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僕は、そんなラバーを作りたい

 ディグニクス大特集の取材で、株式会社タマス(バタフライ)研究開発チームの研究員に話を聞いた。その折、ディグニクスのことに限らず、研究員の仕事をしていて感じることについても尋ねてみた。山田伸仁は言う。

「うれしいのは、社外の人から『このラバーいいですね』って言われた時ですね。開発した身として、すごくうれしいです。それから、選手が使ってくれた時もうれしい。いいプレーをしてくれた時、成績を出してくれた時は、最高の気分ですね」

 それでは、仕事をしていて苦しい時は......?

「今までにないものを生み出す。模倣ではない、新しいものを生み出す。それは、本当に苦しいことです。失敗すること、思ったような結果が得られないこともあります。むしろ、失敗がほとんどです。しかも、だったらどうすればいいのかの、道筋も分かりません」

 それでも......と山田は言葉をつなぐ。

「新しいラバーによって、卓球を進化させる。僕は、そんなラバーを作りたい」

 苦しい気持ちの傍らに、固い意志がひそむ。同僚の秘めた思いに触れ、胸が熱くなった。

文=川合綾子
写真=佐藤孝弘

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