カ月もない。十分に具体的な練習計画を立てられる期間である。
 学校で授業がある時期には、十分な練習時間を取れなかった選手も、夏休みには自分の課題をしっかり消化できることになる。
 自分にとって今年はどの試合を目標にするかによって、練習課題が絞られてくる。
 ただし、先に述べたように夏には必ず全国大会が行われ、出場する選手にとっては、まず当面の大会で全力を尽くすことになり、その試合の結果により、秋からの目標とする大会をにらむことになる。
 また、夏の全国大会に出場しない選手は、夏の間フルに練習課題に取り組めることになる。
 したがって、全国大会に出場するかしないかは、もし秋以降の大事な大会を目標とする場合、どちらが有利とは一概には比較できない。それぞれのメリットを十分に活かすようにすれば良い。
 目標に対する意識が強ければ強いほど、練習効果が上がるものだ。


疲労を残さない

 夏は体力消耗が激しいことはすでに述べた。多量の汗を出して練習すると、つい調子に乗ってオーバーワーク気味になりやすい。気持ちが張っているから、疲れた意識はなくても、実際は意識以上に疲れている場合も少なくない。
 疲労の蓄積は、後になって現われてくる。ボクシングのボディーブローのように、徐々に効いてくることが多い。
 私の大学時代の経験だが、1年生から3年生までは夏にガンガン練習した。秋の頃は調子が良かったが、最後に行われる全日本は自分の意気込みとは違って、体の動きに微妙にブレーキがかかり、どうしても思うようなプレーができなかった。
 調子のピークは10月から11月前半になっていたのである。
 私は1日でも練習を休むと不安な気持ちになる。そして実際にカンが悪くなる。今から考えれば非常に神経質だった。
 4年生になってから、思い切って練習量をセーブして、工夫と精神面でのトレーニングを多くした。
 結果として、秋から尻上がりに調子が上向き、全日本学生、全日本選手権と体調は絶好調。精神的にもピンチに動ぜず、チャンスには勢いに乗り優勝できた。
 1年生から3年間は、精神的に余裕がなく、知らず知らずの間にオーバーワークになっていた。蓄積された疲労が約3カ月くらい経って影響したことになる。
 疲れない練習はないが、練習時間単位の工夫、飲食物、睡眠、休養、マッサージなどで、疲労回復を促進することである。
 ケガだけでなく疲労をできるだけ抑える、そして回復を良くするために、ウォーミングアップからクーリングダウンもしっかり行うようにしよう。
 汗をかくと体が活性化したような気持になり、ウォーミングアップやクーリングダウンを軽視しがちになる。またそれらをあまり真剣にやらなくても、十分体が対応できるような錯覚を持たないように気を付けることだ。
 練習で疲れたからといって、体を動かさずに寝ているだけでは良くない。
 疲れた体は何もしないで寝ているより、練習の後も少し軽く動かしている方が疲れが取れる。これは「積極的休養」ということになる。<第2回に続く
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