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卓レポ名勝負セレクション 
Rising Zhang Jike! 張継科 Select.6

 卓球レポートは国内外のさまざまな大会へ足を運び、およそ半世紀にわたり、あまたの熱戦を映像に収め続けてきた。その膨大な映像ストックの中から、語り継がれるべき名勝負を厳選して紹介する「卓レポ名勝負セレクション」。
 今シリーズは、「RISING Zhang Jike!」と題し、チキータを武器に世界の頂点へと駆け上がった張継科(中国)の名勝負の数々をお届けしている。
 今回は、2012年世界卓球選手権(以下、世界卓球)ドルトムント大会男子団体決勝の中国対ドイツ戦から、1番のボル(ドイツ)との一戦を紹介しよう。

■ 観戦ガイド
決勝の大一番でトップに起用された張継科
完全アウェーの中、地元ドイツの英雄ボルに挑む

 2011年世界卓球ロッテルダム大会で男子シングルス初出場初優勝を果たし、2012年世界卓球ドルトムント大会男子団体で中国の主力メンバーとして起用された張継科。
 張継科は中国首脳陣の期待に応え、準決勝の韓国戦では3番で金珉鉐を下して決勝点を挙げ、中国の決勝進出を決めた。

 決勝の相手は、地元のドイツだ。絶対的エースのボル、当時若手で成長著しいオフチャロフ、実力者のバウムやシュテーガーをそろえたドイツは隙がなく、準決勝では日本を下して決勝へ勝ち上がってきた。
 実力者ぞろいの布陣もさることながら、中国にとって何より手ごわいのはドイツの大観衆だ。

 卓球のブンデスリーガが観戦スポーツとして広く認知されているドイツでは、卓球への注目度が想像以上に高い。この決勝の日も、会場となった1万人収容のヴェストファーレンホールは、立錐の余地もないほどドイツを応援する観客で埋め尽くされた。
 この試合を現地で取材したが、ボルの名がアナウンスされた時は、近くで雷でも落ちたかと思うほどの歓声で体が揺れ、「これほどの後押しがあるならば、ひょっとしたらドイツは中国に勝つかもしれない」と感じたことを覚えている。
 中国がいくら実力や層の厚さで勝るとはいえ、この大観衆を味方につけたドイツは一瞬たりとも気が抜けない相手だ。

 張継科は、中国にとって完全にアウェーの状態で始まった決勝でトップに起用される。
 対するはエースのボルで、準決勝の日本戦では丹羽孝希、水谷隼をいずれもストレートで下して2点取りしており、プレーの充実ぶりが際立っていた。
 張継科にとっては大きなプレッシャーがかかるトップだが、後に「決勝は自分にとって大きな試練でした。トップに起用されて、そのプレッシャーに負けなかったことが最大の収穫でした。トップでボルという強敵を相手に使ってもらったということは、自分がコーチ陣に信頼されていることを意味しています。そのことがうれしく、感謝しています(卓球レポート2012年5月号より抜粋)」と振り返る通り、敵地で堂々たるプレーを見せる。
 会場中がボルを応援する中、動じずに己を貫く張継科のタフさを感じられる一戦だ。
(文中敬称略)

(文/動画=卓球レポート)

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